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pour away このページをアンテナに追加 RSSフィード

掴めそうで掴めない情景、淡く、うっすらと。

記憶の中にぼんやり灯る物語。

2008-11-13

[] あの人の色 16:18  あの人の色 - pour away を含むブックマーク はてなブックマーク -  あの人の色 - pour away

外を走る車のヘッドライトが部屋に入ってくる。

棚に置かれた小瓶が反射して部屋をその色に染める。海。ヒビの入った小瓶。

あの人の色はこの香水と同じ色だ。私の中で。

夏の海。決してそんな爽やかな性格じゃないんだけど。なんだかそんなイメージ。

足を入れても冷たくなくて。恐れなくて良い海。穏やかで。空色とは決して交わらないで。

一人で街を歩いていて、すれ違う人から同じような匂いがすると振り向く。

自分も同じになりたくて、手首に付けてみたけれど、ちょっと違くなる。悔しい。

同じになりたい。

子供の頃に木登りしてる男の子がカッコ良くて楽しそうで羨ましくて、真似をして怒られた。

その日のお風呂にその香水を入れてみた。

お風呂場の水蒸気の一粒に、仕事で遅くなるあの人が居るような気がした。

帰って来てお風呂に入ったあの人はなんか怒ってた。



「風呂青いんだけど…」

「うん?」

「何入れたの?」

「うん?」

「正直に言えば怒りません」



互いの視線が瓶に向かう…



「ちょ、瓶空っぽナンデスケド?」

「いいじゃん減るもんじゃないし」

「思いっきり減ってるから!」

「怒ってるじゃん!バカ!嘘つき!お店に行けばまだありますー!」

「…」



口開けたまま湯船に戻っていくあの人はなんだか可愛かった。



「変り種のバスクリンだと思ってー」



返事が無いただの屍のようだ。