とある理系男子の書斎には、どうしても小説が少ない。っていうか無い。

        いろいろやっていければと思います.
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2011-06-10

文体燃焼 23:51 文体燃焼 - とある理系男子の書斎には、どうしても小説が少ない。っていうか無い。 を含むブックマーク はてなブックマーク - 文体燃焼 - とある理系男子の書斎には、どうしても小説が少ない。っていうか無い。 文体燃焼 - とある理系男子の書斎には、どうしても小説が少ない。っていうか無い。 のブックマークコメント


1.メモ

 背後で大きな爆発音。驚きながら振り返る。


2.複式記述

 私自身の後ろの背後で大きく小さくない爆発や炸裂の音や鳴動。此方人等驚きながら意表を突かれ、振り返りつつ後ろを見る。


3.控えめに

 音に驚き振り返りました。


4.隠喩を用いて

 世界の裏側で、何者かが空間を歪めて揺らす。想像世界は脆くも壊され、私は世界を反転させた。


5.遡行

 私は振り返った。というのも、私は爆発音に驚いたのだ。その爆発音は大きく、背後からのものだった。


6.びっくり

 いきなりドカーン!だよ! それも背後でだよ! びっくりじゃ済まないよ! すぐさま振り返ったもの!


7.夢

 私は、前や後ろはおろか、上下の感覚も曖昧な薄暗い風景にいた。しかし、そこで感じた大きな轟音は、確かに後ろからだとわかった。私は振り返りその正体を見ようとしたが、視界は依然としてぼんやりとしていた。そこで目覚める。


8.予言

 きみは背後から大きな爆発音に襲われるであろう。きみはそれを知っていながら、あまりに突然のことで驚くに違いない。そして、君は後ろを振り返ることになる。


9.語順改変

 大きな、背後で、驚きながら、振り返る、爆発音。


10.虹の七色

 天を仰げば歌詠み鳥が鳴いている、そんな草黄も揺るがぬ平穏を、突然の爆発音が大々的にぶち壊した。私はあからさまに驚き、そして振り返る。


11.以下の単語を順に用いて文章を作れ

 持参金 銃剣 敵 チャペル 空気 バスティーユ広場 手紙

 背後から爆発音がした。尋常ならざる事態が起きていることぐらいはわかる。そして、私以外の何者かが、おそらくいるだろう。持参金かはたまた銃剣を持って、その敵であろうものに取りいるあるいは対峙しなければ、私の命はないのだろうか。私は何もチャペルのような厳粛な、堅苦しい礼節や調和の空気を望んでいるわけではなくて、ただバスティーユ広場程度の平穏があれば今はそれでいいというのに。ああ、あの家を出る前の置き手紙が遺書になってしまうのか……。


12.ためらい

 どこだったのか、よく覚えてないんですよ。いつだったかも曖昧で……。どこか、そんなに近くもなかったし、遠くもなかった気がするんですが、後ろの方で、はっきり真後ろとは言えなくて、右後ろだったか、左後ろだったか、とにかく後ろの方で普通よりは、まあ、大きな、大きいというよりか、まあ、大きな、破裂?崩壊?たぶん爆発の音だったと思います。そのとき、私は、驚いて、驚いてでは語弊があるかな、虚を突かれたというか、ギョッとというか、ハッとというか、とにかくびっくりして、私は後ろを見ました、すぐだったかな、しばらく呆然としていたような気もしますが、振り返って、それから、それからは……ええと……


13.厳密に

 6時半の方向より最大90デシベルの爆発音を0.6秒間にわたり観測。予期せぬ現象のため反射的に、注視方向を1.8×10^2度変換させるべく、2.4秒後より上半身を主体とした左回転を開始、0.4秒で動作を完了させる。


14.主観的な立場から

 いきなりどかんとやれば、もうちょっと驚くと思ったんだけどな。そうとうでかい爆発音をさせたつもりだったんだけど、ちょっとしてこっち見ただけでやんの。


15.別の主観性

 大きい爆発があって、近くに人もいたのはかろうじてわかったのですが、遠くてよくわかりませんでした。たぶん驚いたんじゃないかな。


16.客観的に

 人の後ろから大きな爆発音がしたのを人は聞いた。人は振り返った。


17.合成語

 自背後から大爆発音がした。私は驚愕背転した。


18.……でもなく

 それはあなたでもなく、誰かでもなく、私の、上下左右のいずれでもなく、前でもなく、後ろで起こった。微小でもなく、普通でもなく、大きな、崩落でもなく、駆動でもなく、爆発の、匂いでもなく、光でもなく、音を感じた。その前でもなく、しばらくしてでもなく、直後に、あなたでもなく、誰かでもない私は、走り出すでもなく、微動だにしないでもなく、振り返った。


