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2007-11-10

フィクションのことを嫌わないでいてあげてください

| 15:51 | フィクションのことを嫌わないでいてあげてください - 論理兵站 を含むブックマーク はてなブックマーク - フィクションのことを嫌わないでいてあげてください - 論理兵站 フィクションのことを嫌わないでいてあげてください - 論理兵站 のブックマークコメント

はじめに

本稿の目的は、knephin_steg さんへの回答です。


ネタとか釣りとか気にしない自分でも、ブクマ数かせぎに堂々とフィクション織り交ぜよろしくな文章を書くゼ!みたいな話が出ていた事実を知ると、けっこう萎えるかな。本気で心配したり協力できないか助言する為に情報収集してる自分ばかみたいじゃん。

(中略)

同じファック文芸部のメンバーの面子も該当記事を読んでそういう方向性に記事を起こしてるのだとしたら酷く悲しい。

(中略)

フィクションでも書くゼ!なノリで今いるのなら、あの時の言葉もそんないい加減なもんだったのかなって別の意味での切なさが増す。

http://fragments.g.hatena.ne.jp/knephin_steg/20071109/1194554474

について、「ばかみたい」じゃないことを、悲しくなんてないことを伝えたいのです。

寝ぼけて書きました。

http://fragments.g.hatena.ne.jp/knephin_steg/20071109/1194606529

そんなことも知らず「寝ぼけて書きました」というのはあまりに失礼でした、すみません。

http://fragments.g.hatena.ne.jp/knephin_steg/20071110/1194658121

そんなにおびえないでください。私だっていつも寝ぼけて書いています。そして寝ぼけないブロガーなどいません。そして

ブクマ&TBして下さったみなさん、色々なご指摘ありがとうございます。増田にしろ、ネットとの付き合い方について、自分でもよくまとまってない話なのでもちょっと考えてみたいと思います。気づかせて下さった方々に感謝。

http://fragments.g.hatena.ne.jp/knephin_steg/20071110/1194665727

まだ終わりません。次は私のターン。


まず、この記事が内部からのお返事になってしまうことを申し訳なく思います。この場所からだと knephin_steg さんが疑問に思われていることに対し、正確に答えられないかもしれません。バイアスがかかっているように第三者から見えるかもしれない心配もありますが、それより前に、自己を含む事象を記述することの困難さがあります。

ですからこの記事の内容を信じていただかなくても構わない。なぜなら、あとから説明するように、この文章が本当のことであるかという証明ができないからです。

しかし関係者として弁明をさせていただきたい。混乱をもたらすことだけがファック文芸部の意向ではない(と私個人は考えている)のです。混乱に陥れることは楽しいですが、そもそも anond を混乱させたからといって、もとからある程度の無秩序さを備えた場所がどう変化するかなんて、よくわからない。混乱が目的ではなく、その先にあるものを見たいという希望こそが目的だと言えば、納得していただけるでしょうか。

knephin_steg さんの不安は、きっとほかの人も感じているに違いないと考え、こうしてお答えしようと思い立ちました。私は knephin_steg さんに答えるのと同時に、この記事を読むほかの方々にも伝えたいと考え、これを書いています。

anond にある「本当に存在するのかわからない問題」について想像をめぐらせる心を持つことは、決してばかな行いではありません。おそらく宗教家が考える慈悲についての問題につながり、非常に重要なことだと私は認識しています。その想像こそが大切なのだと私個人は考えています。想像は創作の素材であり、他者を理解する力であり、愛であると信じています。


このグループ日記の「ファック文芸部杯」カテゴリーと合わせてお読みいただければ幸いです。


ノンフィクションとフィクションの問題

たとえば、悩んでいる人が anond で悩みを開陳したとします。

xx-internet の言うとおり、それが事実なのか虚構なのかは決定できません。その記述が現実に存在している誰かの悩みなのかどうかは、前提として誰にもわからない。

