2007-11-02
第二回ファック文芸部杯で起こりうること
というわけでもう始まってるわけですが、ちょいと思った所を書いておきます。
今回のレギュレーションは http://neo.g.hatena.ne.jp/bbs/10 にあります。まだ読んでない方はぜひご一読を。
さて、読んでいただければ分かるとおり、第二回ファック文芸部杯に参加するにあたって必要なプロセスは、大まかに言って二つです。
- はてな匿名ダイアリーに記事を投稿する
- 投稿者がその記事は自分が書いたものだと表明する
この二つを満たさなければ第二回ファック文芸部杯参加作品とはみなされません。
ここでポイントになるのが2つ目のプロセス。これは2007-12-03以前であれば、いつ表明しても構いません。ですが表明しなかった場合は何作品投稿していようと、参加したことにはなりません。
つまり、参加する気満々でブックマーカーを釣る要素満載で書き込んだ作品が不発に終わった場合、黙っていれば、それがファック文芸部杯参加作品だとは誰にも指摘できないわけです。失敗したらバックレることができるんです。
逆に、何の気なしに書いたエントリが、まかり間違って人気エントリーなんかになった時は、後出しで「これ実はファ文杯参加作品なんですよへへへ」って言うこともできるってことなんです。
で、何が言いたいかというと「はてなユーザーの皆さん、ちょっとこの機会に創作してみませんか」ってことなんです。
別にフィクションじゃなくてもいいです、実話であっても立派な文芸です。それを書くときに今までよりもちょっとだけ読者の受けを狙ってみませんかという話です。
狙って書いて外したら恥ずかしいじゃないかって? そんときゃ黙ってればいいんです。なんたって舞台は匿名ダイアリー、はてなの不手際さえなければ誰が書いたかわかりゃしません。
んで、もしも受けたなら、それはそれで遠慮なく自分の手柄にしちゃってください。「これは自分が書きました。ファック文芸部の名を冠した大会で部外者が勝っちゃってすいません。えへへ」って威張ってください。
そしたら僕らは凄い勢いで悔しがりますから。
繰り返しになりますがもう一度言います。はてなユーザーの皆さん、この一ヶ月、はてな匿名ダイアリーで文芸に挑戦してみませんか。
2007-10-01
孤独なグルメ
ある男が女性を誘拐して殺したそうだ。しかもその男は女性の体の一部を食べていたという。正直に言って、理解できない、と思う。ここで言う理解できないってのは、人の肉を食べたいという気持ちが理解できないのでなくて、なぜ様々な食材の中から人肉を選んだのかが理解できないという意味だ。だってそうだろう、人なんてめんどくさい生き物、相手にできるわけないじゃないか。あまつさえ殺さなくてはいけないだなんて! スーパーに切り身で並んでいるのなら、一度は食べてみようかなんて気になるかもしれないが、そうでない以上自分で調達しなきゃならないし、あまりにもデメリットが大きすぎる。食事に至るまで費やす労力が大きすぎて、肝心の食事へ向ける関心が削がれてしまうじゃないか。殺人という反社会的な行為を犯してまでやることじゃないと思う。
そもそもモノを食べる時は、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか、救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……
生きるための食事でもなければ、食事のために生きるのでもない、ただ食事のための食事。
空腹を満たすわけでも、栄養を取るためでもない、味わい、飲み込むための食事。
僕が求めているのはそんな食事なんだ。それを遂行するには人肉という「選択」には色々と不純なものが含まれすぎている。
食材としての意味を削ぎ落とされた食材。誰でも手に入れることができるもの。それがなんだかわかるかい?
