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書くこととみつけたり。 このページをアンテナに追加 RSSフィード

08年03月06日 木曜日このごろ巷に流行るもの

[]嘘太郎 09:14 嘘太郎 - 書くこととみつけたり。 を含むブックマーク はてなブックマーク - 嘘太郎 - 書くこととみつけたり。 嘘太郎 - 書くこととみつけたり。 のブックマークコメント

むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんと桃太郎がおりました。


「川で洗濯をしていたおばあさんは目の前を流れる桃を見つけ、一目で只の桃でないと見抜き、親子の契りを交わした。それが後の桃太郎である。

桃太郎はそのままどんぶらこ、どんぶらこと川を流れ続け、ようやく生れ落ちたところが都の河原。身の丈およそ一寸弱、このような子供になにができるかと都人には笑われもしたがこれが強い強い。

鬼と出会っては鬼を斬り、仏と出会っては仏を斬る。女と出会っても女を斬る。別の意味で。その結果金銀財宝ざっくざくとなった桃太郎は、姫の一人に貢がせた秘宝『打出の小槌』の神通力によってみるみるうちに大きくなり、全てを手に入れたのでした。

ですが、やはり桃太郎も人の子。かつて親子の契りを交わしたおばあさんとの義によって、富も名誉も打ち捨ててこの村に帰り、孝行をして暮らすこととなったのでした。めでたしめでたし」


桃太郎がそんなことばかり言っておりますと、些細な設定の矛盾を攻撃してくる心ない輩がございます。

「桃の中にいたのにおばあさんとどうやって親子の契りを交わしたのか」

「それはどういった契りか。具体的に」

「どうして身の丈一寸の人間が鬼を倒すことができたのか。方法を具体的に」

「このフレーズは著作権的にグレーなのではないか」

「人間の身長がみるみるうちに伸びるなどというのは明らかに効果を誇大に主張しすぎている。薬事法違反なのではないか」

「人外の力によって伸ばしたにしてはちょっと中途半端に低いのではないか。なぜもっと高くしなかったのか」

「そもそも桃に入って流れてきた赤ん坊というのはどういう現象なのか」


桃太郎は「実話かどうかは問題にならない。結果としてわたしが老夫妻に孝行を尽くしているのだからそれ自体はいい話ではないか」といいました。

なるほどたしかに、普段の桃太郎は炊事洗濯料理に芝刈り、狩りやご近所付き合いまでそつなくこなす優等生でしたので、皆もなんとなく煙に巻かれてしまうのでした。


さて、ある日の夜。

おじいさんが夜風にあたっていると、桃太郎が空からやってきた牛車に乗り込み、月へ向かって飛んでいくではありませんか。

驚いたおじいさんは、おばあさんを呼び、近所のものを呼び集め、自分の見たものについてまくし立てました。


「ワシは見たんじゃ、桃太郎が空飛ぶ牛車で月に行ってしもうたのを! 何を馬鹿な、夢などであるものか! そもそも桃太郎とは誰かじゃと? ワシらの息子に決まっとろうが! なにを……息子などおったかじゃと? ば、ばあさんまでなにを面妖な……あのウソばっかり言っておった子じゃ、おい、ばあさん、しっかりしてくれ。しっかりするのはじいさんの方じゃと……? 馬鹿な、嘘じゃ、嘘じゃといってくれ……っ!」

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