2009-06-05
みんなのビジョン2
書簡 | |
お返事ありがとう
今日もこれらのエントリに引き続き、
寄せられたご意見を紹介していきます。
今回は、夏目漱石に触れているエントリふたつからトラックバックがきました。20分と離れてない。
文学部卒SEのぼくとして
そんな経歴だったんですか。
情報の配布経路を新聞が独占できなくなったいま、創作の配布経路だって、どうでしょう。創作の発信源たる出版社だって独占できなくなる、ということだってあっていいはずです。創作物を発表する場が出版社から発行される紙媒体に制限されなくったっていいはず。だってきっとその方が楽しいし、なによりむちゃくちゃです。
大手印刷会社がその手の事業に手をつけているんですよね、たしか。電子ペーパーとか。
「まだかよー」と言ってる暇があったら、普及したときに何するか今から考えておこうぜ。
例えばsubversion的なバージョン管理ツールで創作をリビジョン毎に管理するというのもひとつだし、昔なつかしリレー小説的にもうみんな勝手に続き書いたらいいよ的なことをしつつも第一章の続きを書いてる人が複数いたっていいじゃない。第二章のrevAとrevBで、どんどん枝分かれして拡散して、それで面白い子が望まれて成長してまた分岐して、特に熱意のあるひとりがずっと育て続ける枝、みんなが続きを読みたい・書きたいとおもってわいわいと伸ばす枝、また死んだと思われた枝がまた他の枝の栄養となり。そうして生き残った最高の分岐枝が最終的に全ての可能性を押しのけて幹となる物語として成立すればいいのではないでしょうか、みたいなことも考えています。
制作時のリビジョン管理もできるし、コンテンツそのものの枝分かれ、ブランチっていうの? が同時に流通していいんじゃないか、っていう話ですね。
これはわくわくする。
話題は権利の問題にも及んでいます。
著作権というのはなんか言葉のイメージだけが走ってますが、結局は「独占的にコピーして販売する権利」でしかなかったはずなので、著作権がどうのこうのという議論をおファックするのであれば、例えばそういう重そうな荷物を抱いててはついていけないスピードで創作を走らせればいいのではないですかね。
ウェブで創作するようなバカは銭なんか得られなくても熱意があるので突っ走れる。絶対。だろ? そういうことにしないと話が進まない。
そのうち対価、報酬をどうにかするとして、誰のテキストを誰が改変したかって機械的にタグつけておけばいいんじゃないの、って思うんですけど、そのへん技術的にはどうなんでしょう。
だれがどこを書いたかも不分明なレベルの共同作業は面白いでしょうが一番の敵はやはり個人名で個人の作品を出して名前を売りたい、ひとかどの人間になりたい、という自我なのかなぁ。
たぶん、このへんの書き手の意識は環境によって変化していくんだろうなあ、っていうのはありますね。
自意識は邪魔だなーって思うときもあるし、それがなかったら発表行為の動機って何があるのかしら、っていう。
「自意識があるからブランチが同時に複数並行して流通することに作者は耐えられない」みたいな考えは、ちょっとつまらないと思う。問題があるなら解決策を考えればいい話で。人間の心持ちなんか、環境によって変わると思うし。そんなのどうでもいいから未来を見たい。
下で紹介するエントリでも触れてますが、口承文芸の時代の作者の名誉ってどんなもんだったのか、みたいな話がわかれば参考になるのかな。ご存知の方は教えてくださいね。
日本近代文学におけるシステマー
夏目漱石の項では文体を、黒岩涙香の項では手法を、菊池寛の項では流通を説明していただきました。
口承文芸は昔からインタラクティブでシェアード・ワールドでマルチ・エンディングでパブリック・ドメインだよ!
そのように、文芸はその身に、出自に、混沌と呼んでもいいような無限の広がりを秘めています。
もっとも荒唐無稽なのは文芸であるはず。
ときどき野蛮さが顔を出すんですね。
お行儀のいいものも必要ですが、そればかりではつまらない。
同人誌イベントなどに参加して個人的に感じた疑問なども、今回のご意見募集の動機につながっています。
以下、お返事を書きながら思いついた、思い出したことなど
これも、もし気になったら話題にしてください。
挿絵、文章以外との融合
絵本の文章は絵に追従して補足しているのに小説の挿絵って話の進行を断絶しがちだよなー、ということを思った。
もちろん挿絵や図を効果的に使おうとした試みは存在するし、タモリ同人誌『Tamorization』で一部チャレンジしたこともあるんだけど、「ブラウザで読む」ことを前提とした文芸を考えた場合、過去の試みを整理分類したり、どういうことが可能なのか考えていかねばならないなーと。
ルビ、読み仮名の指定について
すべてに自動的にルビをつけておいて、必要に応じて出したり消したりできるといい。
各単語のルビにはそれぞれ数段階のレベルを設定されていて、読者が調節できる。
デザイン、ディスプレイの違いに対応する
id:AirReader とチャットしていて、ディスプレイ環境がさまざまなので、送り手側がデザインを指定しても伝わりにくいという話がでてきた。
PDF などの形式で頒布すれば、リキッドデザインを避けることはできるけど、画面サイズの差はいかんともしがたい。
XML によるセマンティックなタグ、この言葉の使い方が合ってるのかわかんないけど、どの要素がどういう役割なのか(自動的に)指定しておけば、大画面で読むときも、iPhone で読むときも、クライアント側でいい感じにできる。読みやすいと感じるデザインを受け手の側で選択できる。
印刷するとき、文庫サイズでもA4サイズでも対応できるようになるのではないか。機械による朗読にも必要。
戯曲を印刷イメージそのままで執筆できるエディタって限られるじゃないですか、という問題もある。
まだ続きます
まだこれからエントリを書く、いま書いていると予告されている方も複数名いらっしゃるので、いまからでは遅いということはありません。
短い文章でもいいので、どんどんください。
とくに、こうして集まった問題の解法をご存知の方、技術的な解決方法を見出した方は、とくにお待ちしております。
id:extramegane は来週からちょっと多忙になる予感がしておりますので、すぐにお返事できないかもしれませんが、のんびりみんなで考えていきましょう。
だれかまとめ役をやってくれてもいいですよ。複数いてもいい。
僕を通さないで喧嘩するのも歓迎です。
「少しまちなー」って言ってくれる人も募集中。
masapguin2009/06/05 08:58たしかsubversionはそれぞれの版ごとに誰がどこを更新したっていうのが残るはずですよ!
extramegane2009/06/05 12:32そしたらその情報を利用して、「こういう分配をしまーす」って事前に決めちゃえばなんとかなるんじゃないかっていう気がします。autherってタグの人物名ごとに比率を変えることはできるのかなあ。たとえばですが、2代前の改変者には薄く報酬を渡す(このたとえが妥当かどうかは別として)、みたいな。フレキシブルかつみんな納得っていうのがよくて、そのためにはどうしたらいいんだろう。