やはりなんだかんだ言っても、食べやすい方がいいんだよな。だから僕は最近肉は食べてない。そうすることによって、その食材は口にしやすくなる。たまに肉も食べるけど、それはそうした方がいいかなと思う時だけだ。
その食材はどこか遠出しなくても手に入る。そう、あなたにも。より極上のそれを手に入れるために体調管理は怠ってはいけないよ。
最後のヒント。僕はこの数年というもの、便座に座ったことがない。わかってくれたかな。
(食人賞非応募作品)
2007-09-08
自由律なんとか
自由律俳句かっこいい。五七五や季語に捉われない俳句。それって短文じゃん。いや違うらしい。五七五なんて俳句の十分条件であって必要条件じゃない、ということなのかしら。では俳句らしさとは?
そんなことは意外とどうでもよくて、国語の教科書で五七五が十数句列挙された後に並んでいる「咳をしてもひとり」「分け入っても分け入っても青い山」の衝撃といったらなかった。
いろんな自由律を探してみよう。例えば自分は駄洒落を文芸としてとらえたいと思っているのだけど、駄洒落が駄洒落である理由のひとつとして「音韻の一致」があって、それをなくしたものを自由律駄洒落とよぶならば。洒落にならないコトなどなくなってしまう。
そりゃ面白い。
アレも自由律、コレも自由律。
2007-08-20
「『断片部』の話をしようか」
「だんぺんぶ?」
「そう、断片部だ。寒風吹き荒ぶはてなグループの荒野に現れた一筋の光明、それが断片部。聞きたいかい?」
「うん、聞かせてっ!」
「始まりはいつも一人の人物。はてなグループはいつだってそうだ、断片部も例外じゃない。その一人の人物は断片部、グループIDはfragments、そういう名のはてなグループを立ち上げたのさ」
「だんぺんぶ…… ふらぐめんつ……」
「そう、まさにフラグメントを集める場所だったのさ。思考の断片をね。で、後に活発になるはてなグループはえてしてそういうもんなんだが、周りから見ると立ち上げ人が何をやりたいのかいまいちわからなかったりするんだな、それでも彼は断片部の活動を粛々と行った」
「なんか、さみしいね」
「そうだな、さみしいな。でもその段階が人を共鳴させるのさ。始めは分からなかった周りの連中のうち、『こういうことじゃね?』って思ってしまうやつが現れるわけだ。それが立ち上げ人の意思と完全に一致してるかはあまり関係ない。でも共鳴して心に響いた、そしてグループに参加するという行動を起こさせたところにこそ意味があるんだな」
「ひびく……」
「そしてメンバーが増えれば、他の連中に響く可能性も高くなるんだ。スピーカー1つよりも2つの方が迫力あるだろ?」
「今の流行りは5.1chだけどね」
「はは、そうだな、多い方が伝わるんだ。でな、そういう初期のメンバーってのは他の人に響く前に響いたわけだから感度が高いというか、位相が近かったわけだ。各人ちょっとずつずれてはいたんだろうけどな」
「ずれててもいいの?」
「ああ、大丈夫だ、むしろ大いに結構。そんなメンバーがそれぞれ断片部にふさわしいと思う破片を集めたり、作り出したりするようになった。するってえとな、うまい具合に、こう、バラけるんだよな、種類が。」
「断片の?」
「その通り。大小軽重長短濃薄白黒ってな感じでいろんな断片が集まった。でもなそりゃあくまで断片だ。見る人によって解釈が変わる。『こりゃでっけぇ角だなあ』って言うやつがありゃ『いやいやそりゃ肋骨だ』って言うやつもいる。面白いだろ」
「うん、僕もやってみたい、難しそうだけど」
「皆がそうおもってたよ。面白い破片が日々集まるわけだ。そしてそれに比例して外から響いて入ってくるやつも増える。断片部を覆う外幕は日に日に大きくなっていった」
「うーんなんかわけが分からなくなってきたよ」
