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2007-01-20

『エアライン』第1回

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見渡す限り、空、空、空。限りなく深く爽やかな空色のなか、ところどころにぽこりぽこりと白雲浮かぶ。

足元を見下ろしても、空、空、空。

頭上を見上げても、空、空、空、そしてまっすぐ延びる一本の線。

視界に入るのはそれだけで、僕はその線にぶら下がっていた。

首を思い切り反らして真上を見れば、僕がどうやってぶら下がっているかが分かる。線の上には滑車のような円盤が乗っていて、線の下に少し隙間を空けてもう一つ円盤がある。二つの円盤はその中心どうしが連結されており、下の円盤の両面から伸びているクランク状の部品に僕はつかまっていた。

こういう部品を見れば、回したくなるのがサガってやつで、僕はその機械を漕ぐ。案の定前に進んだが、5、6回漕いだところでバランスを崩して線が大きく揺れた。

今ので分かった。僕はこの機械から手を離せば、足の方向へ落ちていくだろう。その先に何があるのか分からない。空以外何も見えない。

僕の思いついた選択肢は3つ。前に進むか、後ろに進むか、手を離すかだ。3番目の選択肢を選ぶのは抵抗があった。どこへ落ちるのか全く分からない。だから、僕は漕ぎ出した。とりあえず後へふた漕ぎ、み漕ぎ。前へ向かうより難しい。バランスを崩すのは嫌なので、前に進むことにする。

えっちらおっちら滑車を漕いで進んでいく。不思議なことにほとんど疲れない。漕ぐたびに滑車からキイキイと音がするのが心細くはあるけれど、まずは順調な滑り出しといえるだろう。

さて、漕ぎながら考える。僕は一体どこへ行く? 線から外れては自由に進むことはできないし、落ちるという選択肢は最後の最後まで取っておきたい。だけどあえて前へと進む理由は僕には無いのであった。改めて線を眺める。広い空を分割する一本の線。その端がどこに繋がっているのかは、線が長すぎて全く分からない。漕ぐたびにかすかに線が揺れるのを感じる。小さくゆっくりとした揺れではあるけれど。

どれだけ漕いでも空はずっと青空のままで変わらないけど、さっきまで前の方にあった真ん丸い雲がいつの間にか後方に見える。僕が前に進んでいることを証明してくれるのは雲たちだけだ。なんとも心細いけど、いてくれるだけありがたいと考えた方がいいのだろう。

もうどれだけ経ったか忘れた頃、さすがに漕ぐのにも飽きて手を止める。変わらない光景。なんとなしに上を見れば、線と滑車がある。思えばこの滑車が僕と線を繋ぐ命綱なのだ。もう少しよく見てみることにした。腕を曲げ、顔を滑車に近づける。シンプルな構造。二つの円盤と、動きを伝える連結部分。基本的にはそれだけだ。その時、右側面の連結部分になにか文字が書いてあるのを見つけた。書いてあるというよりも、浮かんでいる、という感じ。僕はその文字列を「230486791」と読んだ。

(つづく)

comnnocomcomnnocom2007/01/20 13:212000バイトぐらいずつ書くごとにアップするつもりでいます。

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