19.アニミズム

 爆発音は突如辺りを揺らした。彼は抜きんでて存在感を主張した。彼とはもちろん爆発音のことである。彼すなわち爆発音はある人をひどく驚かせた。直後、彼は、その人の前方、視界の中心に躍り出た。彼というのは爆発音の原因のことである。


20.アナグラム

 でいごは大泣き久遠は罰。亡骸おどろ震え駆り。


21.区別

 私は背後(廃語ではない)で大きな(「大気な」ではない)爆発(組み合わせ数が膨大になったわけではない)音がした(下ではない)のを聞いた(北ではない)。私(たわしではない)は驚き(轟きは爆発音のほうである)、後ろ(おしりではない)を振り返った(掘り返したわけではない)。


22.語尾の類似

 突然自分の背面で、どかんとメガトン爆発音。仰天動転、瞬間、自身を回転。


23.あらたまった手紙

 恭啓

 時下益々ご隆昌のこととお慶び申し上げます。

 さて、この度は私儀、尋常ならぬ状況に相成りましたため、以下の通り謹んで御報告し、御助言のほど頂きたく申し上げます。

 当日私は、恥ずかしながら目的もなく、その場にいたのであります。常に目的意識を持って行動せよとの普段の助言から致しますれば、甚だ愚かな行いであり、その御指摘には返す言葉がございません。これが原因か否かは後の考察を待つことになりますが、その時、突如爆発音が背後からしたのであります。私は驚き、せいぜい振り返るのがやっとでした。その爆発と対比して、いかに自分が小さな存在か、痛感した次第であります。

 つきましては、お忙しい中大変恐縮ではありますが、以上の状況に於いて、いかなる行動が真に素晴らしく善であるか、いかなる態度が真に堂々たる貴いか、先生の御教示をお受けしたく、お願い申し上げる次第であります。

 甚だ突然のこと厚かましい御依頼ではありますが、何卒御賢察のうえ、宜しく御指導御鞭賛のほど、お願い申し上げます。


24.新刊のご案内

 綺羅星のごとく現れた小説家Y氏の最新作をお届けします。デビュー作にしてシリーズ化、大ヒットを連発間違いなしのY氏の才能が光る、素晴らしい作品です。極限まで贅を削ぎ落し、洗練された情景とその描写はとてもわかりやすく、老若男女を魅了することでしょう。たった一つの出来事を、どこまで掘り下げることが出来るのか、俳句や短歌、禅ともつながるY氏渾身の一作にして、現代に舞い降りた、あらゆる文豪をも凌駕する実に至高の作品です。つきましては、なにとぞ御社の持つ数多のメディアにて本書をご紹介くださいますよう……


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25.擬音

 私は立ってた タッタッ いきなり爆発 どかん ごごご 私は驚き ギョッ 振り返ったよ くるくるり これでおしまい さっさっさっ


26.論理的分析

わたし。

わたし。

わたし。これは語り手であり、あちらの世界を観測し、こちらの世界へ渡す。

後。

背後。

背後で。現象の場所を表すと同時に、語り手の能力の限界も示している。

大きな音。

爆発音。

大きな爆発音。これはできごとである。

わたし。

わたし。

わたし。これは先の語り手に等しい。

振り返る。

振り返る。

振り返る。これが結論である。

論理的結論。


27.念には念を

 私は、私の背後で起きた大きな爆発によるであろう大きな爆発音を私の耳で背後からの大きな爆発音として聞いた。私、先の私と同じ私は、私の耳で感じた私の背後からの大きな爆発音に驚き、私の背後で起きた大きな爆発であろう現象を確認すべく、私は私の背後であり大きな爆発が起こったであろう方向へ、振り返った。


28.無関心

 わたしですか。わたしでよければ。誰でもいいとは思いますが。背後で?背後で何かが起こってたとしても、少なくとも見えませんからねえ。爆発?あるかもしれませんな。いまどき、珍しくもない。振り返ったか?そりゃあまあ、気になりますからね。振り返ったかもしれません。もっとも、何をみたかはさっぱりですが。それから?さあね。そうだ、振り返るといえば、この間満員のバスに乗ってたときのことなんですがね……


