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虚構の辺、現実の庵

2009-10-26

創作神話(仮)

| 17:30 | 創作神話(仮) - 虚構の辺、現実の庵 を含むブックマーク はてなブックマーク - 創作神話(仮) - 虚構の辺、現実の庵

 はじめ、そこには何もなかった。

 ただ、無だけがあった。

 無はしかし完全なる無ではなかった。

 万物の声であった。

 あらゆる何ものかに変わることのできる可能性のつぶてであった。

 大きな神はここで生まれた。

 たゆたう混沌の海は神の揺籃であった。

 大きな神はひとりきりでは広すぎると考え、自身を砕き、混沌の海へ降り注いだ。

 小さき神々の誕生である。

 小さき神の一人は光となった。こうして朝ができた。

 小さき神の一人は土となった。こうして大地ができた。

 小さき神の一人は水となった。こうして海ができた。

 小さき神の一人は空気となった。こうして空ができた。

 小さき神のあまたは同じことを繰り返し世界に秩序をもたらした。

 風が生まれ、四季が生まれ、樹木が生まれ、生命が生まれた。

 竜の闊歩する時代、古き民は生まれた。

 古き民は叡智によって世界の成り立ちを悟り、世界に感謝の言葉を述べた。

 万物の声がこれに応えた。

 世界は震え、大きな神の残滓が集まり、再び十六の小さき神が生まれた。

 十六の神々は争いを始めた。

 神王期の幕開けである。

 

 一なる神、ユーレカは

 二なる神、ブリスコーと

 新たなる民の形を巡り激しい争いを始めた。

 三なる神から十三なる神は新たなる民のため新たなる秩序となった。

 十四なる神、サノーンは争いを憂いで嘆きとなった。

 十五なる神、スコルティは醜い争いから目を背け深い眠りについた。

 十六なる神、カオスは調停の時を待った。

2009-09-13

ドワーフ民謡『ざんばら髪』

| 17:29 | ドワーフ民謡『ざんばら髪』 - 虚構の辺、現実の庵 を含むブックマーク はてなブックマーク - ドワーフ民謡『ざんばら髪』 - 虚構の辺、現実の庵

  『ざんばら髪』

 

 ザンバララ ザンバララ ザンザンバララ ザンバララ

 ざんばらカットはどうですかーっと

 手製のナイフでザックザク ザンザンバララ ザンバララ

 

 貴方のおひげは何色?

 赤茶毛 レンガ 魅力的 ザンザンバララ ザンバララ

 黄土で オリーブ 鍛冶屋さん ザンザンバララザンバララ

 私のナイフはいいナイフ おひげを剃って上げましょう

 ザンザンバララ ザンバララ バラザンバラザン バラザンザン

 私のナイフは世界一 ざんばらカットはどうですかーっと

 

 ザンバララ ザンバララ ザンザンバララ ザンバララ

 マブヴォ*1を塗りましょぐーりぐり

 早くもナイフの出番です ザンザンバララザンバララ

 ざんばらカットはどうですかーっと

 バラバラちりぢり気になる貴方 もすこし端っこ整えよ

 ザンザンバララ ザンバララ バラザンバラザン バラザンザン

 

 貴方のおひげは何模様?*2

 見栄えのよろしー気障屋さん 外見ばっかり気にしてる

 男は中身 女は度胸 ザンバララ

 ドワーフ 斧斧 ザンバララ

 私のナイフはいいナイフ おひげはテキトー ザンバララ

 豪快一番ザックザク ざんばらカットが良い感じ

 ザンバララ ザンバララ ザンザンバララ ザンバララ

 手製のナイフでザックザク ザンザンバララ ザンバララ

 私のナイフはいいナイフ おひげを剃って上げましょう

 ザンザンバララ ザンバララ バラザンバラザン バラザンザン

 私のナイフは世界一 ざんばらカットはどうですかーっと

 

*1:シェーピングクリームのようなもの。マブボ・カラーゼという薬草のけんだく液と乳白色の鉱物を1:4の比で混合したもの。

*2:「何模様」は「どのような様子ですか?」を意味する。模様を問うているのではなく、様子を問うている。

2009-07-05

ガアガアさんとコケコッコーとカルガモとチョコレートの話

| 18:20 | ガアガアさんとコケコッコーとカルガモとチョコレートの話 - 虚構の辺、現実の庵 を含むブックマーク はてなブックマーク - ガアガアさんとコケコッコーとカルガモとチョコレートの話 - 虚構の辺、現実の庵

