さようなら

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2009-12-09文学フリマ”8p”配布文公開

おうじょとこじき

とあるじだいの、とある町に、ひとりの少女がいた。少女はたかだいにあるしろにすんでいて、いつもしろのま下にある町を見ては、あそこにはなにがあるのかな、と考えていた。少女はしだいに大きくなり、ひといちばいのあたまとからだを手に入れると、しろのめしつかいをするり、するりとかわしながら、まちのなかへとはいっていった。しろの中はおおさわぎになったが、おうじょといえば、そんなことはおかまいなしのようすだった。

町にはひとりの少年がいた。少年は、こじきをしていた。まちを歩くひとびとにあたまをさげ、ささいなおかねをもらっていた。少年は、ちょうど少女とおなじくらいのとしだった。かれはねずみのおもちゃをたいせつそうにかかえていた。その少年には、かぞくがいたことはぼんやりおぼえているけれども、どんなかおだったのかは、もうわすれてしまっていた。少年が、ひとなみのあたまとからだを手にいれたときには、ねずみのおもちゃがふところにあっただけだった。少年にはともだちがいなかった。でもねずみのおもちゃがともだちだとおもっていた。

かれは、まちばたで、てごろなすきまがあれば、ねることをいつものことのようにやっていた。かれは、ねるまえに、ねずみのおもちゃに、きょうやったことやかんがえたことを話していた。ねずみのおもちゃはだまってきいてくれているようで、気がらくだった。 こじきは、きょうもねずみのおもちゃにはなしかけていた。

「きょうもおやすみ、あしたもたくさんいいことありますように」

「きっと、いいことがあるよ」

そのこえはどこからともなく聞こえてきた。こじきは、ねずみのおもちゃが生きるようになったのかとおもってびっくりした。そこにはひとりの少女が立っていた。少女は、からだをどろまみれにしていた。少年は、少女はきっともっときれいなかっこうやふくそうをしたら、もっときれいになるだろうな、と思ったけれども、少年には、どうすればきれいになるのかはわからなかった。少女は少年のよこにねころがった。少年は、少女に「なんでいっしょにねるの?」って聞いた。ただ少女は「だって、あなたもひとりそうだし、わたしもひとりだから、それでいいじゃない」と答えた。その日から少年と少女は、いっしょにくらすことになった。そして、一日あったことを、その少女と、ねずみのおもちゃのふたつに聞かせることにした。

あるとき、少年のところに、りっぱな服をきた男があらわれた。そしてひとこと聞いた。

「ぼうや、このへんで、かわいくてやさしい少女をみかけなかったか」

少年は、少女のことがおもいうかんだけれども、なにか、むしのしらせのようなものがやってきて、だまっていた。男は、まあ、こんなものだろうという顔をしてたちさっていった。少年は気になって少女に聞いてみた。少女は、自分がしろからやってきたことを明かした。少年はいつの日か、少女がいなくなってしまうんだろう、と思った。そして、思ったとおり、少女はいなくなった。

少年は、しばらくの間は少女をまちつづけていた。もしかしたら、しろにつれかえられたのかもしれないし、自分のことがいやで、どこかにぷいと消えてしまったのかもしれない、と思った。そう思いながらまちづつけたけれども、少女はいっこうにかえってこなかった。いつしか、少年は、まちづつけることを忘れるくらいにまでまちつづけていた。

あるとき、少年のねずみのおもちゃがこわれてしまった。大切にあつかっていたねずみのおもちゃだったけれども、ねずみのおもちゃはみみとしっぽがとれて、はんぶんになってしまった。どこかの人が、おもしろ半分にこわしたのかもしれないが、少年はふしぎとかなしくはなかった。少年は、ねずみのおもちゃをそのへんにほおりだすと、少女をさがして旅をしてみよう、と思った。

少年は、いろんな町をたびした。ガラスでできたまち、きがおいしげっていて、そのすきまにいえがあるまち、まちのひとたちがあたまにつぼをのせている町。そのなかで、少年がそだった町とたいへんにている町を見つけた。ちょうど少年がやってきたときには、パレードをおこなっていたときであった。パレードは、どこぞの王女と王子が、けっこんしたということで、みんながあつくなっていた。少年はひとだかりから、そのパレードをみた。王女のすがたをみたときに、よくみた、なつかしいようなきもちになった。王女は、あのときの少女だった。少年はそのすがたをみると、少しだけさみしくなった。少年はパレードをはくしゅでみまもっていた。少年はそこから立ちさると、どこにいったのかわからなくなった。でも、少年はひとりだから、だれもさがさなかったし、少年もまた、それをのぞんだりしなかった。

