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ファッキンガム殺人事件 RSSフィード

2007-04-08

メタさえあればベタとネタなど不要

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「基本的に、あらゆるメタネタである。ガチメタというのは成立しにくい。
そして、今やメタネタは地に満ちあふれ、限りなくベタに近づいている。まずメタを狙う行為は既に凡策なのだ。
であれば、メタさえ入れればベタネタカバーできるのではないだろうか。」

カジュアル捏造関連

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「友人に指摘されて気づいたんですが、かの魔人荒山徹先生の連載で話題の『KENZAN!』 Vol.2 の後書きが面白かったので引用。」

「KENZAN!」創刊号を刊行後、様々な反響をいただきました。苦言も含め、たいへん嬉しく思いました。ありがとうございます。

(中略)

編集長 福田美知子

『KENZAN!』 Vol.2 P552

「創刊直後の、失礼ながらそれほど部数も多いとは思えない時代小説専門誌に対して"苦言"。『KENZAN!』誌上で何が起こっているかを知る我々は、戦慄しつつも獣が牙をむくが如き笑いを禁じえないのであります。」

KENZAN! vol.2

KENZAN! vol.2

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2007-01-21

ぼくらの二万五千五百六十七日間戦争

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虚ろな音楽の中、顔のない二人がぼそぼそと話し出す。

「どうも」
「どうも」
本日はアレで」
「そうですね。琥珀色の戯言 - 「匿名で書き続けること」の難しさ (d:id:fujipon:20070112#p1)について」
脳内会議はいいんですけど、ペルソナが同じだと議論が深まらない気がするんですが」
「いいんじゃないですか。議論というか感想というか、たぶん無駄に長くなりますから」
「そうですね。誰かと話したければファック文芸部裁判にでもかけりゃいいし」
「あるんですかそんなの」
「もちろんないです」


金は才能を引き出すか問題

「基本から確認しますけど、何が気に入らないんですか」
「気に入らないわけじゃないんですよね。基本スタンスid:fujipon さんと一緒だし」
ネット匿名でぼちぼち書くのが楽しいっていうね」
「ただ、敢えて言うならこの辺に違和感があってね」

彼らが進んで行く道筋としては、

(1)そのまま死ぬまでネット上でHNで書き続ける(アフィリエイトなどでの収入なし)。
(2)そのまま死ぬまでネット上でHNで書き続ける(アフィリエイトなどでの収入あり)。
(3)どこかで実名(あるいは作家としてのペンネーム)をさらして、ネット外へと飛び出していく。
(4)書くことそのものをやめる。

 この3通りしかありません。そして、(1)の選択肢は、いちばん普通のようでいて、いちばん選ばれにくいものではあるのです。だって、「匿名」でいるかぎり、書いても書いても「どうだこんなにアクセスがたくさんあるんだぞ」とか「こんなに反応が来るところはウチくらいだろ」なんていうような限られた自己満足の世界から出ることはできないのだから。

琥珀色の戯言 - 「匿名で書き続けること」の難しさ

「はい。『ネット外へ飛び出す』とか『自己満足』のくだりね」
「そうそう。特に自己満足。それを言っちゃうと実収入だとか出版業界での評価にしても、結局は自己満足でしかないから」
「その収入で生きてるような人は文字通り死活問題ですけどね」
「でも id:fujipon さんのスタンスは「社会人で食うに困らない」ってことを前提にしてるでしょう。ならなおさら収入は形を変えた自己満足以上じゃないのかなと。もちろん金額がそれ相応に大きければ別ですけど」
小説がヒットして印税収入がドカンのモデルですね」
「率直に言っちゃうと、そんな収入来ないでしょ」
「多分、とかしか言えないですね。アフィリエイトもやってないし、投げ銭もそんなに受け取ったことがないし」
「イン殺として文章で得た収入ってどのくらいでしたっけ」
原稿料とかはもらったことないし、はてなポイントは 1000 行かないくらいかな。あと献本とかソフトをもらったのを合わせても 10,000 円行かないでしょう」
「だからアクセス数とか反応の数に自尊心の根拠を持つのは確かにそうなんだけど、それと創作意欲は違うかなと」
「必ずしも一致しない、くらいの言い方がいいんじゃないですか。やっぱり桁が上がると『こりゃ助かる、もっと書いてやろう』って思うのかもしれないし」
「その場合のモデルなんですけど、ネット匿名である程度書いた上で、収入を得るための賞は賞でガツンと応募するってパターンもありですよね」
ネットで文章修行モデルですね。ありなんだけど、そのメリットってどうなんでしょう」
「めんどくさそうなのでまた別の物語?」
「そうですね。先に収入なしでも匿名創作モチベーションは保てるって話からしましょう」