29.ぼく

 ぼくは立っていた。そのとき、大きな音がした。それは爆発音だった。ぼくはおどろいた。そしてぼくは振り返った。


30.現在

 そのとき。突然の爆音。向きの変わる正面。爆音とは対照的に衣擦れの小さな音。


31.……た

 大きな爆発音を聞いた。驚いた。振り返った。


32.……ていた。

 私は立っていた。大きな爆発音が、しばし鳴り響いていた。私はしばらく動揺していた。私は振り返っていた。


33.アレクサンドラン

 吾は聞く 割れんばかりの

 莫大な 爆発の音

 己ただ 慄くばかり

 振り返る 不慮の外にて


34.同一語の連続使用

 納税義務者の背後から納税対象になりうる大きな爆発音がした。納税義務者である私は納税義務とは違って驚き、納税義務のときのように振り返る。


35.語頭音消失

  たしの いごで くはつの とが た。 たしは どろき りかえった。


36.語尾音消失

 私 背後 爆発 が し 。私 驚 振り返っ 。


37.語中音消失

 わしのはごで爆音がた。わしはおき振りった。


38.俺はね

 俺はね、ちょっとやそっとのことじゃ驚かないんだよ、わかるだろ?でもね、そのときはね、なんせ爆発音が本当にすごかったからさ、俺はね、俺みたいなのでもね、びっくり仰天しちゃったわけよ。それでね、俺はね、そのまま走って逃げることも出来たんだけど、そんなことしちゃ男がすたる、俺はね、この眼でそいつをはっきり見なきゃいけねえ、見なきゃ気が済まねえと思って、振り返ったんだ、そしたらね、またそいつがすごかったんだ、そこで俺はね、


39.感嘆符

 ドカーン!!うわーっ!!爆発だ!!それも!!大爆発だ!!怖い!!どうする!!逃げる!いや!逃げない!いや!わからない!とりあえず!振り返る!振り返るぞ!振り返るぞ!いくぞ!えいっ!うわーっ!!!


40.あのー

 あのー、私は、あのー、前を、あのー、向いていて、それで、あのー、急に、大きな、あのー、爆発の、あのー、音が、私の背後から、あのー、しまして、それで、あのー、私は、あのー、驚いて、あのー、振り返ったわけです、それで、あのー、あのー……


41.荘重体

 翼ある爆発音が、背後から胸を貫いた。堅忍不抜の私ですら驚き、呪わしい破滅の縄にしっかと結ばれながら、誉れ高く振り返る。


42.俗悪体

 俺はそんとき、まあぼうっと立ってたんだけどさ、そしたら、いきなり、いきなりだよ、ドカーンってよう、おっかねえったらありゃしねえ、心の臓がばくばくもんさ、んだけども、そのままぼうっとしてるわけにもいかねえってんで、しゃあないから、まあ、振り返ったわけよ、でよ


43.尋問

 ――その時のことについて詳しくお話しいただけますか?

 ――はい

 ――その時あなたは何をしていましたか?

 ――特に何をするでもなく、ただ立ってました

 ――それはなぜ?

 ――特に理由はないです。

 ――まあいいでしょう。あなたがそうしていると、突然爆発が起こった。

 ――はい。

 ――あなたにそれがわかったのはなぜ?

 ――音がしたからです。

 ――どのぐらいの?

 ――かなり大きかったです。

 ――その後どうしましたか?

 ――びっくりしました。とても驚きました。

 ――驚いた。それで?

 ――私は後ろを振り返りました。

 ――すぐにですか?

 ――よく覚えていませんが、そんなに長い時間は経っていないはずです。

 ――振り返った、後ろを見た、そこには何がありましたか?

 ――そこには、


44.コメディー

第一幕

第一場

 (真っ白な空間、天地の区別もつかない)

主人公 ?

 (主人公、前を見据えたまましばらく過ぎる)

第二場

 (大きな爆発音)

主人公 うわーっ!

 (主人公しばし困惑し、震えながら固まる)

第二幕

第一場

 (照明を落とし、主人公にスポットライトを当てる。心象風景。)

主人公 今のは何だ?爆発?なぜ?こんなところで?