その王子と王女がおさめている間の国は、たいへんよくおさめられ、平和でなに不自由せずみんながしあわせにくらしているような、夢の国のようだったとして、れきしの本にものこっており、その二人のはかはたいそうりっぱなはかがたてられたという。しかし、少年のことはれきしの本にものらないし、はかも、どこにあるのかはしらない。うわさによれば、どこかやまのなかでひっそりといきだおれて死んだといわれている。とおりかかったそうりょのひとが、きもちではかを立てていたというが、もはや、そのすがたも、かぜやつちにまみれて、もうだれにもわからない。

 ピンクのぞう

 

むかしむかし、あるところに、ピンクのぞうがいた。ピンクのぞうは、うまれたときからピンクで、そのほかの、はいいろのぞうからやたらといじめられていた。ピンクのぞうは、自分がピンクだと知っていた。そしてピンクであることを、夜のたびごとに悲しんだ。ピンクのぞうはいじめられながらも、いつしか育った。しかしものごころついて、一人で食べたり飲んだりできるときには、はいいろのぞうはまわりにはいなかった。どうやら、ピンクのぞうをおいて、どこかへいったらしい。あるいは、にんげんにおわれて、どこかへいったのかもしれない。ただ、ピンクのぞうは、ただぼくも、どこかへ行かなきゃと考えた。

ピンクのぞうがあるいていると、いっぴきの、ピンクのいぬが泣いていた。ピンクのぞうは、ピンクのいぬに話しかけた。「どうして、そんなに泣いているのかい?」ピンクのいぬは、それに答えた。というのも、ピンクのいぬは、じぶんがピンクだということを知っていて、だからぼくはいじめられるんだ、とぞうに言った。ぞうは答えた。だったら、そんな悲しい思いをしなくてもいいように、ぼくとどこかへ行きませんか、と誘った。こうしていぬは、ぞうのたびについていくことにした。

ピンクのぞうといぬがあるいていると、いっぴきの、ピンクのカラスが泣いていた。ピンクのぞうとピンクのいぬは、ピンクのカラスにはなしかけた。ピンクのカラスは、それに答えた。というのも、ピンクのカラスは、じぶんがピンクだということを知っていて、だからぼくはいじめられるんだ、とぞうといぬに言った。ぞうといぬは答えた。だったら、そんな悲しい思いをしなくてもいいように、ぼくたちとどこかへ行きませんか、と誘った。こうしてカラスは、ぞうといぬのたびについていくことした。

ピンクのぞうといぬとカラスがあるいていると、いっぴきの、ピンクのかえるが泣いていた。ピンクのぞうとピンクのいぬとピンクのカラスは、ピンクのかえるにはなしかけた。ピンクのかえるは、それに答えた。というのも、ピンクのかえるは、じぶんがピンクだということを知っていて、だからぼくはいじめられるんだ、とぞうといぬとカラスに言った。ぞうといぬとカラスは答えた。だったら、そんな悲しい思いをしなくてもいいように、ぼくたちとどこかへ行きませんか、と誘った。こうしてかえるは、ぞうといぬとカラスのたびについていくことにした。

いつしか、ピンクのぞうのたびは、おおくのどうぶつたちがいるようになった。いぬ、カラス、かえるにはじまり、とかげ、とんび、ねこ、かめ、うさぎ、ふくろう、きつつき、きりん、いのしし、うし、ねずみ、とら、あり、せみ……いろんなピンクのどうぶつたちがむれをつくって、たびをしていた。

あるとき、ぞうがすこしそこから離れていたときのことだった。いっぴきのへびが、そのからだが、へんなあかるいきいろだったことを、ピンクのどうぶつたちに笑われていた。ぞうが帰ってきて、へびを笑ったどうぶつたちを怒った。ぞうは言った。きみたちはいつからじぶんのピンクだからといって、きいろいへびをわらうようになったのだ。きみたちは、じぶんがピンクであることをわらわれたのではなかったのかね、と。ピンクのどうぶつたちははじた。これからはいろんないろのどうぶつたちでも、ぼくたちといっしょなのを知った。

