復活の呪文の切れ端

2008-02-22

明日は一緒に

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僕の部屋には「バカ」と書いてあるビデオテープが沢山ある。

僕が撮影(盗撮)したバカな人間の映像や、バカなテレビに出るバカな人々がバカな事をやってる映像が入っている。多分僕以外の誰が見ても笑えない映像だと思う。

深夜、テレビに毛布をかけ、イヤホンを耳に差込み、それを見ては一人で哂うのが僕の人生で唯一の楽しみだった。学校には毎日行くけども、そこはバカどもが集まり、やっぱりバカな事を話しているだけの場所でちいっとも面白くない。


夏の終わり、秋の始まり。

女が転入してきた。

周りの女とはちょっと違う雰囲気だったけど。

どうせまたバカが一人増えるだけだと思っていた。

思っていた。


昼休み。いつもの昼休みのはずだった。

だけど、

あの子が笑いながら近づいてくる。

あの子が笑いながら近づいてくる!



Inspire JAGATARA-都市生活者の夜

2008-02-15

芋伝説

00:03 | 芋伝説 - 復活の呪文の切れ端 を含むブックマーク はてなブックマーク - 芋伝説 - 復活の呪文の切れ端

昔々あるところに、芋ほりを慣例行事にしている村があったんだとさ。

その村の芋は不思議な芋でね、一口食べると気分が高揚し始めて、二口食べれば思いつくままにしゃべり始め、三口食べれば思いつくままに踊りだすんだって。それが、村の連帯感を生み出すとか鬱憤が晴れるとか何とかで、ずっと続いていたんだそうな。

ところが、あるときぱったりと芋が取れなくなったときがあったんだって。つるはしっかりと張り、葉は青々と茂っているんだけど肝心の芋のほうは全然見当たらない。

その時は、こんなこともあるだろうと村人たちは気にしないようにしてた。でも、2年3年と経つにつれてみんな不安になってきた。それほど芋ほりが果たしてた役割は大きかったんだね。

でも、そのうち村人たちの関係が変わり始めた。あるものは村を出た。仲たがいをする家もでてきた。その時は、もうちょっとで刃傷沙汰になるところで、村人は大いに落胆したそうな。

そんな中、村に旅行者がやってきた。彼は盗みを繰り返しながら旅をしているというとんでもない奴だったんだ。彼は青々と茂った芋畑を見つけ、こんなに茂っているならひとつくらい採ってもばれないだろうと思い、そばに投げ出されていたシャベルを使って掘りはじめた。しばらく掘り進めていると一本すごく太い茎を見つけた。ちょっと引っ張ったぐらいでは全然抜けない。彼は力いっぱい引っ張った。すると、大きな音を立ててその茎が切れた。

普通ならば勢いで尻餅をつきそうなところだけど、そうはならなかった。なぜなら足と手に茎が絡まって彼を繋いでいたんだ。びっくりした彼は咄嗟に足元を見た。

そこには、さっき切れた茎が、不思議な動きで踊っていたんだって。それはありとあらゆる踊りを合わせたような動きで、トリッパーのように艶かしく、サンバのように陽気に、フラメンコのように情熱的に。

異常な状況も忘れその動きに見とれているうち、茎はみるみるうちに大きくなり彼は飲み込まれてしまったそうな。


翌朝村人が畑が荒らされているのに気づき畑を調べると、そこにはたくさんの芋が実ってたんだって。


ま、この話が何で知られて伝わってるかわからないけど、世の中はこういった話が沢山あるんだろうね。

2008-01-28

ITAKO接続

03:21 | ITAKO接続 - 復活の呪文の切れ端 を含むブックマーク はてなブックマーク - ITAKO接続 - 復活の呪文の切れ端

あるところにイタコがいた。少し遊んでやろうと思い、私はイタコイタコの霊を降ろすよう頼んだ。イタコは、いくつかの呪文を唱えた後、力が抜けたようにばたりと倒れ、ぼそぼそとしゃべり始めた。



「もしもし、あなたはイタコですか?」

「いかにも。」

「すいません、イタコの霊を降ろしてもらえませんか?」

「無理だ。」

「そうですか、ならばあなたは偽者ですね。」

「いいや、私は本物だ。イタコとはこの世とあの世をつなぐことが出来る者のことだ。しかし、今私がいるあの世のあの世にはイタコは存在していない。いや、霊がいるのかどうかもわからない。むしろ私の予感では、あの世のあの世につないだとき世界はどうにかなってしまうだろう。」

「いいですよ、責任は私がとりますから、どうぞ繋いでください。」

「まあいいだろう。わたしもそろそろこの世界に飽きてきたところだったからな。あの世のあの世につないでみよう。あとは野となれ山となれ。」

それから彼はいくつかの呪文を唱えた後、バタリと倒れ、この世のものとは思えない形相でのた打ち回った。



宇宙がこの世とあの世の二つしかなかったのなら、彼にとってあの世はこの世であり、彼から見ればこの世はあの世だったのかもしれないので、もともと無理な注文だったかもしれないし、この世のイタコの霊を呼び出すことが出来たかもしれない。そう気付いたのはずいぶん後のことだったので、今となってはイタコ達が本物のイタコだったのか演技にだまされてしまったのかはわからない。ただ、この目の前にある穴は一体何なのだろうか。