 (主人公、狼狽し左右を見、天を仰ぐ)

第二場

 (同じ装置)

主人公 どうする?逃げるか?いや、逃げても駄目かもしれない、ここはとりあえず状況を確認しなければ……

 (主人公決心を固め、両手を握る)

第三幕

第一場

 (第一幕第一場と同じ装置、主人公振り返る)

主人公 これは……

 (口を開け呆然とする)

第二場

 (第二幕第一場と同じ装置、再び心象風景)

主人公 この事件はきっと今後の喜劇のリアリティを変えるに違いない、まずはそれについて論文を、いや、それを取りこんだ喜劇を……


45.傍白

 私は立っていた。(ええと、何しに来たんだったか)そのとき、私の背後(いつも思うんだけど、今急に背後から狂人に刺される可能性ってゼロじゃないんだよな)から大きな爆発音(遠くだろうけど、とにかくすごかった)がした(安全神話の崩壊だ、治安も悪くなったもんだ)。私は驚き(これで驚かない奴はいないね)、振り返った(いったい何があったんだ?)。


46.音の反復

 無遠慮で大ぶりな爆発物が、身震いさせるには十分すぎるほどにぶっぱなし、無作法に舞台を揺さぶった。物騒な時分になったものだと、分不相応な新聞社説に想像が及ぶもそれはブレイクして、私は訝しがりつつも、自分を鼓舞して体の大部分をぶん回す。


47.白日夢

 天地に誓って早速に言上いたす。拙者、かの時は何者も見逃すまいと正面を睨んで居ったのでござるが、時ならぬ天変地異、奇っ怪ながらひどい爆発の音をはっきりと耳にしたのでござる。暫時呆然としておったが、拙者、やおら後ろを振り返ったのでござる。


48.哲学的

 認識世界と想像世界を併せ呑み、尚不可知な部分を残す世界の状況内存在としての己の背後から、道具存在としてどころか、事物存在としてすら認められていなかった爆発が、物自体と物自体以外という概念すらも一掃するかのように、先天的に現象として信念に来翔した。私は相対的矛盾を止揚する理知的算術に抗う存在外世界の構造を総合する受動感情を覚えるとともにそれをメタ認知し、良識は後に理性的動物としての己を駆動して認識世界の拡大を図る。


49.頓呼法 

 ああ、美しく横たえたる鍵盤よ、羽のごとく軽やかなおまえの鍵で、高度に抽象化された電子の海へ、清らかなる符号をつらねておくれ、眼光画面背に徹する読者へと、都会のバスが生み出した二重の出会いの不思議な自己陶酔の物語との出会いの不思議な自己陶酔の物語との出会いとの不思議な自己言及の物語を送り届けるために。わが理想の得得たる美翼よ、わが組み合わせ論的果敢さの良き友である気高きネコよ、選び、並べ、選ばれえぬ文字列すら縷縷として漲らせる機敏な源流よ、演繹と帰納のなめらかな作用で記述しておくれ、骨身を惜しまぬ文学的営為によって不滅のヒーローにされるとも知らず、ある日S系統のバスに乗りこんだかの若者の言動の取るに足らぬ物語を鮮やかな浮彫として永遠に留めんとした試みに、この私は微塵も貢献しないことを。おお、表されることも指し示されるために使われることもなく何もかもの性質に対する記述がことごとく貧しい放り投げられた青二才よ、汝に揚々たる爆発が与えられしとき、目的論を含意した振舞いを選択せしや否や。


50.下手糞

 こういう試みは初めてで。そりゃ面白い筋書きとか魅力的なキャラクターとかを思いつけば、普通の小説だって書くけれども。ええと。どう始めるかな。「私は非日常の日常にある今日、日常の中に非日常を見た」。こういうのは始めからは駄目かな。こういう仕掛けとは関係ないところで読者を振り落としても仕方ないしな。まずは数ページでも読んでもらわなきゃだめで。そりゃ面白い筋書きとか魅力的なキャラクターとかを思いつけば、数ページだろうと数千ページだろうと読ませられるんだろうけど。ああ。初めに戻ってしまった。進まないな。もう夜も明けてしまった。がんばろう。千里の道も一歩から。紋切り型はあまりよくないかな。馬の耳に念仏。これは意味が違うか。それにしてもあの爆発はすごかったな。そうだ、こんなのはどうだ。馬の耳に爆発。爆発オチも背後から。何だこれは。でもこういうのが好きな人もいるよな。こういうのでも書きためておけば、きっと一目置かれて評価されてファ、文学賞を総なめだ、「馬の穴でもみこすり半」っていうものな。うん。でも、読者を驚かすだけじゃだめだ。驚かしたってこっちを振り向いてくれるとは限らないものな。僕も、あの爆発音には驚いて振り向いたけど、あれが絶叫だったら驚いた次に振り返りもせずに逃げたかもしれないもの。おや、だいたい書きたいことを書いてしまった。まだまだやりたいことはあるのにな。しかし書くっていうのは本当に、楽しい。僕は僕の文が大好きだ。書きたい分は満足しちゃったけど、なんだか練りこまれてないな。だめだめ。やっぱやめた。