ピンクのぞうは、とちゅうでたおれてしまった。もはやピンクのぞうには、歩く気力も体力もなかった。まわりのどうぶつたちはかなしんだ。あるどうぶつは、たびをつづけるべきだといった。だが、そのようにいったどうぶつも、ピンクのぞうからははなれようとしなかった。どうぶつたちは、かわりばんこにみずをくみ、きのみをとりにいったりした。ピンクのぞうが、いつたおれてもいいように、どうぶつたちは、そこにすみかをつくった。ピンクのぞうは、ただよこたわって、そのようすをじっとみていた。

ピンクのぞうは、あるとき、じっとめをとじていきたえた。どうぶつたちはないた。さんかいのひるとさんかいのよるがやってくるまで、かれらはほえたりはねたりないたりした。そして、さんかいのひるとさんかいのよるがやってくるあいだに、ピンクのぞうのはかはたった。かれらは、もうどこにもたびはしなかった。かれらはピンクのぞうがすきだったし、これからもいっしょにいたかったからだ。

ピンクのぞうのはかをまんなかにして、どうぶつのすみかはひろがって、まちのようになった。そのまちは、さいしょは「ピンクのまち」というなまえだったけれども、いまとなっては、ぐんじょやあおやあかやきいろやみどりといった、さまざまないろのどうぶつたちが住んでいる。ピンクのどうぶつたちは、ピンクのまちに、ピンクいがいのどうぶつがすんでいることをほこりに思った。ピンクのまちのいりぐちにはつぎのように書かれてある。

 「ピンクのまちでは、ピンクいがいのどうぶつもわるくいうべからず」

2009-03-30

魔法少女まじかる☆ふぉーす!『最終回:なんでお前ら死なないの?』

目の前で彼女達が世界の存続をかけて戦っていることは事実であったし、それが如何に現実感の欠如したものであったとしても、それは確かに現実的なことであり、受け入れるべきであることもわかっていた。良くできた特撮映画のように、炎がその身体を揺らし、煙を絶えず吐き出している。足元には豆腐のように崩されたアスファルトが転がっている。安易に「世紀末」と比喩したくなるような光景の中で、更に現実感の無い、ボンテージ風の黒を基調とした服を着た往年の女性と、まだ幼さと純粋さが残る、やたらと布を無駄遣いした服を着て、目を刺激するようなアクセサリーをたくさんつけた女子が戦っている。詳しい人ならばわかるように、片方は悪の組織代表の女性で、片方は魔法少女と呼ばれるような類の少女であった。しかも、さらにそれに輪をかけたように現実感がないことの一つとして、魔法少女は僕の「彼女」、つまり恋人として付き合っている、ということでもある。

なるほど、ここまでは良く出来た、魔法少女モノにはあってもよさそうな物語であるかもしれない。だが、困ったことがある。多くの場合、魔法少女の友人なるものは、葛藤はあるが屈託は無く、明るくて性格も良くて人気者であるという事実があるということだろう。そして学園生活を満喫し、きっと卒業したら、進学して、何処かの企業に就職して、仕事が終わったときには変なボールでリラクゼーションとか言われる奴を試していそうな女の子であるだろう。ここまで説明すれば、何が問題なのかわからないし、どうしてお前のことが好きになったのか良くわからないとすら言われるかもしれない。自分でも良くわからない。なんか貴方の絵が面白いとか云々とか言われてはいたが、実際のところはよくわからない。

きっと魔法少女にだって悩みはある。悩みの存在しない人間は、恐らく、ほとんどの確立でいない。多くの人間は、自らの悩みを表出することを潔しとしない文化圏に存在しているというだけであるとは思う。だから僕もそういうのは率直にそういうものだと受け入れているし、それは言わないようにしていた。だが、悩みが存在していないように見えるというだけで暗澹たる気持ちになり、吐気が胃の中に充満し、時々電車の中で座り込み、南無阿弥陀仏のような、呪文のようなよくわからない言葉をぶつぶつと呟きながら、この閉鎖空間からいち早くも脱出出来ることを願うばかりであった。

