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2007-02-15
■ 惨状

申し訳ない、そんな気持ちばかりを胸に抱え込んで真っ直ぐに歩いていく。歩いている。真っ直ぐに歩いていけば。いくとき。いけない。真っ直ぐに歩けない。もう僕は、真っ直ぐ歩くことさえできなくなってしまった。検察官に付き添われて、正面横丁の狭い路地を歩いていくと、金魚を売る女、電柱を破壊する男、その他小学生の群れ、それら全てを薙ぎ倒すブルドーザー、その惨状をステップ一つで軽々と飛び越した僕と検察官は、500メートル先の隣町でもまた別の惨状を見るのであった。
惨状。それは永久に立体化する羊たちの群れ。申し訳程度にこの地域に配布された補助金で住民たちが買ったのはチョムスキーのそっくりさんだった。跳躍するチョムスキーのそっくりさん。息もつかせぬ住民たちの棍棒捌きを軽々とかわすチョムスキーのそっくりさん。彼を捕まえることは誰にもできなかったが、3週間後、バス停の前で茣蓙を広げて壊れたミシンを売っている乞食が彼に似ているという噂が市会議員の耳に入った瞬間、半径1キロメートルを赤く染めたあの恐ろしい市バス運転手発狂360台追突事故が起こったのは記憶に新しい。
惨状はいつでも美しい。赤と青とのモノクローム。金と銀との独楽遊び。一人で泣いている大仏はいつも美しい。荒れ果て果てた惨状の跡地の深く吸い込まれそうな青を見ていると、検察官の人差し指が僕の右の肩甲骨に静かに触れ、うかつにも僕は射精してしまう。照れ笑いをする僕に、検察官はとても優しい目をしてこう言った。「お前の母ちゃんビッチ」。なんて優しい男なのだろう。
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