東邪西毒

2011-10-30同伴賭博

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『ツィターの誉れ』  http://d.hatena.ne.jp/Negiko/20111030


若いバイニンと老いたバイニンのはなし。


若いバイニンが観てたのは『第三の男』で観た映画は千日前の『千日前国際シネマ』って設定にしようとしたんだけど、『第三の男』の公開は1952年(昭和27年)でギリギリアウトだがみなかったことにした。


『千日前国際シネマ』は1956年(昭和31年)で完全にアウトだったので名前は出せなかった。残念。



2010-10-16超人X(仮)

[]ベストセラー


私の兄(@座敷牢)がこんなに正気なわけがない


とある魔術の禁書目録(ネクロノミコン)


破瓜とテストと娼姦獣(禿VS忘八~吉原死闘編~)



[]

同じ小林靖子氏の脚本で、キャラも割と重複するところが多いとは思う、オーズの主人公、火野映司と電王の主人公、野上良太郎。


主人公の精神性の見せ方でいえばオーズは電王のときよりも説得力があると思っている。


二人共、ヒーローに要求される心体技の心の部分のみに関してはほぼレベルマックス。

冒険のなかで苦しみ悩みつつ心が成長してゆく、例えば、Wのフィリップのようなキャラと違って、ある程度人格や方向性が物語の序盤で固まっている印象がある。


ただし、それが電王のときは、ヒーローの苦悩に関してはほぼ全て二号ライダーが引き受けているという背景もあって、「良太郎」という好ましさが通じない人には苦しいところがあったように思われた。


その点、オーズの主人公からは、清濁併せ呑む器量みたいなのを感じられるるし、なにより、「自分」が「今」できることを追求しているという積極的な行動が見られて、それが好感度につながっている。


周囲は腐っているかもしれないけれど、それは仕方ない。

望むようには事は運ばないかもしれない。

でも、諦めていない。



パートナーのアンクの利己的な性質をただただ非難して拒絶するのではなく、それをある程度容認しつつ「契約」を取り付けたり、その行動パターンを読んで被害を最小にするよう取り計らったり。

おっ、強いじゃん、このお兄さんって思うんですね。

強いと書いてしたたか、みたいな。



というわけで明日のオーズたのしみっすね。

恒例月イチ二泊三日のバイト中だけど、しっかりオーズは見られる環境なのがうれしいね。


ヘ(^o^)ヘ オーズ!(^o^)/オーズ!(^o^) 三オーズ!三(^o^)オーズ! (/o^)カモーン!!!


2010-04-30鼓橋幻境

Twitter始めました。


https://twitter.com/negeek



2010-03-03説き伏せられて

[]「デザトリアンのぉぅ出ましよぉーっっっ!」「わぁぁたしだぁってものかぁきめぇざしてたのになんであぁいつらぁだけbloggerきぃどぉりー?」

だいたいそこらへんで脳内会長はこう言いだすわけよ。

「もし本気でそう思っておるのなら

さっさと文芸とやらを書けばいいのだ

グズグズ言わずに……

ピシピシ書くべしっ……!」


んで、それを受けて脳内カイジがじたじたとゴネだす。

[]『Mr.Storm』

行き交う人影が少なくなり始めた頃、オフィスの一角で電話が鳴り、その付近が不満げにくすぶり出した。


『今、島さんから電話があって明日の予定表に書き換えあるって……』

『またかよー。いい加減、時間外だっつの』

『いっつも指示出るの遅いよね、彼』


『俺、やりますよ』


山田孝司(28才)は少し離れたデスクから声をかけた。


『指示拾っときますんで、先輩たち先にあがっちゃっててください』

『いいのか?自分の仕事まだ済んでないじゃん』

『納入リストのダブルチェックまだ済んでいなくって、今日は遅いんスよ。んで、どのみちPCが、メンテ入って、一旦は落とさないといけなくて。復旧するまで暇ですから、やっときます』

『ほんとー?悪いね』


山田はとっておきの笑顔を見せた。

仕事がややもすると遅い方に入り、特に特殊なスキルを有するわけでもなく、資格もまだ取っていないという程度のスペックの彼が、口さがない職場の中で極力精神的ダメージを被らずに過ごして行くには、月に数度、こういう類の骨折りをする必要がある。


