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2006-05-15

ねぶぅ(その3)

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その1)(その2


「ねえ、ばあちゃんばあちゃん。ぼくやっぱりなりたくない。」

「なんだいやぶから棒に。何の話だい。」

「ねぶぅだよ。ぼくはねぶぅになるのやだ。」

「ああ、その話かい。そうかい、嫌かい。」

「うん。ねえ、続き話してよ。途中だったじゃん。」

「あんた、学校に行かなきゃならんだろ。」

今日土曜日でしょ。いっつもばあちゃん間違えるんだから。」

「ああ、土曜日は休みになったんだったっけ。よし、そんなら話そうかねえ。でもその前に、あんた顔も洗ってないだろう。話はそれからだねえ。」

「えー…… わかった。」


……


「洗って来たよ。はやくはやく」

「ちゃんと、鏡で自分の顔を見てきたかい?」

「え?……うん。」

「そうかい、じゃあそこに座りな。続きを話す前に、もう一つ聞いとかなきゃならないことがあるんだよ。あんた、ねぶぅを見てみたいかい。」

「え、怖い……けど見てみたい、かな。」

「そうかい。あんたはね、もう見てるんだよ。ねぶぅを。さっき、鏡を見たって言ったね。そこに何が映ってた。」

「なにも映ってなかった……」

「うそだね、あんたが映ってただろう。ってことはねぶぅも映ってるはずさ。」

「僕しか映ってなかったよ!」

「だから、ねぶぅも映ってるのさ。まだわからないかい。あんたが、ねぶぅ、なんだよ。」

「え?」

「だから、あんたがねぶぅなんだよ。」

「でも、でも僕には翼なんてないし、目も大きくないじゃないか!」

「そうかねえ、あんたは、あんたたちは私らが持ってない翼や耳や目があるじゃないか。あんたはまだ小学生なのに携帯電話を持ってるね。インターネットだってずっと上手く使う。私らには何をやってるかさっぱりわからない。あんたらには私らよりもっともっと大きな目や耳、翼がついてるのさ。体に不釣合いなほど大きなね。」

「……」

「あんたはその耳で何を聞く、その目で何を見る?」

「……」

「おや、ちょっと脅かしすぎたかねぇ。そんなに驚くことはないよ。私らみたいな年寄りには今の娑婆はこんな風に見えるってことを伝えたかったのさ。ああ、そういえば続きを話してなかったね。どうだい、聞く気はあるかい。」

「……うん、聞く。」

「そうかい、えっと、どこまで話したっけね。」

「太郎を探すとこからだよ。」

「ああそうそう。止めるものもいたが、若者の一団はねぶぅの山に入っていった。でも決まって、帰ってくる人数はいつも減っていた。逆に、ねぶぅが目撃される回数は増えていった。いつしか、隣の山にもねぶぅが出るようになった。どこへ行ってもねぶぅに会う。そのうち、ねぶぅは言い出した。もう俺たちの方が多い、だから俺たちはもうねぶぅじゃない、人間だ。ってね。あんた達は私らから見れば、そんな風に見えるのさ。そのことをどうこう言うわけけじゃないけど村に残った私らのことも忘れて欲しくないもんだね。」

「……うん、わかった。」

「そうかい、そう言ってくれるだけでうれしいよ。」

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