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08年06月23日 月曜日

[]25人の白雪姫16:27 25人の白雪姫。 - 書くこととみつけたり。 を含むブックマーク はてなブックマーク - 25人の白雪姫。 - 書くこととみつけたり。 25人の白雪姫。 - 書くこととみつけたり。 のブックマークコメント

「悪逆非道の魔女め、かくごしろ!」

王子と白雪姫は手に手をとって、とうとう魔女の館へやってきました。

扉を蹴り破る音に驚いた様子もなく、魔女は鏡を覗き込んで、なにやらぶつぶついっています。

悪趣味な戦利品のつもりか、棚にたくさんのドクロを並べ、ひっひっひと笑う魔女。

膝にもドクロを抱え、撫で擦りながら呪文のようなものをつぶやいています。

「怪しげな魔法を使うつもりだな! そうはさせるか!」

ゆっくりと立ち上がりかけた魔女の胸を王子の細剣が貫くと、恐ろしい悲鳴とともに魔女は崩れ落ちました。

とうとう、白雪姫に掛けられた毒リンゴの呪いが解ける日がやってきたのです。



「よかったね白雪姫。じゃあ呪いも解けたところで、僕のお城で一緒に暮らそうじゃないか」

「ええ、喜んで」

「たぶん白雪だったら、後宮のみんなとも仲良くやっていけると思うよ」

「え?」

もしそのとき自分の顔をみることができる鏡があったら、白雪はそこに世界一の間抜け面を見ることができたでしょう。

「あ、言ってなかったかな。正妻と5人の妾にはちゃんと白雪のことは伝えてあるから、心配しないで」

「え……」

「白雪は山育ちだし、あんな蛮人達に育てられたんだからしょうがないけれど、お城にいったら礼儀作法をきっちり身につけてもらわないとね。何しろ僕の7人目の妻になるんだから」

困難を乗り越え、興奮しているのか気が緩んでいるのか、王子は白雪の気も知らず、滔々と自らの育ちのよさと、白雪は妾のひとりとしてどうあるべきかという持論を語るのでした。

「ばかにしないで! もう、あんたなんか、しんじゃえ!」


そのときでした。

雷鳴鳴り響き、稲妻は王子を直撃。

あわれ王子は、黒焦げになって死んでしまいました。

自分が王子を殺してしまった。

そう思いつめた白雪は、この魔女の城で王子の亡骸を抱き、泣き暮らす毎日。


そうして、400年の月日が流れました。

不思議と歳を取らない白雪姫は、すっかり綺麗に白骨化した王子の頭蓋骨を抱きしめながら、日々泣き暮らしておりました。

魔女の使っていた仰々しい椅子に座り、目の前の大きな鏡を覗き込みます。

「鏡よ鏡、鏡さん。わたしたち、一体、どこで間違っちゃったのかな……?」

鏡に映る顔は、若い頃の美しさを保ってはおりましたが、どこか違っておりました。


雷鳴が轟きました。

にわかに外が騒がしくなり、誰かが階段を上ってくる足音がします。

白雪姫はそんなことは気にする様子もなく、唯一の話し相手に語りかけました。

「鏡よ鏡、鏡さん? 世界で一番、美しいのはだあれ?」

するとどうでしょう、鏡に映ったのは、いましも魔女の城の螺旋階段を駆け上がる、若き日の白雪姫と、王子の姿。

長旅の埃にまみれ、疲労困憊。決して美しい姿ではありませんでしたが、白雪はなぜか涙がとまりませんでした。


部屋の扉が乱暴に蹴りあけられます。

「悪逆非道の魔女め、かくごしろ!」

入ってきたのは、まさにいま鏡に映っていた、若き日の自分達。

ふと、見上げた部屋の棚には、誰のものとも知れない頭蓋骨が、24個。

白雪は、なぜだかおかしくて、大声をあげて笑おうとしました。

ですが、白雪ののどはすっかり笑うことを忘れ、しゃがれた笑い声しか上げることができませんでした。


「怪しげな魔法を使うつもりだな! そうはさせるか!」

そうだ、王子の頭蓋骨を、棚にちゃんとしまってあげなくちゃ。

ゆっくりと立ち上がりかけた白雪姫の胸を、王子の細剣が貫きました。



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