山田はマイペースでやれる残業が好きだから、日中の数十分の作業よりも、時間外の1、2時間の作業が、むしろ有難い。

作業に備えて、給油室へゆき、コーヒーを淹れた。砂糖とクリープは両方入れる。ただし、彼は缶コーヒーだけはブラック派だ。


指示拾いの作業はいつもに比べて手間取らなかった。PCの復旧まで20分程度ある。背もたれに体を預けて携帯のメールをチェックする。

新規メールが5件。


スパムメール「夫の精子があてにならない訳アリ人妻~中出し謝礼あり!」が1件、ツタヤのレンタル割引通知が1件、出張中の上司から明日の会議が午後になる旨の連絡が1件、更に13時の新幹線で帰るという補足あり、最後に、彼女から1件。



chihiro_akane_loveloveshow@ezweb.ne.jp

Re:コウタの結婚式

02/27 19:23

こーじ、お仕事お疲れ様!!(手を振るアニメーション絵文字)

この前一緒にみよーって言ってた『エクリプス』だけど、やっぱ来週にしにゃーい?

土曜は絵里たちと湯河原におとまりだから日曜はちょっときついかなーっておもったの。

こっちから誘っておいてゴメンネ(汗の絵文字)

ゆがわら行ったら写メ送るね!!!



雲行きがあやしいな、と思う。茜とは付き合って、2年半になる。デートにしてもセックスにしても試せるシチュエーションは全部やってしまった。目新しさはなくなっている。

茜は、人目をひくほどではないが、容姿は良い部類に入るし、気働きも十分だ。とりたてて不満はない。積極的に別れる気はないが、志向の違いが気になるのも確かだ。

休日は自宅でゆっくりしたい山田に対し、やれ映画だ、やれ小旅行だと、茜は常にどこかに行きたがる。


着飾っている自分を見て欲しいという女らしい虚栄もあるだろうし、ノンポリで周囲に流されやすく、一つのことにうちこめない性格もあろう。

ミーハーなのは一向にかまわないが、そのことに自分の時間を取られるのは惜しい。

旅先の景色などについてもその時は綺麗だと思うが、それだけである。数万円の旅費や一日二日の時間をそそぐほどではない思っている。いくら着飾られても、どのみち最後はいつも脱いでしまうのだから、という気持ちもある。

茜が好むすべての嗜好に対し、他の誰かが楽しむこと、という印象がついてまわるのだ。

その他の誰かのなかに茜はストライクに入っているのだろうが、こちらは入っていない。


それでも、替えを探す面倒さに比べれば、ある程度の不便は仕方ない、と山田は観念している、ただし、茜の方では、どうにも、こちらをせっついて遊びにでかけるよりも、職場の同僚たちと行動を共にする方が楽に動けるし、楽しいと気付いてしまったらしい。そのうち男の同僚と浮気でもされるのではと訝しむが、寝とられ男という称号が不名誉なだけで、気が気でないというほどでもない。


『湯河原の写メもいいけど、ちゃんんとお前の顔も写してくれよ』とメールを打つ。

嘘はついていない。湯河原の写メなどクソ面白くもないが、茜がそこでどんな表情を作るか、それは見ていて面白いだろう。


山田が帰宅したのは夜10時過ぎであった。


コンビニで買ったロコモコ丼とペットボトルの黒烏龍茶を平らげて、風呂に入る。

そこで11時を過ぎる。寝るにはいつもより少し早い時間だ。

そう、ここからは趣味の時間だ。


PCをスリープ状態から立ち上げる。

大手掲示板の『一語一会』にアクセス。


この『一語一会』、当初、有志の女性が中心になって立ち上げた掲示板である。参加者の人数が増えるにつれ、男性の比率も増してゆき、今では出入りする人間の過半数が女性だが、7割まではいかないであろうという程度の男女比である。