つまり、このような相違があるということだ。僕の目の前で戦っている、時々魔法をぶつけられては、悲鳴を上げる魔法少女の悩みというのは、きっと人間社会生きるにおいてぶち当たる壁であるだろうし、それは理解可能なものであるし、それは慰められ、頑張ったね、大変だねと声をかけられる類のものであることは間違いないだろうということだった。しかし、自分の場合は、冷静に客観的に、自分を突き放して考えた場合に、「甘え」だとか「嫉妬」だとか、二文字で片付くような悩みであることが多かった。

僕はあるとき、彼女の前で耐え切れずに泣き出したことがあった。僕は結局のところ生きていても仕方が無いし、生きている意味もないし、誰も理解してくれないし、僕はこれからも孤独だし、ずっと、ずっと地面を這いずるように生きていくしかないのだ、と嗚咽しながらわめき散らしたことがある。きっと、僕はそれが幾許か伝わる可能性というものを、恋愛関係に見出そうとしていたのだろう。でも、それはあとから考えてみたところで、彼女が明らかに不機嫌な、呆れた顔をしたときをはっきりと見たときに、部屋が恰も縦長になったのかと錯覚させられたことは事実であったし、余りにも遠く、不気味な闇が顔を覗かせていたのも事実であった。

また、目の前で戦っている魔法少女はきっと手を繋いだり、一緒にご飯を食べることに至福の喜びと幸福を覚えるような類の、良く言えば出来た女の子なのに対して、自分は、と言えば、やはりそれこそ今着ている服をひっぺはがしてそのまま云々のことをしたいと思うくらいには悶々とした、思春期の男子であることは間違いなかった。

いや、それだけだったら、まだ珍しいことではないだろう。よくあることだ。あの子の唇がやたらと気になったり、胸元が気になったりする類のことは、それこそ思春期の男子にとってかわいい類のことであることは違いない。もっと問題がある。

僕は、良く絵を描いていた。子供の頃、空白を見たらボールペンを持ち出して、壁やら本の空白に絵を描いていた。そしてそれを母親に怒られたりしていた。しかし、確実に絵を描くということは、僕にとっては幸福な何かであった。紙に一つの線をつける。その線が全体と結びつき、段々と形になっていき、色々なものを巻き込んでいく。孤独であった最初の線は、いつの間にか全体と調和し始める。僕はその感覚がとても好きだった。何もなかったところから、形が生まれはじめていくことの嬉しさ。

その作業は常に孤独だった。一週間後に、自分の絵を見たときに、その光が失せてしまうことの焦り。または小学生の頃であるならば、「絵を描く」という行為自体がほめられたのに対して、段々とそれが内実という問題に関わってくる。僕が描く絵は、それこそ異端者気取りという、自分の捩れた感情もあるのかもしれないが、友達に見せたとしても、目の前には曖昧に感想を否定するような表情を浮かべている友人がいて、ただ悲しくなっていたが、その一方で彼女は、人辺りが良く、完成度の高い絵を描くことに定評があったし、人脈としても、何故か芸術家やイラストレーターの知り合いも多く、それらの話を聞くたびに、いくら「貴方の絵が好きだ」と言われたとしても、僕の世界というか存在そのものが収縮したような気持ちになり、僕はそれで二度か三度ほど、自分の絵をバラバラに切り裂いて、部屋で一人泣いていたことがあった。

恐らく、そのような絵の価値であったりするものは、人気とは関係が無いことである。それはわかっている。でも、だからといって、そのような評価と無関係である筈も無いことも、何処かわかっている。自分が好きなモノを自分で描くことの喜びは十分にわかっている。わかっているとしても、僕は、自分の表現するものに対する、惨めな感情を捨て去ることは出来なかった。そして、僕は評価を気にせず、自分が天才だと称し、自らの絵が偉大なる、これからやってくるであろう栄光の歴史に直結しているだろうという感情ももてなかった。結局のところ、他人の目を気にすることしかできやしないし、自分が本当に表現したいもの、というモノなんていうのは、それらを切り離してしまえば手のひらから流れるように零れ落ちてしまう砂漠の砂であることもわかっていた。

