Hatena::Groupneo

pour away このページをアンテナに追加 RSSフィード

掴めそうで掴めない情景、淡く、うっすらと。

記憶の中にぼんやり灯る物語。

2008-03-12

[] 親子猫 13:06  親子猫 - pour away を含むブックマーク はてなブックマーク -  親子猫 - pour away

小さい頃から歩いている道。じゃりじゃりした河川敷。

この季節は別れの季節だよなぁと思う。三月。卒業。新しい生活。

空は橙から藍色へ変わろうとしている。風は暖かく、未だ冬の格好をした僕は、少し汗ばんですらいる。

朝は寒かったのに、とぼそっと心の中で独りごちた。

脇から猫の鳴き声が聞こえた。サカリかと思ったがどうやら争っているようだ。

子猫を2匹連れた母猫。それを取り囲む数匹の猫。

邪魔するつもりはないけど、そこ通らないと帰れないんだよな。襲ってきたりすんなよな。

心なしか足音をたてずに近付く。すぐに全ての猫がこちらを向く。

こわ…。

僕は少しジャンプして猫を追い払う。

取り囲んでいた猫たちが一斉に身を翻す。

僕はイヤホンから流れる歌に合わせて歌いながらまた歩き出す。

自宅まであと少しの所で後ろを振り向く。

ここからの眺めが好きだ。汚い川も夕日を反射してぴかぴかしている。雲ひとつ無い空。澄んだ空気。車の音すら聴こえない。遠くで野球をしている少年達の歓声が聞こえる。金属バットがボールを打つ乾いた音。

ん?…お前ついてきたのか…家着ても飼えねーぞ。

さっきの猫が悪戯がばれた子供のような顔でこちらを見上げている。

そんな顔で見るなよ。笑っちゃうだろ。

後ろの子猫達は楽しそうにじゃれ合っている。

子供は気楽だよな。

自分は子供なんて持った事も無い癖に母猫を労う。もちろん心の中で。

それからは後ろの気配に合わせて歩んだ。

警戒しながら、だるまさんが転んだでもしているようについてくる猫。

ミルク持ってくるから待ってな。

自宅から少し離れた空き地。ミルクを置いて少し離れる。



次の日。猫の缶詰とミルクを持って空き地へ。いつもより15分ほど早く起きた。

空き地には大量のカラス。電線にも。倒れている母猫。つついてその肉を食べるカラス。連れ去られる子猫



え、なんで…?


ごめんよ…


それもそうだなぁ…


そんなもんだよなぁ…


缶詰を開けて、母猫の隣に置いた。ミルクと一緒に。

どうせカラスの餌になるんだろうけど。