山田は一週間ほどまえの自分の投稿を見返してみた。


会心の出来だったのだが、新しいコメントは少ない。今日も2件レスがついていたが、全く面白みのないものだった。

自己記録には遠く及ばない。

山田はさして気を落とすこともなく新規スレッドを作り始める。荒らし防止の為の視覚認証の文字列を打ち込んだ先に出てきた入力フォームに目を凝らす。

フォームの中は真白でまだ何の文字も打ち込まれてはいない。

新雪のような白だ。

意匠をかきたてられるその色合いに、一瞬、厳かともいえるような気分になる。

おもむろに、キーボードを叩き始める。



タイトル:息子の交際相手が学会員なのですが……

投稿者:ゆーいちママ

本文:はじめまして。45歳の主婦です。数ヶ月前、大学生の息子に彼女ができたということで、相手の女性に紹介されました。

最初の印象については、気立ての良さそうな良い娘さんだと思っていました。容姿は正直言って並でしたが。大学での成績も良い方だという話でした。

ところが、先月頃から、某学会員だということが判明して、急に危機感を覚えています。


一度、宗教に関して問い詰めたところ、『私の親が加入しているので、私自身も学会員ですが、信仰はそれぞれの自由なので特に周りに広める気はありません』とのことでしたが、どこか信用できません。


息子はすっかり感化されて、次の選挙では○○党に入れると言っています。

「いろいろ考えた結果、ケイコ(彼女の名前です)と同じ党に入れる。政治家なんてどうせだれも信用できないから、同じ信用ならなさであれば、ケイコに近い存在の方がいい。お父さんやお母さんは今までどおり自民党に投票してていいから」などと言っています。


最近では、彼女の知り合いの主催する、お隣の国から来た留学生の歓迎会に出入りして、ゆくゆくは向こうに留学する気でいるようです。

留学するならアメリカかイギリスの方が絶対に世界に通じる技術を学べるのに……。

怒りっぽい、押しが強い……はっきり言ってよい噂を聞かない隣人たちです。

工業製品だって日本製には到底かないません。色々不幸な歴史があったとは思うものの、結局のところ、あちらの人はすべての面で優れている日本を妬んで、恨んでいるのではないでしょうか。留学に関しては絶対反対なのですが、息子にそれを言っても、「母さんは考えが古いんだよ」と取り合ってくれません。どうすればいいのでしょうか?



一気呵成に書き上げ、カーソルをぽんと叩く。

この前のものは推敲しすぎた。美文にはなったかもしれないが、人の心を捉えない。

やはり、原点に立ち返るべきだ、と思う。

なるべく頭をからっぽにして、市井の感情が流れ込んでくるがままに書く。

怨嗟、優越心、祈り、焦燥……。


こうやって山田は自分の時間を持てる夜には、人々が彼ら自身を映してやる鏡になってやることにしている。


利用者数は数百万人を超えるともいわれる『一語一会』。それが何故ここまで多くの人間に利用されるに至ったのか。

色々な指摘がなされている。しかし。

小さなものが大きなものになるのには理由がいるが、大きなものが巨大なものになるのに理由はいらない。山田はそう思っている。

『一語一会』には人がいるから。だから、人はそこに己を持ち寄るのだ。


山田は、悪意を、侮蔑を、説教を、排泄のようなものと思っている。

どこかに垂れ流さずにはおれず、どこにでも垂れ流すわけにはいかない。


現代の神官なのだと、彼は時々自分のことをそう思う。

そして、次の瞬間には、そういう自負こそが、零落を呼び寄せるのだと気づいて、俺はただの一社会人、ハンガーにぶら下がった量産品のスーツも同然、と己を戒める。

その戒めは山田をより空っぽにし、より良い投稿を書かせてくれる。そんな気がする。


山田は投稿を終えると、メールをチェックする。

茜からまたメールが来ている。後ろめたいことをやらかす前兆だろうか。

上司にメールを返していないことを思い出し、こちらにも返信を送る。


寝る直前に今一度『一語一会』にアクセスし、さきほどの投稿へのレスポンスを見る。

わずか30分で7件のコメントがついている。滑り出しは上々。

しかし、レスポンスの数が多ければいいというものでもない。

そこには渦がなければならない。感情の渦が。

投稿の主旨とそれに対する反感のぶつかり合いでもいいし、投稿を擁護する者と否定するものの衝突でもいい。それらを見物して高みに登った気になるもの、厭世を深めるもの、茶化すもの、何がなんでも諍いを和解させたい者、そんな小さな渦が大渦の周りにできてくれればなお良い。

