2007-10-01
孤独なグルメ
ある男が女性を誘拐して殺したそうだ。しかもその男は女性の体の一部を食べていたという。正直に言って、理解できない、と思う。ここで言う理解できないってのは、人の肉を食べたいという気持ちが理解できないのでなくて、なぜ様々な食材の中から人肉を選んだのかが理解できないという意味だ。だってそうだろう、人なんてめんどくさい生き物、相手にできるわけないじゃないか。あまつさえ殺さなくてはいけないだなんて! スーパーに切り身で並んでいるのなら、一度は食べてみようかなんて気になるかもしれないが、そうでない以上自分で調達しなきゃならないし、あまりにもデメリットが大きすぎる。食事に至るまで費やす労力が大きすぎて、肝心の食事へ向ける関心が削がれてしまうじゃないか。殺人という反社会的な行為を犯してまでやることじゃないと思う。
そもそもモノを食べる時は、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか、救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……
生きるための食事でもなければ、食事のために生きるのでもない、ただ食事のための食事。
空腹を満たすわけでも、栄養を取るためでもない、味わい、飲み込むための食事。
僕が求めているのはそんな食事なんだ。それを遂行するには人肉という「選択」には色々と不純なものが含まれすぎている。
食材としての意味を削ぎ落とされた食材。誰でも手に入れることができるもの。それがなんだかわかるかい?
やはりなんだかんだ言っても、食べやすい方がいいんだよな。だから僕は最近肉は食べてない。そうすることによって、その食材は口にしやすくなる。たまに肉も食べるけど、それはそうした方がいいかなと思う時だけだ。
その食材はどこか遠出しなくても手に入る。そう、あなたにも。より極上のそれを手に入れるために体調管理は怠ってはいけないよ。
最後のヒント。僕はこの数年というもの、便座に座ったことがない。わかってくれたかな。
(食人賞非応募作品)