目の前で彼女の表情が苦痛で歪むとき、僕は甘美な感情を覚えている自分に気がついた。ときには、このまま彼女が敗北し、世界が崩壊してしまえばいいのに、と願ったことすらあった。それは、僕は彼女には近づけないという明らかな劣等感であり、この劣等感は大事に守っていたとしても知れているものであるというのは気がついていた。彼女には彼女の苦労があり、それに報われる必要があり、世界を守るということですら、それは話の流れの都合によるものであって、彼女が望んでいない可能性があり、そしてその役割を演じているだけであるということを思い浮かべることによって、自らの感情を根拠ないものとして処理しようとしていたが、抑圧や劣等感といった類のものはきっと腐った糠のように、見なかったことにして倉庫に放置しても、その悪臭が酷くなるような類のものであって、ではそれがどのようにしたら取り除けるのか、僕には全くわからなかった。

僕は圧倒的に我慢していた。僕と彼女は水と油のように、本当は分離しており、本当は出会ってもいけなかったし、一緒にいてご飯を食べたりを望むような関係を望んではいけなかったとすら思うときがある。だが、しかし僕は彼女を手放したら、もはや彼女みたいな女性は二度と僕の目の前にはやってこないだろうということすらわかっていた。六が常に三連続で出るなんてことを、人生に期待できるほど楽観的でもなかった。だから、僕は彼女をただただ認め、僕は目の前で僕を殺していた。

だが限界だった。

悪の女性は悲鳴を上げ、浮力を失い地面に叩きつけられる。それに伴い復元される世界。何時もの「平和」な世界がやってくる。テレビの向こう側には歓声が聞こえるようだった。彼女はゆっくりと僕の前に降り立ち、そして抱きつく。何もかもがハッピーエンドだった。それですべては収まるところに収まり、そして世界は、何時ものように動き出すことを約束されるだろう。

――僕があんなことをしなければ。

僕は満面の笑顔で「おめでとう」と言った。そして「君にプレゼントがある」といった。彼女は何かわからないけども期待するような顔をして、僕を見ていた。僕は鞄の中に隠した砕かれたコンクリートを、気がつかれないように手に持つと、一気に彼女に向けて振り下ろした。鈍い音がして、彼女は倒れこむ。目は見開き、こめかみの辺りからは血を滲ませている。僕は手にもった石をもう一度頭に振り上げ、近くにあるコンクリートのブロックを腹に叩き込んだ。少し痙攣したあとに動きが止まったのを確認した後、僕は笑いながら走り出した。

僕は何処を走っていたのかわからなかった。幸いにも、暫くの間、警察も誰も現れなかった。この感情に浸れる程度には、走ることが出来た。僕は確実に自由であった。僕は僕であったし、僕以上の、僕以下の何者でもないことの幸福に浸れていた。そして、その余りの幸福に馬鹿笑いをし続けた。だが、それも直ぐに終わった。僕は道路の段差で足を挫いてしまい、前に倒れこんで、膝のあたりに激痛が走る。そしてその激痛で我に返ったとき、ふと気がついたのは、瞳の近くで流れる一滴の涙だった。

EdenEden2014/01/26 17:44Just the type of ingsiht we need to fire up the debate.

MasterMaster2014/01/27 20:27I was <a href="http://gbfusd.com">sersiuoly</a> at DefCon 5 until I saw this post.

ParthenaParthena2014/02/05 03:09Super exeticd to see more of this kind of stuff online. http://rqhyjuae.com [url=http://forblr.com]forblr[/url] [link=http://pmhsfufretr.com]pmhsfufretr[/link]

MohamedMohamed2014/02/07 13:57Felt so hopeless looking for answers to my <a href="http://fxfnjhx.com">qu.ouisns..etntil</a> now.