「では、レティシャちゃん、全部で何羽の鳥がいますか?」

 と、ミサは問いかけた。

 質問を受けたレティシャは、元気に答えた。

「ガアガアさんが2匹と、コケッコッコーが3匹と、カルガモが1匹!」

 どうだ、この見事な回答はといわんばかりである。

「レティシャちゃん、鳥を数えるときは、何羽って言い方をするの。1羽、2羽、3羽、っていうふうにね」

「うん! 知ってる! 裏庭には二羽、庭には二羽ニワトリにいますっていうもん!」

 ミサは頷いてから、「間違ってないわ。でも、全部で何羽かな、って訊いたのよ」

「アヒルさんが2羽、ニワトリが3羽、カルガモが1羽!」

 この上なく大きな声を発して、レティシャは、さあどうだと胸を張る。

 ミサはやれやれと思った。

「じゃあ、一緒に数えましょうか」ミサは黒板に貼り付けたイラストを指で示した。レティシャは心得たとばかり、「ひとーつ!」と、数え始めた。ミサが次々へと指を移していくと、レティシャは二つ三つと数字を唱えていく。そして最後に、「六つ!」

「そうね」と、ミサは頷いた。「全部で6羽いるわ!」

 レティシャも頷いた。「そうよ、全部で6羽いるのよ」

「じゃあ、ニワトリは何羽?」

「3羽!」

「全部で何羽の鳥がいる?」

「アヒルさんが――」

「アヒルさんもニワトリさんも、カルガモさんも、全部あわせて何羽いる? 鳥は、何羽、いるかしら?」

 レティシャは目をぱちくりとさせて、ああ、なるほど、分かった! と、目を輝かせると、

「ニワトリが3羽、アヒルが2羽、カルガモが1羽!」

 数が多い順に並べ直すことが、分類学上とても優秀なことなのだと発見した――とでも勘違いしていそうだ。一点の曇りもない眼差しに、ミサは疲れを感じた。教師生活六年目、もう新米ではないけれど、子供のエネルギーに圧されてしまうことがある。

「ニワトリは鳥? それとも馬?」

「鳥!」

「アヒルとカルガモは?」

「おももだち! じゃなかった。お友達!」

「アヒルとカルガモは、鳥かしら、それとも――」

「鳥よ、羽があるし、クチバチがあるもん」

「それじゃあ、鳥は全部で何羽いるの?」ミサの気持ちは、正答を期待して力んでいる状態だった。本来なら、回答する生徒が持つべき感情だ。

 レティシャはしかし、そんな緊張とは無関係な、可愛い目をして、「6羽よ。レティシャ知ってるもん」

 ミサはホッとした。これ以上、同じことを繰り返す気にはなれない。

「はい、正解!」晴れた日に洗濯物を干すのは気持ちがいい。今はそのときの爽快な気分に似ている。「着席していいわよ」

 レティシャは、えへんとばかり、席に着いた。

 ミサは、黒板に貼り付けたアヒルとニワトリを1羽減らし、カルガモをひとつ加えた。裏に磁石を貼り付けてあるこのイラストは、ミサが新米教師を務めた頃に自作したものだった。美術に興味があっただけに動物のイラストを描くぐらいのことは造作もない。

 レティシャの隣の席の、リチャードを当てた。リチャードは内気な返事をして、椅子から立ち上がった。

 ミサは、アヒルは何羽かと尋ねた。リチャードはもじもじとしていたが、1羽だと答えた。同じようにニワトリの数を聞くと、2羽だと答えた。

 さて、それでは、カルガモの数は? そう訪ねようとしたところ、先にレティシャが手を挙げて、

カルガモはね、2羽よ、2羽!」

「そうね、でも、今はリチャードが答える番だから、レティシャちゃんはお口にチャックしていてね」

 ミサはカルガモを二つ増やした。そして今一度、リチャードに、「カルガモは何羽いるかしら?」

 リチャードは身体を揺すりながら、小さな声で、「4羽」と答えた。

「それじゃあ、全部で何羽の鳥がいますか?」

 リチャードは、目で鳥を数えようとしたが、上手く行かずに手こずっていた。コソコソと指を使って数え、そして、「8羽」と、答えた。

「8羽かな? もう一度数えてみよう。今度は、声を出して」

 ミサがアヒルを指さした。次はニワトリ、ニワトリ、そしてカルガモと続く。

「いち、にい……」と、リチャードはびくびくしながら数える。「さん、しい、ごお、なな、はち」

 ミサが間違いを指摘しようとすると、先にレティシャが笑い声を立てて、

「5の次は6なのよ。7はね、6の次なのよ。だからね、ごお、ろく、なな、はち、きゅう、じゅうなのよ。リチャード間違えてる!」

 それを言われたリチャードは、泣き出しそうな呼吸になって、うつむいた。レティシャは気付いていないらしく、「ごお、なな、はちなんておかしいの! そんなことしたら6が可哀想よ。6がないとね、10は10じゃなくなっちゃうのよ。だってレティシャは――」

