嫉妬する雑種犬 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2007-01-27

[][]4.バリアリーフダイジェスト 4.バリアリーフ・ダイジェスト - 嫉妬する雑種犬 を含むブックマーク はてなブックマーク - 4.バリアリーフ・ダイジェスト - 嫉妬する雑種犬 4.バリアリーフ・ダイジェスト - 嫉妬する雑種犬 のブックマークコメント

朝6時45分にクルーがウェイクアップ・コールをしに下りてきて、その15分後には私たちは器材をつけてボートのへりに立っていた。皆眠そうに目をしばたたかせていたが、水に飛び込んだ瞬間に目が覚める。

私は波がおさまっていることに気がついた。風も止んでいる。

今日は期待できますよ。」

とS……が言った。彼と私とはすっかりバディとして定着してしまって、皆からチームJAPANなどと呼ばれていた。

潜降すると、透明度が見違えるようだった。昨日の倍以上はあろうか。私はここであまりにも多くのものを見たので、印象深かったものを箇条書きにするにとどめよう。クマノミについては、のちに述べる。

ガーデンイール(チンアナゴ)――砂地から突き出ている動く林。私たちが近づくと引っ込んでしまう。もし私が水中カメラマンなら、さぞかし撮るのに情熱を傾けるだろうと思われる被写体。私は自分がタカアシガニのようなカメラを構えつつ砂地をにじり寄っていく姿をありありと想像できる。

トリガーフィッシュゴマモンガラ)――美しいが、なわばり意識が強くて、あまり近づくと襲ってくる。噛まれると痛いらしい。ヒレの形状からトリガーフィッシュと名づけられていて、水中においてダイバーたちは手で拳銃を撃つふりをすることで、この魚の存在とともに、危険であることも同時に示すことができる。

ヤッコエイ――砂の上をすべるように泳いでいるときもあるが、砂に潜って目だけをギョロつかせているときもある。睨まれると結構、怖い。砂色の背に蛍光ブルーの斑紋で威嚇する菱形。

カニハゼ――背ビレに目の模様があり、岩の間を左右に動く姿はカニそっくりに見える。彼らは驚くほど砂と岩に溶け込んでいて、S……が私に示さなかったら、見逃してしまっていたに違いない。日本では見られないらしいので、存分に眺めて目に焼きつけておいた。この点でもやはり私はラッキーだった。なぜなら5人や10人のへたなダイバーといっしょに潜るとなると、先導するのだけで大変だろうし、こちらとしてもゆっくりカニハゼを鑑賞している時間の余裕などないだろうからだ。

ミスジリュウキュウスズメダイ――砂底にぽつんとひとつ生えている枝サンゴのまわりに細かく群れていた。彼らは危険を感じると枝サンゴの間に一瞬にして隠れてしまう。私たちは手で水を送り込み、この「危険」を意図的に作り出す。水中においては陸上と違い、上下左右どこから敵がやってくるかわからないというスリルがある。私たちにとってもそれは同じで、いつ何時どこから脅威がやってくるかは予測できない。私たちは瞬間瞬間に対応するしかない。

ナンヨウハギ――ホアン・ミロ的な、「月光に照らされた人物」とでも題したくなるような、泳ぐ絵画。私たちは巨大な美術館にいて、青ガラスを通して絵画を鑑賞しているのだろうか?タングやサージョンフィッシュと呼ばれるこれらハギの仲間は、その体色のの鮮やかさによって、どれだけ速く動いても私の目をひきつけるのにじゅうぶんだ。彼らの色彩による主張は、ときに攻撃的であると感じるほどである。

それから私たちは、とてもいちいち数えていられないほどたくさんの種類のチョウチョウウオを見た。彼らは、その細長い口でサンゴポリプを食べてしまう。大きくて鈍重な顔をしたブダイは藻を食べるためにサンゴをかじり、そのフンは白砂になる。そして、トゲだらけでおどろおどろしい、サンゴを生きたまま消化するオニヒトデ

一方私はといえば、バリアリーフ全体を消化しはじめていた。