「そうだろうさ。みんなそうだった。断片部はもはやfragmentsじゃなくて『ダンペンブ』っていうモンスターみたいな扱いをされるようになったのさ。だれがどんな断片を提出しようが、外のやつは吟味しようとしねえ。『ああ、ダンペンブらしいね』『さすがはダンペンブだな』『またダンペンブか』ってな具合よ。しまいにゃ断片でも何でもねえ物を見つけて『こりゃダンペンブ送りだな』なんて言うやつすらでる始末。でっかく膨らんだ外幕だけしか見れなくなっちまってたのさ、皆がな」
「中のひとたちも?」
「ある程度はそうだったんじゃねえかな。『ダンペンブこそ断片部』って思って入った奴もいるだろうしな。それを否定することはできねえけどな。各自が思う断片を生み出し集めるのが断片部なんだから、それも違うとはいえないのさ」
「じゃあ大きくなるばっかりだね」
「ううん、そうもいかねえんだな、これが。もはやダンペンブと化した断片部を断片部としてふさわしくないと思った奴がいたんだ。そいつらは大概が古めのメンバーで、どでかい断片を生み出す奴らだった。そいつらが一人また一人と断片を集めなくなった。別の場所に移った奴もいれば、中にいるまま沈黙する奴もいる。なんにしろ断片の総重量は増えなくなった。むしろ減少したと見る奴の方が多かっただろうな」
「どうもならないさ、断片部は在り続けた。消えたのはダンペンブっていうモンスターさ。断片部の骨組みを作り上げたがゆえにダンペンブというモンスターを召喚しちまった主要メンバー達なんだが、そいつ等がいなくなることで断片部は本来の姿を取り戻したのさ」
「切ない話だね」
「ああ、そうさ。でも、それでも断片部は強い。一時は立ち上げ人すら活動を停止していたのに、その仕組みは止まることなく動いてた。俺ははてなグループというシステムの一つの到達点だと思っているよ。そしてそのシステムは他のはてなグループにも受け継がれた。断片の種が芽吹いたとでもいおうか」
「どういうこと?」
「つまりな、断片部のシステム的に優れていた点、立ち上げ人が一見理解しにくい概念を立てて、それに響いた者たちが集まってそれぞれの解釈でその理念を推し進めるっていう仕組みのことだけどな、それを意識的にか無意識的にか組み立てたグループがあるんだよ。そういうグループは、強い。例えば理論とか、偽装とか、ファ文とかな」
「でも、モンスター化しちゃうんじゃないの」
「ところがそうはならなかったんだな。断片部的な仕組みを持ったグループがいくつかできて、初期断片部の勢いを持つグループが複数ある状況だ。しかも断片部そのものもまだ生きてはいたからな。ダンペンブの頃とは景色がだいぶ変わったんだよ。はてなグループって荒野もな」
「なんかいい感じだね」
「ふふん、でもつまんねえだろ?」
「んー、まあね」
「同じことを思った男が一人いた。そいつはこう言った『断片部は馬鹿と屑の夢工場に成り果てた。手を出す価値すら無くなったね』」
「なにそれ?! かっこいい! そんでどうなったの?」
「ふふふ、『それはまた別の物語』ってやつだ、さあ寝ろ」
「えー……」
2007-07-31
漆黒鉛筆(8/100話)
百物語 |
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彼は息を切らして自宅まで走り帰り、玄関ドアを開けて入って閉めて、やっと息をつきました。その心臓はドムムムムと膨張収縮繰り返し、汗はダラダラ滝のよう。それは家まで走ってきたことや夏の暑さのせいだけではありません。彼は人の持ち物を盗ってきてしまったのです。と言ってもそれはたかがシャープペンシル一本。でも彼にとっては大きな意味を持つシャープペンシルだったのです。
彼は中学生でした。夏休みに入って間もないある日、まだ朝だというのにぎらぎらと暑い通学路を通り学校へ向かいました。校舎に入ると外とは違いひんやりとした空気の中下駄箱が並んでいます。校庭からは野球部の掛け声が聞こえます。彼は教室へと向かいました。先輩のいる教室へと。