 大きな声で、よく通る声で、とても素速くよく喋る。ミサが止めに入ったが、レティシャは勢いがついていて止まらない。「レティシャのチョコレートが10個あってね、6番目のチョコレートがなかったら、チョコレートは全部で10ひく1なのよ。9個しかないのよ。10個じゃないんだもん。レティシャのチョコレートなくなっちゃった。リチャードが6をいわなかったからよ」

 全部で何羽の問が答えられなかった割には、何とも明晰な概念を持ち合わせていることだろうか。ミサはレティシャの頭脳が基本的に聡明なものなのだと確信した。しかし、それを引き出すためには、まずは協調性と共通性が必要だ。それから数の抽象化の概念。それを教えるのが彼女の仕事だ。

 ミサが勢いづいたレティシャの発言を止められなかったので、リチャードはついに泣き出してしまった。チョコレートが一つなくなったというよく分からぬ責めを受けた気でいるようだ。

 ミサはリチャードの内向性やすぐに泣き出してしまう性分を責めるつもりはなかったが、授業のときくらいは泣かずにいられないものかと思った。

 ここでもレティシャはお喋りなもので、「もう! リチャードは泣いてばっかりなのね! 泣いちゃ駄目なのよ。先生が困るから、授業中は泣いちゃ駄目って、ママがいっていたもの! ほら、リチャードは泣きやむのよ。あとでレティシャのチョコレート一つあげるから。6番目のやつをあげるわ。そしたらぴったりだもの。ほら、泣いちゃ駄目なのよ。レティシャも一緒に数えて上げる」

 世話焼きで仕切りたがりのレティシャは、自分で泣かせておいて、自分で慰め、自分で教える。

 リチャードがやっと全部で七羽いるのだと答えた。

 ちょうどそこで鐘がなったのでミサは授業をお終いにした。

RainRain2012/10/16 10:01I think you hit a bluslyee there fellas!

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2009-05-04

「韻を踏むといいんだぜ」「だぜ」

| 07:45 | 「韻を踏むといいんだぜ」「だぜ」 - 虚構の辺、現実の庵 を含むブックマーク はてなブックマーク - 「韻を踏むといいんだぜ」「だぜ」 - 虚構の辺、現実の庵

 今日もやっぱり兄妹はおしゃべりをしています。

「この前、馬小屋の増築に大工さんが来たろ」

「うん、大工さんトンカチはらまきにさしてたよ」

地震がきても倒れない頑丈なやつにして欲しいって母さん、いったろう、覚えてるか?」

「覚えてる、覚えてる」

「じゃあ、大工さんがなんていったかいってみろよ」

「うんと丈夫にするっていったよ」

「嘘つけ! いうもんか、そんなこと! 自信がありませんって、大工さん、そういったんだぜ」

「そう、そうだった、レティシャもそう思うの」

「ちぇっ! まあ、いいや、覚えてたってことにしてやるさ。でもお前、それが洒落になってるって分かってないだろう」

 妹は目をぱちくりとさせます。長いまつげが目に入ったみたいに何度もです。

「ダジャレって知らないだろうな。ふとんがふっとんだ、っていうのがダジャレなんだ」

「知ってる! レティシャ知ってる! パパがいってたから知ってるの、ふとんが、ふっ、とん、だあ、ていうの。レティシャ、ダジャレって知ってるかもしれない」

「じゃあいってみろよ」

「アリさんがチョコをちょこっとたべました」

「へえ! 知ってるじゃんか」

「そうよ、だからいったでしょ、レティシャ知ってたのよ、全部知ってたの、本当よ。他のだって知ってるの。はなくそのひみつをそっとはなくそう」

「なんだい、それ、変なの」

「はなくそのひみつを、そっとはなくそう」

 妹は辺りに仇敵でも潜んでいるかのように真剣な眼差しを振りまきながら繰り返します。

「ダジャレのジャレは本当は洒落っていうんだって母さんがいってたんだ。洒落っていうのはな、オシャレのことなんだぜ。オシャレって、服を着たりして飾ることばっかりじゃないんだぜ、知性と教養でも飾れるんだ。ユーモアともいうんだ」

