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掴めそうで掴めない情景、淡く、うっすらと。

記憶の中にぼんやり灯る物語。

2006-09-08

[] そういえばあの日も暑かったっけ 16:30  そういえばあの日も暑かったっけ - pour away を含むブックマーク はてなブックマーク -  そういえばあの日も暑かったっけ - pour away

夏の終わり

太陽を称える様に短い命を羽の音に変える蝉

耳障りだったけれどこの時期はいつも物悲しく響く

ひとつまたひとつと静かになっていく

生命を謳歌していた季節が流れてどこか悲哀を感じさせる

鈴虫達が鳴き始めそんな夜に彩りを添えて

熱が溜まっているコンクリートの壁を避けて見晴らしのいい所へと歩く

風が黒一色の木々と影を揺らす

ざぁっという木々の拍手に鈴虫達は一旦演奏を止める

汗ばんでいた肌を撫でて冷やす

その温度差に身震いをする



振り向いて手を振っているきみ

あの頃のままの姿で

なぜか自分だけ時間を進めた今の自分で

その手を取って引っ張っていけるほど強くなくて

その手を振り払って我侭を言えるほど弱くなくて

淡々と流れる出来事はコマ送りの映像作品みたいだった

自分は当事者じゃなくて観衆だった

その証拠に封を切ったばかりのタバコは全部吸い切ってしまった

それが精一杯の抵抗だった

時間を引き延ばすだけ

言葉が出ない事を吸っているタバコのせいにして

最初から決めていたから

互いの道が分かれてしまったら

手を振って送ろうって

枷にもなりたくなかったし

綺麗な別れの場面にしたかった

もう痛まない胸に手を当てる

なぜ嬉しい思い出よりも辛い思い出のほうが残るんだろう

その痛みは今は何よりも甘く

あの頃が何時だったかなんて思い出せない



また名残惜しそうな夏の夜の風が吹く



何か上の空だけど?

うん? ううん なんでもないよ



寄り添う影が歩き出す