彼にとっての先輩は、とても気になる存在でした。背は高くも低くもなく、顔立ちはそれなりに整っているけれど、これといって目立つタイプでもない。けれどその真っ黒な髪が風に揺れるのを見ると、彼の心はその髪以上に揺れたのです。
彼が部室のドアを開けると、先輩はいませんでした。けれど机の上には参考書とノート、そして一本のシャープペンシルがあります。そのシャープペンシルは先輩の髪と同じように真っ黒でした。先輩は学校に来ているようです。
彼は先輩がそのシャープペンシルを持って何かを書いている姿を見るのが大好きでした。白くて細い指にしっかりと支持されたシャープペンシルが白い紙の上にこれまた黒い線を引いてゆき、その動きに合わせて、うつむいた先輩の黒い髪が微かに揺れるのです。先輩が何かを書くときはいつもそのシャープペンシルでした。片時も離さず、分身ででもあるかのように持ち歩いていました。
ノートの上にはいくらかの数式と、メモ書き。色ペンなんか使ってないのにとても見やすいノートでした。
彼は無意識にシャープペンシルに手を伸ばしていました。カキーンッ。校庭からの金属バット音が彼に我を取り戻させます、が、次の瞬間、彼はシャープペンシルを握り部室を飛び出していました。
なぜ自分がそんなことをしたのかも考えず、彼は家へと全力で走ります。
自分の部屋に入った彼はぜえぜえはあはあ言いながら机の上にシャープペンシルを丁寧に置きました。それを見つめた彼の胸には罪悪感と高揚感がものすごい勢いで押し寄せます。くくくふふふ、ふふうふふふう、と笑いとも泣き声とも付かない声を彼は漏らしました。そしてまだ何も書かれていないノートを棚から引きずり出し、乱暴にページを開いて、そのシャープペンシルで線を書き殴り始めました。シャザーシャザージャジジジと音を立て、白いノートは黒く黒く塗りつぶされていきます。合間にカチカチと神経質にノックを押し、シャザザと黒を引く、そんな行為がひたすら続きます。背中には走っていたときの滝のような汗ではなく、じっとりとねっとりとした汗がまとわり付いています。
彼本人は気付いているのでしょうか、シャープペンシルの芯がいつまで経っても無くならないことに。
ノートは破れ、折れ曲がりながらも黒く染まってゆきます。九割五分ほど黒で埋め尽くされたころ、彼はノックの部分を引き抜こうとしました。彼もおかしいと思っていたのか、無意識なのかはわかりません。でも、その部分はどうやっても抜けませんでした。ならばと今度は先端の部品を取り外そうとしますが、普通のシャープペンシルのようにネジ状になっておらず、全身が一体となっています。彼はアァッと叫んでノックを押したまま芯を引っ張り出しました。つつぅと滑り出す芯ですが普通の芯より明らかに長かったのです。動きを止めずさらに引きます。芯は出てきます。シャープペンシル本体の長さの三倍ほど引き出しても、芯は途切れませんでした。彼はそれでも引き出そうとしましたが、手が滑ったか、芯は折れて床に落ちました。それでも彼は数回ノックし、行為を止めようとはしません。
彼は気付きませんでした。折れて床に落ちた芯が、硬度を失って曲線を描いていることに。
芯を引き出し、折れてはノックする。一心不乱のその行為は終わりを迎えず、いつしか彼の周りには黒くて細い曲線が散乱していました。彼の手にも何本もまとわり付いています。それはさながら、カットを終えたあとの理髪店の床でした。そんな中でも彼は涙と鼻水と汗と笑い声と泣き声を出しながら、その行為に耽っています。
そして、何時間経ったのでしょう、その行為は、遂に、終わりました。芯が途切れたのです。
と同時にドアを開ける音。
振り返ると
そこには
背が低くも高くもなくて
整ってるけれど目立つタイプとは言えない顔で
スキンヘッドの先輩が立っていました。
先輩は彼の髪をわしづかみにし、おびえる彼の眼を見据え、頭頂部から玉のような汗を流し言いました。
「返しなさいよ」
comnnocom2007/08/02 21:53帰宅してテレビつけたら『菊次郎とさき』だったので、先輩役は黒川智花さんに大決定。