ネット創作で儲ける方法は人類最大の敵問題

「何を創作の動機とするかって人それぞれではあるんですが」
「自分の話からする?」
「まあ枕はそのへんですかね」
「じゃ自分語り。一番大きいのは、読者の脳に考えたこともないことをインストールしたいって欲望かな」
「世界がもっと混沌として面白くなりますからね。前に「電人かお前は」ってツッコまれましたね」
「あと[俺は頭がいい]とか[俺はセンスがいい]を示したいってのもあるよね」
「それは仕方ないでしょ。自己顕示欲を満たして、なにが悪い!!!って奴で」
blogger として生まれ創作者として生まれたからには、誰だって一度はネット最強を志すッってなものでね」
アルファブロガーを夢見たことが一度もない者など以下略って話で」
ネタは心の棚に上げておくとして、自分の思考ウイルス的に拡散させたいって前提に立つと、ネット外って発想は根本的にコストに見合わないんですよね」
「そう。もちろんマスに展開するにはマスメディアにやってもらうのが一番いいんだけど、そのために努力して賞に応募したりするかっていうとね。ネット不特定多数にバラまくのが拡散速度も影響範囲も最強なんですよ」
「そこに金が絡む余地はない?」
「なくはないけど、遠いですよね。一年間遊べる金があったら柳生関係の歴史書買い込んで家に引きこもって伝奇小説を書き始めるかもしれないかな程度」
「承認欲求がメインで、なおかつ金と承認が可換な人はネット外というか、本屋で売られる小説向きなんですかね」
普通は両方欲しがるし、バランスが崩れたらもう片方で補完しませんか。『俺は叩かれてるけどそれでも売れてる』っていうあかほりさとるタイプと『俺は売れてないけどそれでも読んでくれる人はいる』っていう零細作家タイプというか」
他人事のように言うと反感買いますよ」
「そうですね。もちろんくれると言うなら頂くことにやぶさかではないです。ネットは第二のふるさとでまだ鞄には若干の余裕がございます」
「じゃあなんで金は欲しくない的なスタンスなんですか」
「難しいところですけど、アカギが捨てろって言ってたからっていう自分内サイレントマジョリティーを考慮しないなら、単にめんどくさいからですかね」
ネットで金を稼ぐのが?」
ネットの外でもめんどくさいし内でもめんどくさい。『g.neo』で文章売ることがどの程度大変かを初めて目の当たりにしたですよ」
「あれは最初から儲ける気がなかったですけど」
小説に限らず、創作物を換金する一番手っ取り早い手段って同人誌として売ることなんですかね。やっぱり」
「知らないなあ。投げ銭とか Adsense が大したことなさそうって偏見はありますけど」
創作アフィリエイトやるのも難しいし。評論ならアリだけど、それも採算が取れるのは一握りでしょ」
「でもネットで書いてる人の場合、投げ銭その他で収入を得た後で出版物としても出すって手がありますよ」
「そうですね。別に両方で出しちゃいけないって決まりはないから。ただその場合『ネットでタダで読める物に金を出すのか問題』が」
「ああ。それはでも『Youtube で観られるアニメDVD も売れてる』話や『雑誌買ってるけど単行本も買ってる』話と混ざってややこしくなるので」
「いやグレーゾーンと作者に還元される正規ルートを混同するのは」
「いやそれも『グレーゾーンイノベーションWin-Win を呼ぶ』言説とかと混ざってもっと混沌としちゃうので」
「やっぱりまた別の物語ですか」
「そうですね」