その問題について考えるきっかけさえできるのなら、きっかけ自体が現実だろうと虚構だろうと関係ないのだと私は考えています。そこで「騙されている!」と思わないでほしいのです。すでに問題は記事の上に表現されており、事実であるか虚構であるかによって、その問題自体が消えてなくなったりはしません。

knephin_steg さんは、その上で「記述を虚構として宣言することは、本気で悩んでいる人に対して失礼ではないのだろうか」とお感じになったと思います。しかし今回のファック文芸部杯の参加作品が(ひょっとしたら一作も存在しないのかもしれませんが)悩みを言い出せない恥ずかしがりの人が「これは虚構ですよ」と宣言する前提で書いたものではないとも言い切れない。anond の匿名性を利用して発表することを認めるならば、同様に「あえて事実と虚構の区別をつけない態度」をも認めていただきたいと思うのです。


ある悩みについての記事を読んだ人が、同じ悩みを抱えている人がほかにいることを知ったときの安心感。その記事につけられたトラックバックを読んで納得すること。また、その悩みと無縁に暮らしていた別の読者が、そういう種類の問題があることを知る契機として。ひとつの記事には、そのように多彩な価値が含まれています。その価値はノンフィクションでもフィクションでも同等のものであるはずです。

匿名であることによって隠される要素は、「特定の人物であるのかどうか」の情報です。よって「それが誰の悩みなのか」がわかりません。しかし、ある記述が記述者の人格から切り離されることによって、私たちはその問題を個別の問題としてではなく、抽象的にとらえられるようになります。そこで初めて一般的な「誰にでも起こりうる問題」として論じることが可能になるのです。


anond で扱われる問題について、第三者が考え、真摯に反応することは、想像力の素晴らしい使いかたです。「ネタにマジレス」上等じゃないですか。「ネタにマジレス」を軽んじる人には想像力がないと言わざるを得ません。特定の誰かだけではなく、同じ状況にいる多くの anond 読者に対して回答するのだと考えれば、それが事実か虚構かという境界の問題は、瑣末なことだと思います。

前回と今回のファック文芸部杯では、匿名の記事に対して後から署名をするルールになっています。これは事実を虚構であると宣言するのではなく、ひとりだけの事実だったことを、全員に関わる問題として一般化すると把握していただければ、得心していただけるのではないかと思います。


なぜなら、どうやら世の中では「創作より実話のほうが貴重なものだ」ってことになっている。

『一杯のかけそば』が創作でも実話でもどっちでもいいが、「実話だから泣く人間」や「創作だから泣かない人間」というのがいるようだ。そいつらは自分たちが創作に対する差別の心を抱いていることに、まったくもって無自覚。自分の流した涙をひっこめるな。揺れ動いてしまった自分の心に対して責任を持て。

人間の認識している世界は脳内で都合よく再構成されたものだ話を持ち出すまでもなく、そもそも創作は現実の断片を流用したものであり、両者の間に明確な境界はない。

http://neo.g.hatena.ne.jp/extramegane/20070919/1190205922

これは、以前私が書いた、本気と冗談の入り交じった記事です。

また、次のようにも書きました。

  • わたしたちが認識している世界は、脳内で現実の断片を構成しなおしたものである
  • すべての創作は、現実の部品をリサイクルしたものである

以上の事柄から、次の命題が導かれる。

  • 脳内で認識された現実と創作は区別がつかない
http://neo.g.hatena.ne.jp/extramegane/20070929/1191058185

たとえ虚構であろうとも、現実の世界に対して作用します。現実へ作用するという一点において、現実と虚構の間に差異はありません。私がフィクションの力を信じているからだと言ってしまうこともできません。正直、ノンフィクションとフィクションの境界についてまったくわからないのです。

いままでの anond をとりまく状況を、境界を自覚していないフィクションをとりまく状況として、私は感じていました。境界が意識されていないがゆえに、ノンフィクションとフィクションの境界がぼんやりと存在していたのです。積極的に現実と虚構の区別をつけないことが、anond に対してどのような影響を与えるのか、あるいは与えないのか。このことが私にとっての興味の対象ではあります。


第二回ファック文芸部杯anond からの視点で観察すると、現実と虚構の境界線がどういうものであるのか、あるいはそれ自体の有無について自覚するように働きかけるものと捉えることができるでしょう。そのことについて読者と投稿者が自覚的になり、それを気にしつつ anond に参加することが、anond 上で扱われている問題の所在をよりクリアにすることにつながればいいなと願っています。