ConchitaConchita2014/02/08 20:14As Charlie Sheen says, this article is "WNNGINI!" http://habhstfpyt.com [url=http://bdcjhjshil.com]bdcjhjshil[/url] [link=http://futtrt.com]futtrt[/link]

2008-12-19

メカアクタガワの逆襲 - あたし彼女はテクノである

あたしオートマトン - とある理系男子の書斎には、どうしても小説が少ない。っていうか無い。 - ファック文芸部

「あたし状態遷移図」、あるいは「あたし約5.2MB」 - とある理系男子の書斎には、どうしても小説が少ない。っていうか無い。 - ファック文芸部

  • このエントリを見るに、「あたし彼女」は同型のパターンが現れ、従ってエレクトロ/テクノと同じような形式を作ることが可能な筈である。

作ってみた

芥川龍之介だとどうなるか

2008-02-06

[]ゆううつさん

雪がしんしんと降る夜、バスはその中をゆっくりと、体をゆらしながら走っていきます。

がたごと、がたごと。

走っているバスの中にはしょぼくれた青年と、きむずかしそうなおじいさんしかおらず、さびしいふゆのよるをますますさみしいものにしていました。バスはやさしくゆれながら道をすすんでいきます。がたごと、がたごと。青年はうとうとしていたのか、はっと目を覚まし、まわりを見ると、ひとつあくびをして体を起こします。

がたごと、がとごと。

バスがプシューという音をたてて、止まります。青年はお金を取りだしてしはらうと、ゆっくりとバスからおります。さくさくという軽い音を立てて、青年は地面に立ちます。運転手は、それを見ると、とびらをしめてバスを動かしていきます。バスががたごと、がたごととゆれながら小さくなるのをみおくると、青年は歩き出しました。

ざくざく、ざくざく。

外は雪がふっていたこともあって、とてもさむく、息が白くなります。

ふうふう、ふうふう。

道には、ぼくの一組のあしあとが作られていきます。

ざくざく、ざくざく。

ふうふう、ふうふう。

しばらくすると、一件だけ、ゆらりゆらりと明りが見えます。

ざくざく、ざくざく。

ふうふう、ふうふう。

青年は家の前にたつと軽くドアをノックしました。コンコン。しずかな夜なので、軽くたたいても少しひびきます。すると髪をのばした女性がなにやらきげんが悪そうに現れました。

「なんだ えせはらか」

「ゆううつさん おひさしぶりです えせはらです げんきにしていましたか?」

女性はふきげんそうに家へとまねきいれるとそのまま部屋へと向かっていきました。青年はていねいに服や帽子についた雪をはらうと、ゆううつさんの部屋へと歩いていきました。そこは本の山がきたなくつみかさなっていました。青年はマグカップを二つ取ると、インスタントコーヒーの封を開け、スプーンに入れていきます。

「きみはいったい なにしにきたのだ ふらふらしている きみとはちがって わたしは たいへん いそがしいのだ」

「へえ ほんをよむことで いそがしいわけですか」

青年はほほえみながら、近くのストーブにかけてあったやかんから、マグカップにお湯をそそぎます。くるくるとこなが溶けていき、コーヒーができあがります。

「それに インスタントで すまそうとする きみのたいども きにくわないね」

「そこまで きにかけてくれて 光栄ですよ」

青年は二つのマグカップをもつと、一つをつくえの上に置いた。もう一つは、青年がゆっくりと口をつける。

「あちち……」

青年は、慌てて口を離し、マグカップに息をふきかけます。

「きみはいつも そうやっておちかないんだ もうすこしおちついたら どうなんだ」

青年はあたかも聞きなれたかのように、あいずちを打ち、かばんの中から小さな箱を取りだします。きれいで、ていねいに、かわいらしくかざられた箱。かたてにのるくらいの、こじんまりとした箱。

「そういえば 今日は プレゼントが あります」

青年はほほえみながら、その箱をわたします。ゆううつさんはいつもと同じようなきげんのわるそうな顔をしています。

「はあ プレゼントなんて つまらないものだよ」

ゆううつさんは頭をかかえてよこにゆらします。

「ん ゆううつさん すこしトイレを 借ります」

青年はそういって、その場からはなれます。

部屋にとりのこされた一つの箱と女性。しばらくの間、女性は本をねっしんによんでいましたが、箱がきになるのかよこめでちらちらと見ます。しおりをはさみ、少しコーヒーをのむと、箱のつつみをきれいにはがしていきます。黒い箱のなかから、雪の結晶をかたどったちいさなペンダントが出てきます。