渦は、できているか。


「息子さんは既に学会員候補。いまのうちに思い切った行動を!」


「心配なのは分かるけれど、子離れしていないように感じます」


「隣国を馬鹿にしすぎ。息子さんはマトモなだけです」


「学会と留学生云々はまた別に論ずるべきでは?」


「いやーそんなことないっしょ、学会と半島や大陸との絡みはもはや常識」


「トピ主がぜんっぜん好きになれない。こういうおばさんが姑になってほしくない」


「嫁候補なんて好きになれなくて当たり前。ただ、そこから出発して相手を理解する努力を」


大漁の予感がした。

彼は、しきりに手を握っては開いている自分に気がついた。嬉しい時についついでる癖だ。

趣味を持てる充実を胸に、彼は明日に備える。ベッドに入る。


明日は朝礼のある日だ。6時半には起きていないといけない。朝礼のあと、いったん会社の外に出て朝マックを食べたい。いつもは松屋で済ますが、水曜の朝は特別だ。

上司が帰ってくるのは午後。それまでに共有のパソコンに入っているパワーポイントの資料に手直しをしないといけないが、それはだいたい1時間あればできるだろう。

茜から、大した要件のないメールがまた来たら、本格的に鞍変えを企んでいると思っていいだろう。デートと称して呼びつけるのはそれはそれで面倒だが、当面の牽制くらいにはなるだろうか。

給料日までまだ間があるし、それまでに飲みも何度かあるだろうから、夕食奢りというのはそこそこ負担だ。しかし、まぁ、許容範囲だ。泊りは敢えてナシにしよう。

そんなことはさておき、新人二人の教育は、なおざりにすべきではない。

一人は放っておいても、うまくやるだろうが、もう一人が割にトロい、但し、性根が善良そうなので、ある程度丁寧に教えてやりたいものだ。

研修の振り返りも5時頃までには終わるだろう。


そして、夜。

夜、時間ができたなら、また何か書こう。

読めば人が働きかけずにはおれない文章を。


混濁した眠りに入る彼の枕元では読書灯が穏やかな光を放っている。


今宵もまた、夜は無数の灯を己が身のうちに飼っている。



[]

http://twitter.com/breasvha


最近では知り合いが発起人のここらへんでいくつかツイートを書いてました。
匿名性が気に入ったっていうのはあります。(自分名義だと笑わない人が、匿名だと笑ってくれるかも、というのは大きい)

いくつかのフレーズとそのニュアンスを押えると誰にでも書ける、書こうと思えるのがとても良いです。

『高慢と偏見とゾンビ』をはじめとするゾンビものではフレーズを置き換えるセンスが問わるようですが、カシュラム通信は、それと似てまた少し非なる位置にある気がします。

FletaFleta2011/05/05 02:37No more s***. All posts of this qualtiy from now on

xgfjgsfxgfjgsf2011/05/05 21:31pkxQGy <a href="http://tpdlusjwrjgk.com/">tpdlusjwrjgk</a>

tpgwknbbgstpgwknbbgs2011/05/07 13:55mSlXZR <a href="http://ivlonemfcorh.com/">ivlonemfcorh</a>

bpxnpbfjcbpxnpbfjc2011/05/08 12:504HXDWt , [url=http://pqjjbwukkfkp.com/]pqjjbwukkfkp[/url], [link=http://zdlcwyxshtsn.com/]zdlcwyxshtsn[/link], http://vzvqmvbxkwka.com/

2009-06-17ダブルムーン伝説

能書き

燃やし賞第2回のテーマが『架空のシューティングゲーム』だと聞いて、別名義で書いたものを発掘。

濁れよ!お茶!

文フリで個人誌出したい欲が出てきました。

[]『Three Century of Gravities』完全ガイドブック

出版元:二葉社

頁数:156p

価格:¥2700



≪序文≫


ライター/ローレンシア大塚



『重力の三世紀』は2010年にPS3で発売されたカルト的名作“Dooms and Dungeons”こと『宿命宮』の続編である。


『宿命宮』は世界観こそRPGの古典、ウィザードリィに倣い、迷宮とそこに徘徊するモンスター、それらが隠し持つ財宝、戦士、魔法使い、盗賊といった能力を反映する職種といったモチーフに終始しているが、システム面から捉えればウィザードリィとは真逆のものである。


