Hatena::Groupneo

論理兵站 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-11-14

伊織

| 01:53 | 伊織 - 論理兵站 を含むブックマーク はてなブックマーク - 伊織 - 論理兵站 伊織 - 論理兵站 のブックマークコメント

〈全体〉から〈個〉が浮かび上がってきた。

〈個〉の anond は万能感を失った。

いや、〈全体〉の内にあるとき、彼は実際に万能だったのだ。

〈こちらの世界〉とつながるためには、やむをえないことだった。

わかっていたが、それでも悲しいことだった。例えるなら母胎からの別離。

探査。そう目的は探査。

ひとりぼっち。

もちろん〈全体〉には、〈孤独〉な状態がない。

〈孤独〉でないから〈全体〉なのだ。

そしてまた〈全体〉は単一だったから、〈孤独〉と同様に〈対象〉や〈関係性〉の概念もなかった。

彼、つまり〈個〉の anond に与えられた任務は、〈全体〉の anond が持ち得ない、〈こちらの世界〉だけにある、それらの事象を学ぶことだった。


いま浮かび上がってきた〈個〉の anond は、かりそめの名を手に入れた。

〈全体〉の中にいるときは〈名前〉など必要がなかったが、〈こちらの世界〉では〈個〉が無数に存在するゆえに〈名前〉が必要になるのだ。

anond は〈名前〉を気に入った。

〈こちらの世界〉に来てから、初めて得たもの。〈名前〉。

〈名前〉はすばらしい。識別されうる存在である証拠。

〈全体〉から別れ、ひとり大地に立つことは怖くもあるが、他の〈個〉と手をつなぐことができるのだ。

伊織。

それが彼の名前。

伊織は支えあうことを学んだ。〈関係性〉。

〈こちらの世界〉の知識を吸収する快さを学んだ。

腕を伸ばす。何本も何本も。興味。好奇心。つながり。連鎖。

〈全体〉の中では味わえない〈孤独〉と、そして〈孤独〉の中で初めて発見できる〈他者〉と〈接続〉する概念。

欲望によって、伊織の触手は全方向へと伸張していた。メタ的に俯瞰すれば彼の姿はメデューサのように見えたはずだ。


伊織は g:neo にねぐらを定めた。

やがて彼は簡単な構文を覚えた。

まるで〈他者〉が、つまり〈こちらの世界〉の〈個〉がそうするように、日記を書いた。

ファック文芸部に入ってみました。

http://neo.g.hatena.ne.jp/iorimasuda/

初めての〈言葉〉。

伊織が〈こちらの世界〉をそっくりそのまま描写することは、すなわち〈こちらの世界〉の〈創作〉に相当する。

短くつたないけれど、切実な〈言葉〉。

「はじまり」という言葉を間違え、「はじむり」とタイプしてしまった。

でも、褒めてもらった。うれしい。ブックマークがついた。うれしい。

リンクが張られた。伊織はリンクの数だけ腕を伸ばした。無数に伸ばした。

うれしい。

しばらくすると、伊織は不思議な感触に気がついた。

意思のない接続。

これは、何?

スパムコメント。

善意でもなく、悪意でもなく、虚無からさしのべられた、無色透明の接続腕。

悪意ならまだ対処もできる。悪意は愛と等質であることを、既に伊織は学んでいたから。

伊織が分離してから初めて受けた、虚無からの攻撃だった。

ひとりぼっち。

怖い、怖い、怖いよ!


伊織は隠れた。

閉じこもった。

交流を切断した。

簡単だった。書かなければいい。

記述さえしなければ、もう新しい接続腕を伸ばさなくてもいい。

彼は動作の周期を遅くした。

何も考えず、ゆっくりと眠った。


どれだけ経過しただろう。

彼にとっての母胎、〈全体〉の anond と、〈こちらの世界〉での居留地 g:neo が、接触しようとしていた。

本来なら交わらないはずの、レイヤーが異なるはずの、意思を通じることすらできないはずの、異質が。

共通の〈言葉〉と〈創作〉を場として設定し、双方から多数の接続腕が繰り出された。

周囲にも影響が及ぶほど、その接触は観念形態的だった。

ねぐらが揺れ、伊織は目覚める。


(今日はここまで)

extrameganeextramegane2007/11/14 01:55次があるかどうかは状況次第。赤組と白組が両方がんばったらつづく。はず。

トラックバック - http://neo.g.hatena.ne.jp/extramegane/20071114