51.無造作

 わたしはただそこにいる。

 ――ドン。

 爆発音だ。

 ――……。

 わたしにはどうすることもできない。

 ――……。

 わたしは振り返る。


52.偏った見方

 人間誰しも背後を持っている。すなわち、自分が真に直接は見ることのできない領域がある。そして、そのような領域、例えば物理的、生物的、社会的な領域では、絶えず、ある意味ではすべて爆発、と呼べる事象が起きている。そして、行動主体はそれによって初めて真に直接はみることのできない領域を知り、その爆発を、その領域を見ようとして、振り返る。人は常にそうやって、時に進歩し、時に後退しながら歴史を紡いできた。この方もきっと、その一実例に遭われたのだろう。この方に幸あれ。


53.ソネット

 背後で大きな爆発音

 私は驚きながら振り返る

 愛らしい好きな夏は久遠

 私はただ君を夏に喩える

 時に文章はあまりにも長く記され

 かと思いきや必要な表現すら省かれる

 十二三行は余り仕方なく膨らせ

 夥多な語彙見りゃ執拗な調整姿浮かべる

 まだ私は文体の泉を枯れさせたりはしない

 もちろん文章の内容はいつまでも爆発だけだ

 まず出だしは絶対ノイズ身を喩えれた気がしない

 自己弁護のしょうもないような逸脱も馬鹿なふざけだ

 ヒトが創造しているかぎり

 ネタは膨張スタイルたぎり


54.嗅覚

 普段意識をしていなくても、そこらじゅうに匂いというものは残っているものだ。海老の匂い、四手の匂い、いいえの匂い、藤の匂い、遺影の匂い、血合の匂い、自衛の匂い、毛の匂い、エールの匂い、銭の匂い、ゑぬの匂い、王の匂い、P球の匂い、アアルの匂い、エステの匂い、幽舞の匂い、イダの匂い、ブルの匂い、エキスの匂い、矮人の匂い、そして、硝煙、TNT、ペンスリット、ヘキソーゲンの、匂いが、その土地その土地の記憶として、色濃く、いや、匂い濃く残る、そんなことに思いを馳せていると、突然、背後から強い爆発臭がした。私は驚きながら振り返る。血の匂いがする。


55.味覚

 揚げ物の途中で粉塵爆発なんてしないさ、あんなのは、視界が白くなるぐらいもやもやしてないと燃焼が連鎖しないんだ、だいたいそんなもやもやするまで粉を出しちゃもったいないったらありゃしない、ちょうどいい塩梅にしないと、そうそうそれぐらいで……。そんなに爆発が見たいなら、少しだけどそこの薬箱に、黒色火薬かニトロがあったと思うけど、見る?火薬のほうはカクテルだかなんだかに使うとか言っててよくわからないけど、ニトロってのはすごい甘いんだって

 バン。

 背後で爆発音がした。私は驚きながら振り返る。現実味は一瞬にして失われる。


56.触覚

 こればかりは手でやらないとねえ。具合がわからないから。一個一個が、それこそ手塩に掛けた子供みたいなもんだから。苦には思わないね。当然気は使います。一時はね、ああいう、手袋も使ってたんですけどね、結局素手に戻ってくるね。こいつら(薬)がなじんでるかどうかがわかんないもの。粉をあんまりこねくりまわしてもよくない。子供をなでるような感覚でね、いい子に育つとだんだん丸くなってくるんですよ、昔はもっと大変だったねえ、薬研なんか使ってたもの。まあ、この後に使う割薬に比べたらこいつらはかわいいもんで

 ドン。

 背後で大きな爆発音がした。私は驚きながら振り返る。手のつけようがないのがわかった。



57.視覚

 背後が見えて大きく見える爆発が見える私は私が驚き見ながら振り返り見るのが見えるのが見えるのが見えるのが見えるのが見え……


58.聴覚

 背後で大きな爆発音がしたのを感じた。体全体を揺らした圧力変動波、鼓膜を押さえつけているような低周波、爆発の性質を余さず物語る中可聴音域、頭痛を引き起こすであろう高周波、全てを受け止めた。私は耳驚き、更に耳を欹てる。


