安寿土牢

2006-11-12

文学フリマに行ってきたよ、あるいは詩吟インザレイン 文学フリマに行ってきたよ、あるいは詩吟インザレイン - 安寿土牢 を含むブックマーク はてなブックマーク - 文学フリマに行ってきたよ、あるいは詩吟インザレイン - 安寿土牢


比較的行く街だとはいえ今の秋葉原一週あけると通りの配置からして違っている。この街が夜が早いのは変容の時間を要しているからで、昼日中でさえ人の視野のはずれではおぞおぞと無機物が姿かたちを変えていっている。嘘だと思うなら辻に立って焦点を定めず周りを一日観察してみればいい。

さておき、道にはよく迷う性質なのだが一発で目的地には着いた。文芸フリマと書かれた小さな看板を見落とさずに中に入ると、人込みで温度と湿度が幾分上がっている。事前情報とはえらく違う。目的のブースにたどり着く。ファック文芸部g:neo」と書かれたテーブルの向こうには、あれ、セーラー服女子が座っている。「誰のときが一番売れるかレース」のための売り子名札には「××-internet」の文字が。失礼ですが、イン殺さんですか?


「いいえ、『いんさつ』ではありません。『いんころ』と読みます」


あ、それは失礼しました。私objectOです。あれ?


「ああ、『ゼロ』じゃないんですね。それも想定内ですが『ゼロ』のほうがいいです。なにか?」


今気がつくのもどうかという話だが、テーブルの上に載っているのはファック文芸部誌「g:neo」ではない。いや装丁は確かに「g:neo」のそれなのだがサイズが想定外豆本である。豆本の「g:neo」がうずたかく積まれている。脇に「特価どれでも300円」の文字。あの、これは?


「部誌ですが、なにか?」


ああ、えーと……想定外過ぎて何をどう説明すればよいやら。これ作ったのなら完パケでも赤字なのも納得だと漠然と思ったりした。ああ、そうだ。なんでこんなサイズなんです?


「正確を期するとアラブの書物の成り立ちから説明しなければなりませんが、そこまで責任を負いたくないので端的に言うと、これは真の『携帯文学』です」


ああ、なるほど。というかケイタイ文学ってのは携帯電話で読んでるからそういう呼び方をされるのではないですか?


「それは端末を携帯しているだけで真に文学携帯しているわけではありませんね。だからこちらが真の携帯文学です。あ、学問としての責任を取りたくないので携帯文『芸』です」そう早口で言うと「いんころ」ちゃんはチロリと舌を出す。


そ、そうでしたか。とそこでスタッフの人が他のブースの方に迷惑だからと注意に来る。気がつくと私たちの話を聞く人々が。あ、じゃあ飲み会まで時間をつぶしてきますので割り当ての一冊くださいといって貰って出てきた。


が、考えるとセーラー服女子が飲み会に参加するのかと疑問に思って振り返るとそこに歩いてきた通りは既にない。だから最近秋葉原は嫌いだ。思うにあそこは中小企業振興公社の建物ではなく大企業親睦会のビルではなかったか。ぐるぐる迷うと本来の世界というか建物に到着し、こんどは文学フリマと書かれた看板のある会場で、ようやく想定内のサイズの「g:neo」をゲットできた。そこで私が体験したことを語るとなぜか皆「そんなこともあるよねイン殺さんだし」という顔をした。みんな「いんころ」ちゃんにそんなに頻繁に会ってたのかズルイ。