アンチとさえ言えるかもしれない。


Wizやドラクエといった名作により育まれ、脈々と受け継がれていたパラメータ操作型のターン制バトル。

今やRPGと言えばそれら数値型のバトルを主眼に置いたゲームとほぼ同義、ニアイコールである。

従来なら、そこで、別のシステムを、と望んでも、ターン制のパラメータ操作がリアルタイムアクションにすり替わってアクションRPGと呼ばれるものになるだけだった。


『宿命宮』は、それら現行RPGの潮流に対し、堂々とNOを唱えたのである。


“Dooms and Dungeons”の戦闘シーンを友人宅で初めて見たとき、僕はその異様さにただただ驚いた。


HPやMPが可視化されず、能力値がすべて隠しパラメータになっている。

のみならず、そもそもどのようなパラメータがあり、どのような計算式になっているかが皆目分からないのである。

バトルは手探りのまま始まり、僥倖と不運に揺さぶられながら終わる。


友人の操作する剣士が二体のリザードマンとの死闘の末、斑々と血の落ちたフロアの上で肩で息をしているのを見たとき、僕はRPGの新世代の到来をひしひしと感じていた。

あとは恋に落ちたようなものだ。僕は夜通し友人宅で『宿命宮』をプレイした。ちょうどイェソドの南廊、フロンティア発狂のイベントが起こったところで殺されてしまった。


得体が知れないながらも背中をあずけられる仲間であったフロンティアとの対決、そして敗北。『宿命宮』ではプレイヤーキャラの死は絶対である。ゲームがすすめば、水鏡、獏使いなどのアイテムを使って一時的なセーブによる状況の巻き戻しを図ることも可能にはなるが、それにしたって分身の死、予知による死の回避という体裁を取るのだ。


一夜の冒険が切り刻まれて無に帰ってゆくのを僕は呆然と見ていた。徹夜明けで僕の心はひどくバランスを崩しやすくなっていた。いともあっさりローレンシア(僕のプレイヤーキャラだ)の無念を思って泣いた。7時間のプレイ時間を7年の月日のようにも感じていた。


タイトル画面が表示されたが、僕は無残な死の余韻に浸っていた。外を見れば空は夜明け前の闇を含んだ蒼だった。始電がでていることを思い出し、僕は秋葉原へと向かった。無論、『宿命宮』を買いに。ソフマップに開店前から並んで、『宿命宮』を買った。クリスマス前だった。店員から『プレゼント用ですか?』と聞かれた僕は何故か『はい』と返事してしまい、訂正するのも気がひけて見守っていると、『宿命宮』は迷宮の壁の色模様にも似た包装紙にくるまれ、深紅のリボンがかけられた。それはこの傑作に妙に似つかわしい姿だった。

僕はそのプレゼントを帰り道ずっと胸に抱いてた。

自宅に帰るとシャワーを浴びて一眠りした。布団に入るとすぐに意識がとんだ。夢を見た。

宿命宮の夢だった。

悲しいけれどひどく晴れやかな気持ちで目が覚めた。夢の内容はすでにあらかた忘れかけていたけれど。

周りを見回すと枕もとに贈答用に包装された『宿命宮』が転がっていた。迷宮の壁を剥いでそこに置いたみたいだった。あたかも、それが夢が夢じゃなかったと主張しているように。


あとは言うまでもない。


至福の日々だ。


“Dooms and Dungeons”の発売から7年。多くのことがあった。

大学を中退して出版社に入り、長年の夢だった『ゲーメスト通信』所属のライターになった。

おそるおそるしたためたゲーム評だったが、意外にも読者には好評だった。これがきっかけで季刊の『ゲメ通ポータブル』の編集長を任されるという思わぬ出世もした。無理ではないかと諦めていた結婚もしたし、子供できた。

忙しくなくなり、身軽さを失った。

仕事の一環としてゲームを見る向きが強くなり、一プレイヤーだった頃の童心を忘れがちになった。


そんな折の”Three Century of Gravities”発売である。

正直に言おう。昔はいざしらず今の自分がゲームにハマれるはずがないとたかをくくっていた。


”Three Century of Gravities”のデモ画面のスクリーンショットがプレスに流れ始め、ゲームショーでのテストプレイの素晴らしさが周囲で囁かれ始めても、自分には関係のないことだと思っていた。むしろ、このカルト作の続編発売に対する周囲の熱狂は僕の熱を冷まし、僕を、前作への郷愁と、郷愁が往々にしてもたらす現世への興味への喪失に浸らせていたようである。


