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掴めそうで掴めない情景、淡く、うっすらと。

記憶の中にぼんやり灯る物語。

2008-02-08

[] 親友だった男 - 爛漫 15:28  親友だった男 - 爛漫 - pour away を含むブックマーク はてなブックマーク -  親友だった男 - 爛漫 - pour away

座席は自由だったので二人で端っこに席を取った。

ナオは頭も成績も良かった。授業で分からない事は常に聞いた。

一学期の中間試験結果が張り出される。


「頭いいよね」

「俺、この教科だけけなくに勝てなくて悔しいよ?」


ひとつだけ私の名前がナオより上にあった。


「これだけじゃんこれだってマグレだよ」

「一年の時からそうじゃんもうマグレとはいわねー(笑)」

「あれだよサイコロ振り続けてたまたま全部当たってるだけだ(笑)」

「今宝くじ買ったら当たるんじゃね?」

「いや多分もう運使い果たしてる(笑)」



休み時間は同じクラスの仲間とバイクの話を延々とした。たまに気になる女の子の話。


「なんか二人正反対そうなのに仲良いよね」

「ん?そう?」

「げー仲良くねーよ」

「付き合ってんの?」

「意味がわからない(笑)」

「まーでも二人とも話し掛け辛い雰囲気は似てるかもね」

「ふーん」「ふーん」


体育の時だけは違った。

進級直後の最初の体力測定ではほとんど二人とも同じ数値だった。

握力、背筋力、持久力、瞬発力。

どんな授業のときでも常に本気で競い合った。

私はバスケ部だった。ナオはテニス部。体育がバスケの時は、私がナオにバスケを教えた。テニスの時は、ナオが私にテニスを教えてくれた。

この頃ナオは自動二輪の免許を取ってバイクを買っていた。

最初はエンジンすら掛からなかった古びたバイク。ペンキ塗りだけ手伝った。私は触るものを動かなくする才能に恵まれていた。

二人分のバッシュとバスケットボール、ラケットとテニスボールを抱えて、ナオの後ろに乗った。

練習の成果を体育で試す。二人で体育の時間に着ける決着。見守るギャラリー。

テニスでは真剣勝負。長いラリー。バスケではチームメイト。息が合わない訳がない。


年に一度の球技大会。



私達は正直この大会が好きではなかった。

学年全てで勝ちあがり方式なのだ。

去年は二、三年生に完膚なきまでに叩きのめされた。

科目はバスケット。私達のクラスは強かった。

元バスケ部部員と私とナオ。学年で一番バスケが巧い人達が集まっていた。

負けるわけがない。順調に勝ち上がっていた。

今「元」と言ったのは理由がある。とある事が原因でバスケ部は廃部になってしまったのだ。そして多分その原因は私達にあると言っても過言ではなかった。

最終戦。3年生の元バスケ部部長率いるチーム。怒っている。固く結んだ口。威圧する視線。

ラフなプレーが多かった。審判も三年。多分買収済みなのだろう。一切ファウルを取らない。足を捻挫するメンバーも出た。32対18。負けた。


「けなくってバスケしてる時はかっこいいのね」


帰りにクラスの女子に言われた


「普段はかっこ悪くてごめんね(笑)」


バスケをしていた人達がチヤホヤされていた。居心地悪く、なぜか後ろめたく感じた。足早に帰った。苦手だ。



三年。

卒業の掛かった期末試験。私は普段の行いが祟り、まったく授業がわからなかった。

ナオにテストの山と解法を徹夜で教わった。要はテストをクリアする為の全てを。



寝過ごした。二人して。



なんとか卒業。できた。

バイク仲間も半分位は連絡を取らなくなった。

ナオとだけは変わらず遊んでいた。


「大学暇でさそっちは?」

「んープログラム面白いよ」


ナオは私にPCの組み立て方を教えてくれた。

私はプログラム言語を教えた。

二人で日本酒を呑みながら近況報告や馬鹿話をした。

ずっと変わらないと思った。



私はその後ゲームプログラマになった。

大学生のナオとは遊ぶ時間が極端に減った。遊ぶというよりは会うというように。

ナオはSEになった。