「知ってる、レティシャ知ってる、ユーモアって、面白いこと!」

「そうさ」

あひるさんが池でおぼれています。ぶっくぶっく」

あひるなんか溺れたってしょうがないだろ、バカだなあ! 本がブックブックって溺れるんだ」

「でもレティシャはあひるさんが溺れる方が面白いと思うの」

「ははあ、本当はダジャレのことなんにもわかっちゃいないんだな、お前。じゃあ教えてやるよ。でも普通のダジャレなんかじゃないぜ、それよりもっと凄いやつさ。本当のユーモアっていうのは韻を踏むのがインだぜ」

「インを踏むのがいいの? でもレティシャ、もしかしたらインてなにかしらないかもしれない」

「もしかしなくたって知ってるもんか! 韻を踏むってのはな、同じ音をそろえるってことなんだ。例えば、空を飛ぶコンドル。どうだ、洒落てるだろ」

「はい! はい! レティシャもいう!」

「いってみればいいだろ」

「空を飛ぶチンパンジー!」

「ちぇっ! てんで駄目じゃないか。同じ音だっていってるだろ」

「空を飛ぶアブドルー!」

「へえ、今度は韻を踏んでるじゃないか。でもアブドルーってなんだ?」

「こうしておててでペケポンをつくってね、火を出せるの」

「そんな変なの、知るもんか!」

「レティシャ、まだいえるよ。パンダピンポンをしていました、アブドルー」

「最後にアブドルっていえばいいってもんじゃないんだぜ!」

カレーのルー、アブドルー。あっ! お兄ちゃん笑った! カレーのルー、アブドルー、アブドルー! ほら笑った!」

「笑うさ、こいつ、わけがわからないや、てんで意味がわかりゃしないや! でも伸ばすのはいいかもしれないな、うん、凄くいいぞ、伸ばして強調するんだな、そしたらくすってくるからな」

「くすってきたら、こんどはむふふってくるよ」

「ふうん、いいこというじゃんか、むふふってくるかもしれないな。空を飛ぶーコンドルー。むふふ!」

「空を飛ぶーアブドルー!」

「急降下するーコンドルー!」

「急降下するーアブドルー! あっ、お兄ちゃん、レティシャ、すっごくいいこと思いついた」

 妹は口を押さえながら、盗み聞きを恐れてか辺りを見回し、小声のつもりで元気にいいます。「最後に『る』をつけると面白いよ」

「知ってらあ! それが韻を踏むってことだからな」

サボテンにぶつかるーアブドルー」

「なんだい、やっぱりお前のはわけがわからないや。なんだかアブドルが可哀想になってきた」

「そうかもしれない。アブドルーばっかり踏んづけちゃった、レティシャはアブドルーにごめんなさいっていわないといけないわ」

「そうだな、アブドルーを踏んづけるのにも飽きたな」

「アブドル、怒ってるかも」

「今度踏んづけるときは気を付けてやれよ、そうしないとアブドルーがやってくるー」

 兄は自分でいったことが面白くて口元を抑えてこっそり笑います。妹はそれに気付いていて、なんとなく面白く思って繰り返します。アブドルーがやってくるー、やってくるアブドルー。

 二人は庭先へ出てきた黒豚を見付けるといっさんに駆けていきます。

「アブドルーがやってくるー!」

「たすけるーボスタフー」

「ボスタフーがアブドルー!」

 黒豚はいつものようにその場で二人を待ちながら、やれやれだぜと呟かんばかりに首を横に振っていました。

2009-03-29

「ときどき分類のへたっぴな大人がいてびっくりするよなあ」「する、する、あたしもすると思うの」

| 12:44 | 「ときどき分類のへたっぴな大人がいてびっくりするよなあ」「する、する、あたしもすると思うの」 - 虚構の辺、現実の庵 を含むブックマーク はてなブックマーク - 「ときどき分類のへたっぴな大人がいてびっくりするよなあ」「する、する、あたしもすると思うの」 - 虚構の辺、現実の庵

