嫉妬する雑種犬 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-01-03とりあえずあけおめ

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ダイビングの話やっと書き終わったよ。

なんか、第2回ファ文杯関連でフィクションとノンフィクションの境界の消滅というか、そういうことがいろいろ言われてたみたいだが、こういう、著者自身の実際の体験を元にした紀行文的なフィクションってファック的にも珍しいのではないか。そうでもないのか。

フィクションとノンフィクションってもともと境界があるとは思えないけど、もしあるとすれば、夢と現実という二つの次元と同じように、一つの消失点(超現実という消失点)に収束しているはずだろう。文字って単純に紙の上(モニタの上、が正解か)の二次元の世界のものなのに、こんなに遠くまで見渡せるなんて不思議だ。


何かフィリップ・ジャンティ的な何かというか、そういう消失点?


ジクムント・フォーリーズ

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俺は強いカプチーノで一服しながらニーチェを読んでいた。周りでは数匹のオナガザメたちが機械的に円を描いていて、それを見つめすぎたひとりの少女が眩暈におそわれている。

どうしたわけだ、そこで、雪のようにまっ白なイルカが乱入してくる。コーヒーの匂いのたちこめたカフェの中で、まるで巨大な蛍光灯の太陽のように光り輝くイルカ。俺はカメラをとりだしてその夢幻的光景を撮ろうとするが、明るすぎて露出の設定がうまくいかない。サメたちは逃げてしまった。イルカはイルカで、もうほとんど気絶しそうになっている少女を連れ去ってしまう。

カフェにひとりとりのこされた俺は、明かりの消えた店内で様々なものたちが蠢くのを感じた。ふと足元を見ると、岩かげにミスジリュウキュウスズメダイの幼魚が数匹かくれているのをみとめることができた。俺は彼らをおどろかさないように、苦労してゆっくりと立ち上がる。ウツボの顔が、あの隅っこの暗がりからのぞいている。それを避けつつ、俺は店主のいないカウンターに2ドル硬貨を3枚放り投げる。すると得体の知れない長い腕がのびてきてあっという間に硬貨をさらってしまう。俺は木のカウンターに、吸盤の跡がついているのを見てしまい、身震いする。こわがっていることがばれないように、なるべくゆっくりと店を出る。

俺は……いまこそ知った。俺という人間はひとところにとどまってはいられない。明日の朝目覚まし時計が鳴ったらまた現実の世界にもどるだろうが、夜ごと無意識の航海に出ることは止められない。そしていつかもどって来ることができなくなるほど、俺は深く潜ってしまうだろう。ほら、もうこんな風に、現実と幻想の境目がわからなくなっている。あれは現実か?俺の頭上、ほのかに青く光る空をマッコウクジラがゆく。彼、「鯨の王」は深海でダイオウイカと戦ってきたばかりだ。俺は再び吸盤の跡を、彼の身体にみつける。巨大な吸盤の跡……。俺は俺の死体がはるか深海へと沈んでゆき、飢えたヤツメウナギたちに甘美にかじられる様を現前に見た。俺の死体はマッコウクジラのそれほど栄養豊かとはいえないが。

ひとつ知っておいてほしいことがある。もしきみが魚を釣りに海へ出かけたとすれば、俺はいつでも、文字通りいつでも、釣られる側にいるということを。

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