名を示すことと名を隠すことの問題、ブックマークとの関連

以前から xx-internet は、名を隠す問題や、人格と名を分離して考えること、それがもたらす世界について意識的でした。前回のファック文芸部杯も似たようなルールで行われました。

しばしばブロガーは(あるいはほかの言論を行うすべての人は)、名前が浸透してしまうことによって、あるいは名前が売れていないことによって、不当に高く、あるいは低く評価されます。本人ではないので正確なところはわかりかねますが、どうやら xx-internet は、名前を切り離した著作物が、その質によって正当に評価されるべきだと考えているようです。

その考えかたは、(部員個人それぞれがその考えに与するかは別として)ファック文芸部内にある程度は浸透しており、おそらく部員の多数はブックマークを得ること自体を目的にはしていません。すべての記事が名前とは切り離されたところで正当なブックマーク数がつくべきだとは考えているでしょうが、記事以外の評価によって、不当に高い、あるいは低い評価のブックマークなんて、欲しくもなんともないのです。読まれている実感としては、ちょっとは欲しいか。

さらに言えば、文芸部杯にとってのブックマーク数は指標としての役割が第一です。書いた文章自体を評価されることが嬉しいかもしれませんが。ブックマークをおもちゃにすることは「我々はブックマーク数に一喜一憂しすぎてはいまいか」という問題の提起でもあります。ブックマークする行為は、まったく個人の自由です。これは文芸部杯でばかにできることではありません。しかし、ブックマークが集まることの大袈裟さは、滑稽で愉快なものです。このブックマーク至上主義のような雰囲気は、からかってやりたいと個人的には思っています。

anond 読者は、ブックマークの数に影響されるべきではありません。自分が真摯に回答しうる問題に対しレスポンスを書くことが大切なのであり、ブックマークは注目するためのきっかけにすぎず、ブックマークの数から必要以上に影響を受けるべきではないと思うのです。anond では連なったトラックバックの数とブックマークの数が比例しません。これはトラックバックとブックマークが別のものであることが認識されているからだと私は考えます。


実名を明かしていないブロガーはすべて、anond のことをばかにできません。anond で開催するのは、匿名をばかにする人に対しての問題提起でもあると考えています。

anond でなければ注目されないこと」はあるかもしれませんが、文芸部杯は注目されることが第一の目的ではありません。そして「anond でなければ書けないこと」は存在しません。anond は悩みを相談する場にもなっていますが、それはたまたま機能がもたらしたことであり、必ずそうでなければならないわけではありません。文芸部杯以降も、その anond が持つその機能は、変わらず存続できるに違いありません。

注目されたくて anond を利用するわけでもありません。第一回文芸部杯のときには anond のような便利な仕組みがなかったのです。


今回の文芸部杯は「匿名で何かを書くこと」に対してのいたずらと捉える向きもあるでしょう。しかし、匿名でしか何かを書けない人への悪意は、毛頭ないのです。なぜならファック文芸部員は、事実と虚構を分別する術を持たないから。それは自らのことを書くときですら同じです。


創作への誘い

で、何が言いたいかというと「はてなユーザーの皆さん、ちょっとこの機会に創作してみませんか」ってことなんです。

http://neo.g.hatena.ne.jp/comnnocom/20071102/p1

comnnocom のいうとおり、今回の文芸部杯は、個人が勝ちに行くものではないと認識しています。催し自体に意義があれば、それが部全体の成果なのです。もっと言えば、創作することによる自己救済が、みんなの役に立ったらいいなと考えているのです。部員は恥しがってそんなこと言いませんけれど。

人は、誰かを救うことなんてできません。しかし、人は自分によって勝手に救われることはできる。そのときに創作行為が助けになることは十分ありうる。私はそう考えています。


謝辞

最後まで読んでいただいて、本当にありがとうございました。上記はすべて虚構です。信じないでください。私もほかの部員と同様にシャイなのです。

extrameganeextramegane2007/11/10 16:25knephin_steg さんの自己紹介を読んで一般化に対して思うところがある方なのだなと想像しました。

extrameganeextramegane2007/11/10 16:25それについてはまったく書けなかった。