59.電報

 バ クハツオン オオキク ハイゴ ヨリ オドロキ スグカエレ


60.歌の調べ

 たとえ背後は 見えねども

 神の御業は 舞い降るか

 天つ日嗣か 照らす日か

 光あまねく 爆ぜる音

 ※畏れ多くも 振り向けよ

  ああ 爆発音 爆発音

 ※繰り返し



61.漸増方式による文字の置き換え

 で大背後爆発きなした音が。きなが私は驚返るら振り。


62.漸増方式による文節の置き換え 

 大きな背後でした爆発音が。振り返る私は驚きながら。


63.古典的

 オカルトなエクレイクシスフォンがジェネシす。エゴ・ミラ・タウマゼインがエゴ・ギロ・ストロボす。


64.集合論

 物語世界をU、主人公をX、音をBとし、物語世界群Ω={U_n|U_n={X,B_n},n∈N}を考える。U中のXはB_nの持つ二値性質群Pmを受け取る項変数群xmを含む各々の節が高々d個の項を含む乗法標準形の論理式を持ち、主人公は音に対して充足すれば振り返らず、充足しなければ振り返る。よって、主人公が振り返る世界の集合Usと主人公が振りかえらない世界の集合Utの和集合はΩに等しい。このとき、

 a)以下の問題群について、組み合わせ爆発、計算量爆発の程度を評価し、大きい順に並べよ。計算不可能なものについては、計算量無限大とする。

  1)任意のUが与えられた時、UがUsかUtか判定する(d=3,n<100)

  2)任意の{U,U'}が与えられた時、Xを有限主人公集合Xn={x1,x2,……,x100}中の任意の人物に置き換えてもU,U'∈UsかU,U'∈Utが成り立つか判定する(d=2,Pm={P1,P2})

  3)X中の充足している節の数が多い順に、Ω中のUを並べる(d=3,n<50)


65.定義

 顔や視線が向いているのと反対の方向または場所から物質が急激な化学変化または物理変化を起こし体積が一瞬に著しく増大する現象によって数・量が多く程度が甚だしい空気の振動が起こり、聴覚に感覚が引き起こされた。私は今まで意識しなかったことを意識して心に衝撃を受け、後ろのものを見ようとして、首を回して顔を後ろの方に向ける。


66.短歌

  空破る 爆発音に 驚いて 振り返れども 積もる静寂


67.自由詩

 まえと

 うしろ


 おなかと

 せなか


 ドカン

 わっ

 ばくはつだ


 くるりと

 くるり


 まえが

 うしろ


 おなかは

 おなか



68.平行移動

 廃校で大君な白馬の節会の御頭会がした。渡し賃はお腹を痛め、振りかぶる。


69.リポグラム

 万多な酸化かはたまた火山か、 彼方から高々鳴った。体はただ固まったが、鼻様は我慢がならなかった、頭が方、肩が方は真逆さま。


70.英語かぶれ

 バックでエクスプロージョンのサウンドがした。マイセルフはサプライズドし、ターンヘッド。


71.語頭音追加

 ま背後から、大きな、ど爆発音が、ぐした。す私は、わ驚きながら、る振り返る。


72.語中音追加

 背ぬ後から、大きな爆発ど音が、しった。私は、おどろおきながら 振るり返る。


73.語尾音追加

 背後霊から大きな爆発音響が慕う。私儀は、驚きながらも、振り返るが。


74.品詞ごとに分類せよ

 助詞――から、が、は、ながら

 名詞――背後、爆発音、私

 動詞――し、驚き、振り返る

 副詞

 形容動詞

 連体詞――大きな

 接続詞

 助動詞――た


75.並べ替え

 ゴイハからき大な発爆音がした。したわはろきおどながら、返り振る。


76.前から後ろから

 前から後ろから背後から前から後ろから大きな前から後ろから爆発音が前から後ろからした。前から後ろから私は前から後ろから驚きながら前から後ろから振り返る。


77.固有名詞

 マリアからジャンボなボマーのロバートがした。私はアドレナリーナしながら、ガーンズバックする。


78.らぞなぞね

 らいごひ から 大きな らくはつおんぼ が した。らたしを は ろどろき ながら るりかえるへ。


79.ばびぶべぼ

 はばいび後ぼかばらばおぼおぼきびなばばばくぶはばつぶおぼんぶがばしびたば。わばたばしびはばおぼどぼろぼきびなばがばらばふぶりびかばえべるぶ。


80.さかさま

 目の前で小さな爆縮音がしなかった。私以外の全員が、泰然として前方に注目していた。


81.ちんぷん漢文

 背後發爆炸聲音 我感到驚天动地

 爆炸聲音非常大 我一速回頭看了


82.聞き違い

 介護から白髪 on 頭。童子はお揃着ながら服替える。


83.いんちき関西弁

 うち、なんもせんと立ってましてん、ほたら、うしろん方でドカンですわ、爆発音ちゅうんでっか、めっさ大きおましたなあ、うちびっくりして、こらあかん、なんともならんと思うて、とりあえず振り返りましたんや。


84.イギリス人のために

 Hi, go colour oak inner back hearts on gas-eater. What a she were, ode rock in a Gullah who lick a L.


