cheated darling.

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2007-10-07

[]アンパンマンの手紙 13:56 はてなブックマーク - アンパンマンの手紙 - cheated darling.

君がこの手紙を読む頃、僕はもう君の隣には居ないだろう。目が覚めた君に寂しい思いをさせることを許してほしい。

君はこの手紙で、僕のしたことを知り、そして怒るだろう。しかし分かってほしい。二人にとってこれが最良の結果だったのだ。君に相談せずに決めて悪かったと思っている。でもそれはできなかった。何故なら僕たちは共に正気ではないからだ。

恐らく僕らは、このまま朽ちていくだろう。ならばせめて僕は君のそばに居たい。そう思っていた。だから今までこのわずかな理性を繋ぎ止め、なんとか互いの存在を確認しながら、今までやってきた。けれどそれももう限界だ。ここにはもうその手段さえもなくなってしまった。

僕は誰よりも君のそばに居たい。そして最後まで君の事を忘れたくない。君にも最後にもう一度だけ、僕のことを思い出してほしい。

これは僕の傲慢だ。

勝手なことをしてごめん。

愛してる。




手紙はところどころ赤く染まり、にじんで読めなくなっていた。けれどもわたしはおおよそ彼の意向を知ることができた。

わたしは確かに彼を愛していた、彼もわたしを愛してくれていた。だからこの手紙を残してくれたのだろう。彼との日々に思いを巡らせる。幸せだった。わたしたちは確かに幸せだったのだ。

けれどわたしに残された時間はあまりにも短い。こうして彼のことを思い出していられるのも、わたしの中の彼を「消化」してしまうまでの、ほんの数時間にすぎないだろう。

きっと次に目覚めた時には、この紙が彼からの手紙だと認識することも、目の前の食べカスが彼だということも思い出せず、次の食べ物を探しに行くだろう。しかしもう食べるものなど何一つ残ってはいない。だから私はそのまま朽ち果てるのだ。

「ありがとう」

最後にあなたを思い出させてくれて。わたしに最後の理性を、あなたを思う気持ちを、思い出させてくれたのは紛れもなくあなただ。

愛おしく想いながらお腹を撫でると、消化中の彼がぐるぐると鳴った。

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