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掴めそうで掴めない情景、淡く、うっすらと。

記憶の中にぼんやり灯る物語。

2007-10-02

[] 揺れる蛍の幻 - inculturation 15:54  揺れる蛍の幻 - inculturation  - pour away を含むブックマーク はてなブックマーク -  揺れる蛍の幻 - inculturation  - pour away

「ここらならいいだろう」



見晴らしの良い緑の丘の上



私はスカートを落としシャツのボタンを外す

彼の体を愛撫し彼のものを舐め上げる

目を閉じていても少しのズレもなく行える互いの体

息を吸うように彼の上に跨る

やがて彼が達そうとするのが感じ取れる

それに呼応して私の下腹部も白く熱くなっていく

同時に訪れるオーガズム

彼の口に唾液を垂らして舌を差し込む

類稀な饒舌だった彼の舌を噛み切る

租借しながら彼の口に私が持ってきたワインを注ぐ

彼は何かを言おうとしているが金魚のようにしか見えない

ワインと血が入り混じった赤が経血みたいに彼の口から滴っている

生臭い彼の舌を飲み込む

彼が少し微笑んだような気がした

彼の舌が私の食道を胃を愛撫しながら流れ落ちていく

そのぬるぬるとした優しさに身震いする

私は彼の首を力一杯絞める

私の中で彼がまた射精した



「変態」



脈打つ彼のものを感じながら彼が絶えていくのを確認する



彼の死体を隠そうとは思わなかった

彼の望む幸せな最後を誰かにも見てもらいたかった

私が携わった作品

乾き始めた秋の風が彼をいつまでも称えている



「セックスしながら互いに互いの肉を食しあって死のう」

なんて馬鹿で陳腐な台詞

けれどもそれを世界に反映させてしまうのが彼

首を絞めたときに達した彼に愛しさよりも憎しみが沸いたのはなぜだろう

初めての彼への反発

私の中で彼は彼じゃない何かに変わっていった

愛しいもので貫かれている恍惚から気味の悪い異物を挿入されているような感覚へ

そしてその通りになった



私の体は無意識に彼の住んでいた部屋に来ていた

現実離れした出来事への疲れと後悔

最愛の人を失ってしまった私は何もかもが空しく思えてきた

神を食らった聖人が磔られたように彼は自身を磔たのだろうか

自己満足の購い

彼が言っていた言葉を思い出す

「受肉の方法がわかった・・・!」

くだらない妄想

もう居ない愛しの人

私は彼を彼の犯した世界を愛して愛してそして信じた

その時点で私は彼に食われていたのかもしれない

自己を食い尽くして世界を犯した男

その思い出

その残滓

流れる涙

彼が私を抱いたベッドで彼の残した匂いに眠る



三日目の朝に目を覚ました彼女

少しやつれたようにも見えるが以前とは違う精悍な顔

「さあ世界をファックしに行こうか」





食人賞
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