85.子音交換

 最後からぼおきな吐く発音がいた。羽田氏はをどろきながら繰りあえる。


86.植物学

 背後で大きな赤い実が熟れてはじけた。私は瓢箪から駒でも出たかといわんばかりに桃の木ながら、振り返る姿は百合の花。


87.医学

 背後から爆発音が聞こえる症状はもうとっくに治ったはずだった。私は度肝を抜かれ、捻転する。


88.罵倒体

 こっちがそっぽ向いてる間にどこぞの大馬鹿野郎が馬鹿でかい爆弾をアホほど爆発させやがった、出来損ないのキチガイめ、いっぺんどころか死ぬまで殴りつけてやろうかと思って、振り向いたさ、あの糞野郎めが。


89.食べ物

 アブラと爆発音マシマシ。私は麺カタながらロットを乱す。


90.動物たち

 背後から爆発音の大群に襲われた。蚤の心臓の私は驚き(まさか風声鶴唳とは言われまい)、振りカエル。


91.表現不能

 なんといいましょうか。私の。背後からですね。爆発音が。この爆発音の大きさといえば、なんとも表す言葉が見つからず、筆舌に尽くしがたいとしか言いようがないものでした。その爆発音を聞いた時の私の驚き、恐れ、無力感、一種の悟り、それらが綯い交ぜになった心情も、きっと言葉にして伝えたところで半分、いや、1パーセントも伝わらないでしょう。その後に、それがどれぐらい経ったか、その間私が何を逡巡していたか、これも上手く表せませんが、その後、私は振り返りました。そして爆発のあったあたりの状況、その状況は、もう何と申し上げてよいのやら皆目見当がつかず……


92.モダン・スタイル

 たとえばどこかで、たとえば過ぎ去りしいつか、わたしは奇妙な、少しばかり奇妙な出来事に迷い込んだ。わたしはそのとき、現代の若者のステロタイプがごとく目的を見失った人間を演じる舞台(シェイクスピアはあまり好きではないのだが)に仮面付きで立ちつくしていたのだが、どれくらい経ったか、私の認識の外から突然、何か別のものを引き合いに出して比べるのも馬鹿らしい爆発音がしたのだ。わたしは、普通の人が驚くように驚き、何気に振り向いた。


93.確率論

 背後から大きな爆発音がした。この現象の珍しさについて考える。この問いは、母集団の取り方によっていくらでも違う答えが出せる。仮に、背後から大きな爆発音がした人のうち大きな爆発音がした人の確率は、と言われれば、これは100%であり、聴力を完全に失った人間を母集団に取れば、珍しいどころかありえない話となる。という結論にはもちろん穴があって、それは爆発音がしたという条件が甚だしく曖昧であることがよくない。それが物理現象を指すのか、物理現象によって想起される心理物理量に閾値を設けて計るのか、もっと高次の判断によって「これは爆発による音だ」と推論がなされた時点でカウントするのか、その推論の主観的確からしさをどう扱うか、など、問題は山積みである。爆発音をトリガにここまで考えるのもまた珍しいかもしれないが、意図的にそのような人間を選び出す操作の後には、それは確率1の必然となる。ただ少なくとも、思考の連続性をもって時間幅を持って定義される私が、恣意的に己を選び出す外側の何か、見えざる手のようなものを想定しながら考えることは、これらを定義域に取るならば、これは間違いなく確率としてほとんど0のはずだった。いったいどういう風の吹き回しか、私は驚きながら振り返る。その確率はほぼ1。


