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2006-05-29

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テレビからニュースが流れている。

番組の途中ですが、予定を変更して現在太平洋上に出没した巨大生物に関する情報を、お送りしています。

海上保安庁からの情報です。

午後2時10頃太平洋海域上に、巨大生物が出現しました。繰り返します。午後2時10頃太平洋海域上に、巨大生物が出現しました。

巨大生物に関する詳しい情報は現在、入ってきておりませんが、その巨大生物はどうやら日本に向かって進行しているようです。

日本に上陸する恐れもありますので、視聴者の皆さんは避難および安全対策を速やかに行ってください。

巨大生物に関する、今後の新しい情報が入り次第、お伝えいたします。

番組を変更して、現在太平洋上に出没した、巨大生物に関する情報をお送りしています。

某県某所の海岸沿い。その海岸の防波堤に一人の少女が立っていた。その少女はライカの双眼鏡で物珍しげに海をのぞき込んでいる。その双眼鏡を持つ白い手袋の甲には、赤い印がついていた。

時折、少女は悲鳴とも歓声ともつかない声を上げる。少女は薄い緑色のワンピースに身を包み、海風がそのワンピースの布を揺らしていた。

さて、その少女からやや距離を置いた所で、その石造りの防波堤に体を預けるように一人の男が立っている。男は学生服を肩から羽織り、一冊のノートに目を向けている。一見すると学生に見えるのだが、口元に蓄えた髭が彼の年齢を曖昧にさせている。そして、そのノートを来る手には少女と同じように白い手袋が有り、甲には赤い印がついていた。

「ねぇねぇ、見てよあれ。すっごいよ」少女が双眼鏡から目を離さず海に目を向けた状態で、興奮混じりに男に向かって話す。

「映画では見たことあるけど、実物を見られるなんて思わなかった」波の音と潮の匂いが心地よい。これが映画の一シーンであるなら、とても幸せそうなシーンに見えるだろう。

「そうだな」男はしきりにノートのあるページを繰り戻していた。

「本物かぁ。どうしよう、初めて見たからすっごいドキドキしてる」ようやく双眼鏡から目を離し、防波堤の下に居る男に向かって話かける。

「そうか、奇遇だな。俺も実物は初めてだ」男はノートを繰る手を止めずに、少女に対して素っ気のない返事をする。

少女はその返事を共感と受け取ったのか、彼に向かって微笑んだ。しかし、彼にはノートから目を離すことがない故、その微笑みは見えていない。

少女が振り返ると、先ほどは何も見えなかった海の上に幾つもの船が浮かんでいた。その船は漁船のような小型の船ではなく、船の先に幾つかの機銃が取り付けられた船だった。それらが向かっている先は先ほど少女が双眼鏡で眺めていた場所だ。そして、その眺めていた海の水平線上にボンヤリと黒い影が浮かび始めている。

「大っきな船。……自衛隊の人たちかな」少女が呟く。

「映画の中の怪獣が……こうして外に飛び出すなんて思わなかっただろうね」先ほどまでの興奮から一転して、少女は寂しそうに呟いた。

「○○○○は本当に凄い野郎だよ」男がノートを繰る手を止める。「死んでなお、俺たちを驚かせる」

男はようやくノートを閉じ、防波堤の上で寂しげな表情をする少女に向かって声をかけた。

「行くぞ。このファッキンな物語を終わらせる」

少女は防波堤から飛び降りて、男の側に止めてあった黒いワゴン車に乗り込んだ。

男はそれを確認すると、運転席のドアを開けて片足をかけた。そして、誰にと無く、忌々しく呟いた。

「………今度はゴジラか」

(続かない)