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その町は、ほぼ一年を通じて深い氷に閉ざされているが、
夏の盛りの僅か一月の間だけ、船での往来が可能になる。
この機を狙って、夏になると多くの交易船が海豹の毛皮を求めて西方から訪れる。
太陽が地平に隠れなくなり、港を閉ざす氷が緩み始めると、町では民の息災と交易の成功を祈願して、盛大な祭が行われる。
雪と氷に閉ざされた灰色の町も、祭の間ばかりは不埒な極彩色に彩られ、誰も彼も浮かれて夜通し大騒ぎする。
祭の盛りには悪魔に扮した三人の男が現れ、家々を練り歩いた後、町の長の家で歓待を受ける習いである。
毎年、交易船が港に訪れる頃、町には必ず悪い風が吹き、病に伏せる者が出た。
祖父の代の頃には、交易船が災いをもたらすと考え、外との交わりを絶ち先祖の教えに従って暮らそうとしたこともあったらしい。
今ではそうした人々も少なくなり、あくまで交わりを拒む人々は町を出てさらに北に移り住み、小さな集落を築いて暮らしている。
結局のところ、交易によってもたらされる品々が絶たれれば、流行り病よりずっと多くの者が死ぬのだ。
祭の終わりに、三人の悪魔は多くの富と少しの災いを約束して去ってゆく。
三日三晩の乱痴気騒ぎが終わると、北の町に瞬きほどの夏が訪れる。