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2008-06-07

物語の砂漠

| 01:19 | 物語の砂漠 - テロスの方へ を含むブックマーク はてなブックマーク - 物語の砂漠 - テロスの方へ 物語の砂漠 - テロスの方へ のブックマークコメント

後先考えずに、喋ったままを書いてみる。

物語は今はまだない。ただフラットで何もない空間が用意されている。砂漠にしよう。砂を敷きつめてみる。果てしのない明るい地獄だ。

登場人物を考えてみる。一人の男が良いだろう。どこからともなく、この砂漠に迷い込んでしまった不幸な男だ。どうやってここに着たのかも覚えていない、記憶喪失状態で砂漠をさまよっている。飢えと渇きを癒そうともがく哀れな男である。

砂漠こそが最も恐ろしい迷宮だと言ったのはボルヘスだった。男はそんな一節だけを思い返すことができる。ある文脈、その断片がぼろぼろになったパン屑のように男に降り注ぐ。

眼に、口に砂が入る。未来はどこにも見つかりはしない。この物語に先が用意されていないのと同様に、男に未来などないのだ。

やがてこの灼熱の明るい地獄にも、静寂な夜が訪れる。昼間とは打って変わって、凍える寒さだ。歯はガチガチと音を鳴らし、眠ることすら許されない。男は後悔する。記憶がないのだから、過去を後悔することはできない、ただ現在を後悔するのだ。我が存在を懺悔するのだ。

後悔の念も、祈りも届きはしない。男は残酷に処刑される。物語はなかった。はじめからなかった。過去も未来もなかった。そして男は、今、死んだ。

2008-06-05

Narratological Intersection

| 21:51 | Narratological Intersection - テロスの方へ を含むブックマーク はてなブックマーク - Narratological Intersection - テロスの方へ Narratological Intersection - テロスの方へ のブックマークコメント

直線的な時間軸に沿って進行する、きわめて単純な物語Aを考える。

次に同様に単純な物語ではあるものの、Aとは共通のあらすじを持たず、しかしある一点でだけ共通点を持つ物語Bを考える。

この交点P(A,B)はたとえば共通の時間と場所であったりする。物語の場合、時間軸が必須の前提となるので、共通の時間+共通の場所、テーマ、人物、などが想定されるだろう。

同様にしてAともBとも交点を持つ物語Cを考えることもできるし、Bとだけ二度交わる物語Dも考えることができる。さらにはBとCの交点に物語Eが交差する可能性もあるだろう。

こうして物語交点は以下のように整理される。

P1(A,B)

P2(A,C)

P3(B,D)

P4(B,D)

P5(B,C,E)

もちろん物語を増やしたり、巧みに共通点を増やしたりすれば交点は増大する一方だ。

さて、ここで交点を残して、物語を消去することを考える。

P1,P2,P3,P4,P5

時間的な順序こそ見いだせるかもしれないが、交点は記念碑であり寄る辺なき遺跡として浮遊することになるだろう。

またP1とP5の間に物語Bが横たわっていたことを推測するものも現れるかもしれない。因果関係を整理してゆけば、ある程度までは復元することができる。我々はそれをもう一つの物語であるところの歴史と呼んでいる。

しかし、何の関連性もないP2とP3との間に線を引き、まったく新たな物語αを作り出す可能性もあることだろう。論理的矛盾が見いだせなければ、それは確かに存在したはずの物語であり、語られてしかるべきなのだ。

私はその物語の存在を許すだけでなく、歓迎するだろう。いや、これこそが望まれていた物語であった可能性すらあるのだ。

あらゆる物語はすでに失われていた。

しかし夜空を見上げたときのように、目をこらせば物語交点はそこかしこで輝いている。いかなる星座を見いだすべきか……それはいつだって自由なのだ。

2008-06-04

距離の測定

| 00:33 | 距離の測定 - テロスの方へ を含むブックマーク はてなブックマーク - 距離の測定 - テロスの方へ 距離の測定 - テロスの方へ のブックマークコメント

お互いに糸を咥えて、唇と唇との距離を測定する。7センチ5ミリ。そこから何かしらの意味を読み取ろうとして、小さな嘆きが訪れる。

不意に、水平線を目指して地球を一周してしまった男の話を思い出した。

2008-06-03

テロスの方へ~結末よ来たれ

01:56 | テロスの方へ~結末よ来たれ - テロスの方へ を含むブックマーク はてなブックマーク - テロスの方へ~結末よ来たれ - テロスの方へ テロスの方へ~結末よ来たれ - テロスの方へ のブックマークコメント

シェラザードに到達した者は誰一人いなかった。