まあそんな感じでその後撤収を手伝い飲み会に参加する。

  • 飲み屋のアニメ声店員に声優学校通ってるのと聞くのは非常に秋葉原的問いかけであるような気がするが本人はもう一万回聞かれてますからと答えたかったのかも知れずそれでも普通高校ですと答えるあたり客あしらいに慣れているのかうぶなのかおそらく前者であろうそのほうが気が楽だしうちの近所のブックオフの店員のほうがもっとアニメ声でいらっしゃいませ
    • アニメ声で性淘汰が起こるにはまだちょっと
  • 年齢で盛り上がるのはいいが私の性別が違ったらみんなそんなに盛り上がったかよおいと問いかけるべきだったのかとずいぶん後で思った私は脳の瞬発力がなくなる程度には
  • 田中芳樹で叩かれたものが夕暮れあかほりさとるを叩くその音が響き渡ればサークルは減速してゆく
  • 推敲のない熱情は理解不可能だがなんだか熱いのでよい
    • のだがこっちの解釈が間違ってる場合はそのように言うこと
  • 「神林は社会構成主義的と親和性が高い」ネタは対id:screammachineさんだったのでしゃべれてよかったからもう書かない対オーシマさんでもあったんだけど聞いてくれるなら書くけどなぜあなたはここにいないと嘆く部員内オーシマファン多したとえ貴方女子高生でなくても
  • ファ文杯の犯行告白を読んだあとでの感想を皆に聞きたいと思ったがキリがなくなりそうな気はする
  • プロフィール」に対する反感を「モラル」でなく「広義であえて言えばモラル」としたのはプライベートな感情を「モラル」ごときに回収されたくはなかったのであるしそれと似たような理由で「プロフィール」が大嫌いなので後で絶対にDISる。
  • 異次元騎士カズマぐぐるがよい
  • 変な容姿の私と、ひとつ違いの人といって自分の夫の写メを見せる女性の二十歳の恋の短歌を当人の前で音読するという西川魯介が考えそうな快楽的苦行を実践するという貴重な経験が出来たが歌のパンチ力が強烈すぎて記憶から抹消されてしまった「詩のボクシング」でも意識がなくても詩を読むというのは本当だと思うならはてなさんあの恋愛短歌の本ください!肉短歌もいっしょに!
  • ファック文芸部員は肉短歌書くこと。肉短歌想像できる肉短歌書け。すげー読みたい。
  • 短歌買いを単価買いと勘違いしてて「?」が無数に飛んだが恋愛短歌パンチ力短歌買いはありと判決
  • id:dimeteaさんに嫌いと言えて本当によかった好き嫌いは別にたいしたことではないあなたの書くものは好きだけど考え方は権威主義過ぎて大嫌いと握手した手は見た目よりも細かったさすが文学

さて体調不良で先に失礼して駅に向かうところでまた道に迷った。唐突に後ろから声をかけられる。


「『ゼロ』じゃないほうのobjectさん!」


えーと、そちらの世界のオブジェクトは妖艶な美人だったりしてくれませんか。


美人でしたよ。といってもどうせ同性の言うことは信用しないんでしょう?それよりもメイド喫茶行きたいのでついてきてください」


ついてこいというなら行きますが流石に一人で入るのは辛かったですか。と問いかける私の言葉を無視して「いんころ」ちゃんは一人で先を行きつつ。


「私も『ご主人様』というメイドの呼びかけには疑問を感じていたのです。メイドとの関係は雇用関係に過ぎず、そうであれば『旦那様』程度の訳語が適切でしょう。何処で『ご主人様』と性的なものも含有する従属関係が紛れ込んだのでしょう。そこまで考えたとき、性欲と区別した萌えに拘るある古いオタクを知りました。彼はメイドを所有するというオタク的満足感と性欲を明確に切り離すことに成功した稀有なメイド喫茶経営しているのです。ネットは広大です。そしてそれは此処です」


階段を上った先にはとてもオタク生活臭あふれる畳敷きの店内というありえない光景の只中。


目を引く紅い首輪からじゃらりと鎖を垂らしヴィクトリア様式のメイド服に身を包んだパーフェクトメイド


市原悦子がそこにいた。


「お帰りなさいませご主人様」

objectOobjectO2006/11/13 00:37本来の「g:neo」はフリマが終わるずいぶん前に完パケ。ネット恐るべし。でも赤字。そういう前提の本なのです。皆さんご苦労様でした。