僕が愛したのはあくまで”Dooms and Dungeons”であり、”Three Century of Gravities”ではない。


そんな傲慢な気持ちにさえなっていた。


バカ。


レビューを書かねばとゲームを始めてものの数分。僕は7年前の冬の夜に戻っていた。


違うと言えば全く違う作品である。意図して対比させた部分もあるのだろう。


”Dooms and Dungeons”はリアルに息づいた迷宮内で冒険が繰り広げられる。”Three Century of Gravities”は雄大で解放感に溢れてはいるものの、どこか現実感を喪失した大自然を舞台にしている。


”Dooms and Dungeons”が、基本的に仲間はいても、主人公との関わりのなかでしか捉えられないのに対し、“Three Century of Gravities”は群像劇に近い要素を帯びている。


”Dooms and Dungeons”が戦略をこと細かに練れたのに対し“Three Century of Gravities”は戦闘に際したおおまかなスタンスを選べるだけである。


様々な面で大幅な変更があるにも関わらず、土台は全く同じ印象を受ける。

確かに繋がっている。


正当な、純血の、志を継いだ後嗣。


暴力的とさえ言える進化欲。


プレイヤーと現実とゲームの三者を堅固に結びつけ、一つの回路を形成しようとする試み。


”Dooms and Dungeons”が自分にとって最愛の者に例えられるなら、”Three Century of Gravities”はまさしくその間にできた娘である。


日々老いてゆく僕に、進化を重ね飛翔を重ねる”Three Century of Gravities”はまぶしく映る。

僕には三才になる娘がいるけれど、彼女らはとても似ている。

若く、瑞々しく、前途洋洋である。


彼女らはかつて僕らがいたところを丁寧になぞることもある。


しかし、いつか僕らが辿りつけなかった地平にたどりついてくれるだろう。


全ての”Three Century of Gravities”プレイヤーをことほぎながら、ゲメ通編集部から謹んでこの書を献上させていただく。


  2017年4月11日  ローレンシア大塚






≪寄稿イラスト≫


頁左『伽藍の森』


絵師/冬月皓子


イラストレーター、絵本作家。『エクス・マキーナ』シリーズキャラクターデザイン、絵本『かげかあさん』など


コメント:

一世紀編の終わりになんの気なしに播いた種は二世紀の途中で巨木の立ち並ぶジャングルに。ゲームをやっていて『わぁっ』とため息を漏らしたのは初めてです。




頁右上『ハートブレイクヒル』


絵師/プレイア


漫画家。『週刊少年ジャプン』上で『カバディマスター富樫』を連載中。


コメント:

覚悟と漢気と殺意がみっちり詰まっている三世紀が時代的には一番好きですね。




頁右下『パラダイス』


絵師/蛭蛹蛆


イラストレーター。画集『月窒身寸米青』(ゲツチツシンスンマイセイ)など。


コメント:


パラダイス。逆さに読むとスイダラパ。

フリーダムなキャラが多いゲームですが、最初ビクンビクン途中クパッしばらくしたらゲル化して最後にオギャーってなる抜きんでたフリーダムっぷりに心奪われました。やつは大変なものを盗んでいきました。あなたのいのちです。仲間内でのあだ名は『副乳』。






≪『重力の三世紀』に影響を与えた作品たち≫


"Three Centuries of Gravity" (Geyser)

ゲームタイトルはブリティッシュロックの大御所、ジェイサーの”Three Centuries of Gravity”より。薬袋プロデューサーがこの曲を聴いていたときに骨子となるアイデアが湧いてきたとインタビューで答えている。

著作権の関係から、Centuriesが単数に、Gravityが複数形になっている。

"Three Centuries of Gravity"自体もノーベル賞作家、トマス・ピンチョンの『重力の虹』に影響されたものである。


『魔法戦士ミルキーフラッシュ』

同名アダルトゲームをアニメ化したすがすがしいまでに露骨に扇情的な美少女アニメ。

パラダイスが泳いでいるときの水着(?)の元ネタである。


『ア・ビット・ライフ』

2009年にアーキテクトから発売されたライフゲーム。

伽藍の森はア・ビット・ライフ植物版の趣があり、デザイン担当の小倉氏とプログラム担当の織部氏はこのゲームの熱烈なファン。