94.種の記述

 バクハツとは、二足獣の一種。生息範囲は広く、主にヒトと生活圏を同じくするが、近年の自然種では植物や機械に寄生する形のものが多い。一般に好気性であるが、一部例外もあり、その場合酸素を必要とせず、ヒトに対して(ただちに影響はないながらも)重篤な障害を及ぼす可能性がある。生活圏の重なるヒトを襲うことも多いが、特に繁殖や生命維持のために襲うこと自体は必要とは考えられておらず、その理由は今もって不明であり、本能的なものである以上の説明はつかないとする学者もいる。バクハツに対するヒトの関わり方にも未知の点は多く、一見非合理的に見える、バクハツの群れに飛び込むヒトなどは研究対象として盛んに取り上げられる。通常のヒトは、バクハツに背後から襲われた際、驚き、振り返るという反射を示す。


95.幾何学

 座標平面上の左半面の任意の点aで爆発音がした。

(1)原点Oを中心とする対称点、点a(0,y),点b(0,-y)にて、

 a)爆発点との距離 b)爆発点とx軸正方向を0度とする直線とのなす角度

 c)点aではa)での距離、点bではb)で定める角度

 がわかった場合、爆発点を一意に決定できる場合はその方法、できない場合はその反例を示せ。

(2) (1)にて一意に決定できる場合において、原点Oでの観測者zが爆発点を視界に入れるために必要な回転量を各々の場合にわかる量とzの視界の広さで表せ。ただし、zの視界は原点Oからx軸正方向を0度とするとき、s度から-s度(0 < s < 90)までとする。


96.擬似農民ことば

 おらんさねどこではなんとおねえけどさ、うらでぼっこさ、ばぐ発っつーのか?があってよ、おらもう、いたしこ巻いてまくわかいただよ、けってかったなあ。


97.間投詞

さて!うわあ!うう!えい!ああっ!


98.気取り

 真の繰り返しなど存在せず時刻は一回性を常にまといながらも、時計の針は意味を無くし、その一つ一つを区別する術を持たずにいるこのとき、記述の山から無限にするりと逃げ続ける世界に私はいた。私と世界を分かつものもまた無く、天も地もこの世界にはまだない。あるのはただ、私の背後と、それ以外だけだった。そこに現れたのは、御都合主義かあるいはそのアンチテーゼか、いかなる物語の類型を持ちだしてきてもなおせせら笑うような、爆発だった。抽象化され、因果の果のみを取り出したる、知恵の実にも悪魔の囁きにも思えるその爆発は、大現象として立ち上り、背後より音速で襲いかかってきたのだった。私はそこで、アプリオリでただ無力な、皇帝のように君臨する決定論のさらにその下の個別具体的運命によって振り回される屈辱、口惜しさ、無力感を覚え、激烈なる虚無主義、ひいてはイズムを感じずにはいられなかった。一驚を喫した私は思わず、己の仮面を取り外しそうになったが、私はこれを堪え、その仮面を、その仮面ごと己を、爆発の方へと振り向けたのである。


99.意想外

 仲間たちがカフェのテーブルのまわりに集まって話をしていると、debedebeがやって来た。そこにいたのは総勢400人ほどの小集団だった。

 ――文体練習のいくつかをdebedebeは披露した。

 ――「面白い」「あとで」「素晴らしい」「[文章]」「[ネタ]」と彼らは呼応した。

debedebeは彼らに向いて続ける。

 ――レーモン・クノーの「文体練習」は知ってる?

 ――なにそれ?

 ――十年ぐらい前に読んだ。

 ――訳がよくないよね、あれ。

 ――ここ数日、いやに暑いよね。

 ――いや、寒いよ、寒い。

 ――ああ、そうだ、実はここに来るまでに面白いことがあって、とdebedebeは言った。

 ――どんな?

 ――急に大きな爆発音が聞こえたんだよ。

 ――それはまたなんで?

 ――さてねえ。とdebedebeは答えた。何かのイベントというわけでもなかったし、驚いて振り返ったんだけど、結局なぜかはわからなかったな。

 ――ああ、それなら僕のあれだよ。

爆発音の背後にそいつはいた。彼らは驚きながら読み返す。


付録


89'.食べ物 おかわり

 皮目でポン菓子音がした。私はびっくりラーメンしながら身側も焼くべく引っくり返す。


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振り返る馬

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文体練習

文体練習

b.b.2011/06/12 02:42理系っても、国立と私立では別の生き物だから注意な
国立大生だと理系でも普通に文学の話できるし、文系でもテクニカルな話についてこれる

debedebedebedebe2011/06/12 02:48定義次第ですね。

debedebedebedebe2011/06/12 03:30存在限量子を付けました。

marcus-kmarcus-k2011/06/29 19:21聖書
はじめに爆発ありき。

DayanaraDayanara2012/01/25 19:08An answer from an expert! Thanks for cnortibutnig.

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