Wonderwall

2007-10-16

[]船中の祈り 22:44 船中の祈り - Wonderwall のブックマークコメント

 その船が豪華客船で無いことは一目瞭然なのだが、壮大な奴隷船というわけでもなさそうだった。天国のように快適ではないが、地獄のような耐え難い場所でもない。目的地はどこなのか、どのような運航予定なのか、すべては謎であり未知である。航路の先に答えがあるのかも知れないが、それを保障するものもない。未だ見ぬ大海原に漕ぎ出す冒険の船出かもしれないし、あてもなく永遠にさまよい続ける難破船かもしれない。ふと不安を感じ、船内の散策を試みたのだが、その船はあまりに大きく、どの客室も同じような人間で溢れていて身動きがとれず、とても操縦室には行き着けないだろうし、誰が何の目的で運行している船なのかを知る手掛かりすら見当たらない。人々はただその巨大な船に乗っているだけなのだ。何故ならそれは人々が子供の頃から取り組んでいたゲームにおける最善の選択の結果だったからである。許された選択肢の中から常に最も上位にあるものを選択してきた結果、人々はその船に乗り合わせたのだ。他の船のことはよくわからないし、同じ船にどれだけの人間が乗っているのかもわからない。ただ目の前の課題にベストを尽くし、余所見をせずに努力してまっすぐ進んできた結果である。恥ずかしいことや後ろめたいことなどなかったはずだ。ならばもっと胸を張るべきなのだが、なにか漠然とした不安がぬぐえないのは何故なのだろうか。ふと思い立ち、自分の心の不安を解き明かそうとしたその瞬間、ある可能性が脳裏に浮かんだ。あまりに忌まわしき想像だったのですぐに打ち消そうとしたのだが、強烈なイメージが心に刺さってしまった。口に出すのも、考えることすらはばかれるような、本能的な違和感を感じて吐き気がした。船内のバーカウンターには豊富な酒が用意してあったので、ストレートのウイスキーを身体の中に流し込み、その恐怖をなんとか麻痺させることができた。もう寝よう。明日も早い。


 寝床に入り、麻痺した頭で今できるベストな行動を模索してみた。しかし残された選択肢はもう祈るくらいしかなかった。生まれてはじめてその事実を痛感した。涙が出てきた。それでも祈らないよりはマシだと思い、全力で祈った。


『どうかこの船が、食肉運搬用の船ではありませんように。』


 しかし最後の祈りも安楽を与えてはくれなかった。それどころかさらなる絶望に襲われることとなった。


 いったい私は何に対して祈ればいいのだろうか。


ファック文芸部 - 食人賞

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