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pour away このページをアンテナに追加 RSSフィード

掴めそうで掴めない情景、淡く、うっすらと。

記憶の中にぼんやり灯る物語。

2007-12-04

[] コイカラ(2) 13:25  コイカラ(2) - pour away を含むブックマーク はてなブックマーク -  コイカラ(2) - pour away

持て余した時間で映画とか見て

やっぱりいつもの居酒屋のカウンターで呑んで

帰り道にまたねって手振ってキスして



え?あれ?なんで?キス!?

僕から?きみから?

甘いお酒の味

頭の中が痺れる

甘いお酒の味よりももっと甘く

甘いきみの匂いよりももっと甘く

別の生き物みたいな舌があったかくていやらしくて

あーもーこりゃダメかも負けそう

恋愛で勝ち負けとかないって言うけど

惚れたら負けってなんでか思うんだ



今度は頻繁に夢をみるようになった

決まってきみがいる夢

ただ夢の内容は笑っちゃうほど脈絡無くバラバラ

二人でセックスをする夢だったり

学生服で登下校していたり

きみが僕を追いかけてきて首を切り落としたり

最初は遊んでたゲームや見ていた映画

今までの思い出とかが影響してるのかと思った

けどすぐに違うと気が付いた

まるで見た事のない景色に記憶

サイケデリックな色した空

猫の舌みたいにざらざらした風

夢の中特有のぬるい泥沼みたいな足場

そして左手だけじゃなく舌にもきみの感覚が木霊するようになった

ああこの夢は皮膚が見せているんだ

脳が蓄えた記憶の断片が夢になっているのではなく

皮膚が蓄えてきた見えざる記憶

少しずつ毒に冒されていくような感覚

命を落として土に還る動物達のビデオを思い出す

あれはきっとこんな風に甘い滅びの感覚

死は優しいし唯一の公平だと思う



彼氏がいるかどうかは確認できなかった怖くて

でも居るんだろうという予感はあった

キスしたことも酔っ払って覚えていないかもしれない

膝が震えだしてその場に崩れ落ちそうになる

大丈夫まだ好きじゃない好きじゃない好きじゃない

自分に呪いをかけるように何度も何度も膝の震えが収まるまで唱えた

頭の中には自分の心臓の鼓動音が速く低く響いていた



友達と呑んでいるときにメールが来た

「近くにいるんだけどどこで飲んでる?」

彼女を迎えにいった

彼女は男と居た

思ったほどの衝撃は来なかった

こんなものかとも思うほど

その日は楽しく呑んだ

二人の話を聞きながらたくさん笑った



彼の親しみの篭った彼女の呼び方にイライラする

二人の日常が垣間見える毎に感情が揺れる

彼女の手が彼に触れる度に頭の奥が重たく熱を帯びる



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自宅で目を覚ました

昨日一緒に呑んでいた友人が部屋の隅で鼾を立てている

すんと鼻をならすと僅かに女の匂いがした

フローリングの床にはラメがきらきらと落ちていた

あれから自宅に戻ってきて呑んだのか

熱めのシャワーで酒の匂いを落とす

排水溝に全部流れてしまえばいいのに

湯気をまとい濡れた頭を拭きながら部屋に戻る

携帯電話が点滅している事に気が付く

彼女からのメールだった

メールに書かれた時刻を見ると今朝早くに届いている

今はもうお昼過ぎだ

昨日結構酔ってたみたいだけど大丈夫?

数回他愛のないやりとりを繰り返す

今日は自棄酒にでも付き合ってもらうかな

僕は眠りこけている友人を見る



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あれからも僕らは何度か呑みに行ったり遊びに行ったりしている

友達という関係に満足しきっている訳ではない

けれどそれでいいこのままでいい

少なくとも今は