「ああ くだらない こんなので よろこぶとおもっているのか」

そうにくまれ口を叩き、あかりにてらします。結晶のペンダントはひかりをきらきらとはねかえします。女性はそのままゆっくりと首へとつけます。

「やっぱり ゆううつさんがつけるのは きれいですね」

いつのまにか青年が後ろに立っていました。

ゆううつさんはびっくりしてふりかえります。

「こ こんなのはうれしくない ぜったいうれしくない」

外では雪がちらちらとふっています。


雪ははかなくとけてしまうものでも、その瞬間はきれいでかがやいているものです。この二人の人生もそのようでありますように。《了》

2008-01-29

[]かなしみさん

ぼくの知り合いにかなしみさんという人がいます。かなしみさん、というのはぼくと同年代の女の子なのですけれども、名前がかなしみのくせに、とても明るい女の子です。かなしみさんは落ち込んでいるぼくをみると、にやにやしながらぼくのところへ笑ってやってきます。そしてにやにや笑いながらぼくをバカにします。

「やあやあ えせはらくん 今日も元気かな?」

「元気では ございません 見れば わかるでしょう?」

かなしみさんのあいさつはこれです。げんきそうだと、かなしみさんは心底つまらなさそうに、「あっそ」という顔をしてどっかに行ってしまいます。かなしみさんがいちばん好きなのはぼくの落ち込んでいるすがたです。

「えせはらくん なんで おちこんでるんですか」

「今日は 女の子に ふられました ああ どうしてこれが おちこまないでいられると いうのですか」

かなしみさんはあいかわらずにやにやしています。かなしみさんにとって楽しいことは人の不幸をきくことでした。だからずうずうしくもきいてきます。きいてきて「うんうん、かわいそうだねえ」とすこしははげましてくれればいいものの、かなしみさんは性格がいじわるいので、人の欠点をあげつらって笑うのです。

「ああ きみは 人間の けっかん品だからねえ きみは のろまで ぐずで ひとのきもちをかんがえない だから あいそを つかされる」

「そこまで ひどくいわなくても いいじゃないですか」

かなしみさんは非常に弁の立つひとでしたから、僕なんかが少しいいかえしても、すぐにそれをいいまかしてしまいます。僕はそのやりとりがとてもとても悲しくて泣いてしまいます。そのようすがとてもとてもこっけいなのでしょう。かなしみさんはまたにやにやとわらっています。かなしみさんはずるいので、いいまかしはしますが、僕がどうすればいいのか、と聞いても何もおしえてくれないので、これはずるいなあといつも思っていました。

僕はいつもの通りいいまかされ、泣きべそかきながら二人で道を歩いていました。かなしみさんはにやにやをくずさないで鼻歌をふふふんとやっています。いい気なものです。

向こうから僕をふった女の子がやってきました。

僕はびくびくふるえていると、かなしみさんは目をまんまるくしてとてもたのしそうにはなしかけます。

「こらこら あいさつくらい してあげなさい」

それができないことをわかっていたのに、かなしみさんはひどいひとだと思いました。

しかし、思いがけず、向こうの女の子から話かけてきたのです。

「あの えせはらくん」

「なんですか これいじょう つらくあたるの やめてください」

「あのね ちがうの 昨日ね ことわっちゃったのは ちょっと びっくりしちゃって とっさに いっちゃったの ほんとうは すごく すごく うれしくて 家に帰って どうしよう えせはらくんに きらわれると おもったの だから ちゃんと いおうと 思って…… あの つきあってください」

かなしみさんは、すごい顔でぼくをにらんでいます。こわい、僕はとっさに何か言おうと思いました。

「ねね、かなしみさん、なにそんなふきげんなの」

「うるさいな」

かなしみさんはそっぽを向いてどこかにいってしまいました。

僕はなんでひとと話しているとすぐふきげんになるのかわかりません。




そういえば、かなしみさんに一度「なんで僕がほかのひとといると話しかけてくれないの?」とはなしたところ、「ほかのひとと一緒にいるとあなたはすぐわたしのことわすれるでしょ」といいました。でも、おおぜいでいるときは、やっぱりかなしみさんはぼくをにやにや見ているのでした。《了》

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ブログさんは私に言いました

「お前、最近面白がられてるからっていい気になんじゃねえぞ」