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pour away このページをアンテナに追加 RSSフィード

掴めそうで掴めない情景、淡く、うっすらと。

記憶の中にぼんやり灯る物語。

2005-01-10

[] アンドロイド ノ カゾク 15:21  アンドロイド ノ カゾク - pour away を含むブックマーク はてなブックマーク -  アンドロイド ノ カゾク - pour away

妻が亡くなり私は人生を見失っていた

ただ仕事をして家に帰る

それの繰り返しをしていただけだった

それに見かねた友人が薦めてくれたのが

家政婦のアンドロイドに妻の記憶の一部を移植する事だった

今の科学力では全ての記憶をアンドロイドに移植する事ができないのだそうだ

なんでも処理が多くなってパンクするとか

人格が形成されてそうなると法律も絡まってきて面倒だとか

そんなところらしい



そういう訳で一週間のメンテナンスから返ってきた

いや帰ってきたと言った方がいいのか

アンドロイドは少し違って見えた

ふとした瞬間に振り向いて僕を呼ぶときの声の出し方や

目に掛かる髪を耳に流す仕種

そんな本当によく見てなければ気付かないような

その彼女の持っていた雰囲気を

雰囲気に気付いてしまう

嬉しくもあり

愛しくもあり

やっぱり彼女は居ないんだという寂しさも



不思議なことに何ヶ月かこういう生活をすると

慣れてくるというか

奇妙な愛着が沸いて来るようになった

認めたくはないのだが

違うと解かっていても

いや

アンドロイドを彼女とは違う女性として見ている自分に気が付いた

そうアンドロイドを愛してしまったとでも言うのだろうか

別にこれといって珍しい事ではない

ピュグマリオニズム、人形嗜好の奴らだって今じゃ利権があるんだ

そのアンドロイドを愛する感情に気付いた直後に

彼女は動かなくなってしまったんだ

まるで亡霊にでも殺されるようにね

妻の仕業だって? この時代にそんな話はないだろう

現にその時にマイナスのエネルギー因子すら計測されていない



問題はね それがとても悲しかったんだ

アンドロイドと結婚する奴らの気持ちが少しわかったよ

そしてもう二度とそんな事はごめんだね

だから僕もアンドロイドになったんだ

もう何も悲しい事なんてないよ