 こまっしゃくれた兄妹がお喋りをしていました。

「おまえ、クジラって知ってるか?」

「知ってるよ、知ってる、レティシャ知ってるもん」

「じゃあなんだかいってみろよ」

「こんな、こおんな大きいおさかなさんでしょう。ボスタフの百万倍おっきいの」

「嘘ついてら、百万倍なんかあるわけないだろ」

 そこへ通りすがりの大人の男の人がやってきて、微笑ましい子供の会話にやはり微笑みを浮かべながら、誘われるように話しかけました。

クジラは魚じゃないんだよ、ほ乳類なんだ。君たちのペットの黒豚くんと同じなんだよ」

 妹は宇宙にも似た黒くて深い目をぱちくりさせながら首をかしげました。「ボスタフと同じ?」

 ところが兄の方は大人の男の人を小馬鹿にして笑います。

「これだから大人はさ、駄目なんだ、頭でっかちで本質が見えてないんだぜ。なあ、レティシャ、お前いってやれよ、お魚さんってなんだ?」

「うんとね、海を泳いでいるの。泳いでいるのは川でもいいのよ。ひれがついていてさわさわって泳ぐの。こんなね、こんな、えっとね、鯛焼きみたいな形してるの」

「だろう? だのにこのおじさん、おかしいんだ、クジラはボスタフと同じですだってさ、笑っちゃうね! どこのどなたがクジラを魚類といいましたかってんだ。僕らはクジラが《おさかなさん》っていったんだ。それともボスタフにはひれがついてるってんだろうかね、大人の目はよく分からないや。ボスタフは長いこと水の中に潜っていられるんだろうかね、大人の考えることはよく分からないや」

「レティシャもわかんないよ、パパはね、ママのこと一番愛してるっていうのにレティシャのことも一番愛してるっていうのよ、一番って一番のことなのにね、変でしょう」

「それは変じゃないんだぜ、一番ってのはたくさんあっていいんだ」

「本当? でもかけっこは一等賞は一人だけしかいないのよ」

「いいったらいいんだ。言葉の幅ってんだ」

「知ってる、レティシャ知ってるもん、言葉の幅でしょう、こんなね、おもちみたいに伸びたりするの」

「伸びたりなんかするもんか! 知ったかぶり! でもレティシャだって大人の知ったかぶりには舌を巻くぜ」

「べろべろをまくの? メカレオンみたい?」

「馬鹿、カメレオンだろ。まあ、いいんだ、そんなこと。些細なことさ。その些細なことが分からないのが大人なんだ。たとえば、ほら、前にベジタリアンって覚えただろう」

「お野菜しか食べないひとのこと! 知ってる、知ってる!」

「俺だって、お前が知ってることくらい知ってるさ」

「ベジタラヤンはね、お肉は生きているから食べちゃいけないっていうの」

「そうさ。でな、ベジタリアンを批判する人はこういうんだぜ、お野菜だって生きてるだろうって。馬鹿だよなあ! クジラをほ乳類っていう大人みたいに馬鹿だぜ、だってそうだろう、それは正しいけど、それがどうしたのってもんじゃないか。お野菜は生物さ、そりゃ知ってらあ。レティシャも知ってるだろう? でもさ、それじゃ植物には肺があるのかよ、目があるのかよ、それから、お肉みたいな味がするのかよ、なあ? そこに生えてるタンポポとうちのボスタフ、てんで別ものじゃないか、そんなこと子供だって分かるぜ、なあ? 植物が生物の一種だからってどうだってんだい、ベジタリアンがいってるのは《どうぶつ》のことだぜ、そんなの当たり前じゃないか」

「ボスタフのほうがきっと美味しいよ! ポポンタはね、苦いの、すっごく苦いのよ、知ってる、レティシャ知ってるもん!」

「だろう? レティシャに分かることが大人には分からないんだぜ、まいっちゃうよ!」

「まいっちゃうね」

「俺たちも注意しなくちゃいけないぜ、そんな大人にならないために気を付けないと」

「きよつけ! まえにならえ!」

「そうそう」

「でもどうやってきよつけるの?」

「そんなこと知るもんかい。それより今日こそはマッシュのやつをこらしめてやろうぜ!」

「いや! レティシャ怖いもん、マッシュね、レティシャ見るとガウガウいうのよ、ウーッて唸るの、だからいかない!」

「平気さ、ボスタフをつれてくんだから。川に突き落とすんだ。噛み付かれちゃたまんないから、僕らに吠え立てたらどうなるか教えてやるんだ」

「ボスタフがいっしょだったらレティシャも行く!」

「よし、じゃあ決まりだ」

 大人の男の人はボスタフには予定があることを教えてやった。「君たちのお母さんが買い物につれていくといっていたよ。荷物持ちにするんじゃないかな」

 兄妹は歓喜の叫びとも悲鳴とも分類しがたい声を発しながら自宅へ引き返していった。

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