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書くこととみつけたり。 このページをアンテナに追加 RSSフィード

07年10月03日 水曜日三度目の正直といいまして。

[]「食人百物語」 16:46 「食人百物語」 - 書くこととみつけたり。 を含むブックマーク はてなブックマーク - 「食人百物語」 - 書くこととみつけたり。 「食人百物語」 - 書くこととみつけたり。 のブックマークコメント

えーでは毎度馬鹿馬鹿しいお笑いでご機嫌を伺います。

最近とみに暑うございますなあ。暑い日といやぁ、暑さで頭がやられたもんでしょうか、おかしな連中がおるもんでして。

おい熊さん、なんだい八っつぁん。いやね、最近暑いねおい。8月でこんなに暑いと、12月にゃ50度くらいになるんじゃねえのか。

おいおい馬鹿なこと言っちゃあいけねえ、いいかいお前さん、季節ってもんは春夏秋冬、暑くなったり寒くなったりを繰り返すもんなんだよ。だいいち今までの12月で暑くて暑くて困ったことがあったかい。そいつぁ道理だ。ありがとよ熊さん、じゃあお代を払うから数えておくれよ。よしきた、1文、2文、3文、4文、5文。

ときに熊さん、今何かおかしなことがなかったかい。なんだい薮から棒に。おまえさんが一番ここいらじゃあ変なおひとだよ。へへ、そいつはどうも。褒めちゃいないよまったくおかしな野郎だね。まあ言われてみれば確かに、どことなく寒気がするなあ。妙だね、こんな真夏のよふけに。嫌だねおまえさん、もしかして幽霊でも見たんじゃないだろうね。馬鹿いっちゃいけねえ。そんなことよりお代を払ってくんな。わかったわかった、それじゃあ、4文、3文。

おいおい八っつあん、なんでおあしを引っ込めるんだい。まさかおまえさん、おれが幽霊なんで、幽霊だけにおあしがない、おあとがよろしいようで、なんてやるんじゃないだろうね。馬鹿いっちゃいけねえ、お天道様に誓ってそんなみっともねえ真似はしねえよ。ただ、

ただ、なんだってんだい。どうしたってんだ、そんな人を食ったような顔をして。

いやね、だって、死んでいくやつが銭持ってても、しょうがないじゃない。

おあとがよろしいようで、そう下げた顔、鼻の先からたちまち汗が流れ落ちる。

周囲はもうもうと熱気が立ち込めていたが、この汗は暑さによるものではなかっただろう。

客席に顔を上げることもできず、落語家は頭を床にこすりつけんばかり。


この寄席唯一の客は、豪奢な金無垢の玉座から身を起こすと、腰に佩いた黄金造りの偃月刀を抜き放った。

「確か、そちは百日でも一千日でも余を楽しませてくれると、そう放言したよう記憶しておるが……」


肉切包丁にも似た大刀が、落語家の首筋に触れた。


おあとが、よろしいようで。


食人賞

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