負けても払わない優越感ゲーム最強問題

「何の話だっけ。えーと、匿名創作モチベーションの話か」
「はい。総論で言っちゃうと、ネット創作でも収入は得られなくはないけど、めんどくさいから別のメリットに目を向けたほうがいいんじゃないかと」
「その観点があまり言われてないですね。個人的にはネットこそがホーリーランドだと思ってるんですが」
「ええ。メリットとしてはコストの低さ?」
「第一にそれかな。とにかく時間以外に失うものがない。持たざる者にこれほど優しい場はないです」
炎上したり DIS られたりのリスクは?」
「それも極端な話、閉じて逃げちゃえばいいわけでしょ。それに創作で叩かれるケースは少ないと思う。嘲笑されることはあるでしょうけど」
「優越感稼ぎ的にはそれは NG なんでは」
「あー、そういう意味だと DIS られても経験だと思える人じゃないと続けるのは大変ですね」
「だから、既に名のある人がわざわざネットに入ってくるメリットは少ないかと」
作家 blogコメント許可してるところがあんまりないのはそうことですね。ただどうなんだろ、本当に箸にも棒にもかからないレベルの創作って、そもそも DIS られもしないんじゃないかな」
「ああ、それはあるかも。 DIS るのも疲れるから、 DIS られる事自体がその人の創作に何か凄い点があるって話ですか」
「『マヒケンのあれは個性なんや』って奴ですね。『犬・犬・犬』ってあんまり有名じゃないけど傑作ですよ」
さそうあきら面白いですよね。そういえば『トトの世界』の感想も書いてないじゃないですか」
「あれは凄いね。最終巻読んだときの多幸感といったら。まあいずれプッシュしときます」
「で、話を戻しますけど、 DIS られてやめちゃう人ってやっぱりいるんですかね」
創作の場合は、議論なんかと違って正解がないから、一方的に無茶苦茶叩かれることってあんまりないんじゃないですか。あるとしたら逆に見たいかも」
ネットマジョリティ逆鱗を思い切り逆撫でするような話とか」
「誰からも満遍なく否定されるのって相当難しいですよ。坂東眞砂子の猫の話くらいじゃないですか」
「あれが小説だったらあそこまで叩かれなかっただろうしね。叩いてない人もいたし」
「叩いてませんでしたね」
筒井康隆も言ってましたけど、ネットにはいろんな気違いがいるんで、どんな創作にもそれなりの信者とそれなりのアンチが付きますよ」
アンチに叩かれて優越感が削られる割合の方が多ければやめる、信者にちやほやされて優越感が溜まっていくなら続ける?」
「その損得で考えるなら、ダメだったら本当に何も反ってこない文学賞はバクチですね」
ダメ出しすらしてもらえませんからね。作家になりたいと思い続けてずっとダメ小説を投稿し続けるような人っているのかな」
「さあ。いるんじゃないかとしか」
「やるせないですね……」
「そうですね」

ロビンマスクを生んだプライドでご飯何杯いけますか問題

「もっとネット創作の方が有利だって点はないですか。ブックマークコメントで書いてたじゃないですか」

# 2007年01月14日 xx-internet xx-internet 小説 あとで言及。ネット内/外と匿名/実名と優越感の最大化は直交する概念だし、どれも並列にできる。その上でネットでの創作が最も効率的と言える理由もある。

はてなブックマーク - 琥珀色の戯言 - 「匿名で書き続けること」の難しさ
「書きましたね。ありますよ、ネットの方が有利な点。価値があるものが勝手に増殖していくところ」
「というと」
「今のところ創作というより技術文書なんかがメインですけど、ネットフリーの文書って、多くの人に価値があるものは黙ってても多国語翻訳されていくんですよ。これは出版ベースじゃありえないメリットだと思います」
「そうですね。一度翻訳されれば海外もちゃんと出回るけど、そこまでの壁がものすごい。どのくらいだと翻訳されるんですかね」
森博嗣の本は英語とか韓国語になってましたね。殊能将之も『子ども王様』の中国語版が出てたはず。ミステリで言うとあのレベル?」
「かなり上の方ですね。ライトノベル時代小説はまた事情が違うのかな。個人的にはハングル荒山徹なんて出たら読めもしないのに全部買いますけど」
「飾りますね。それアートですよ。飛行機に乗ったミッキーマウスビルに突っ込むオブジェくらいロックだ」
「まあいろんな意味で絶対出ませんけどね」
「もし出て叩かれたら呟きますけどね。『先生のは違う…、荒山先生のはファンタジーなのに……』って。スティーブン・スティールばりに」
「それはそれとして、フリー創作翻訳された例ってあるんですか」
小説は見たことないなあ。有名な blog の記事はたぶん翻訳されてるはず。あと、漫画アニメ著作権無視でガンガン訳されてますね」
エロ漫画の台詞を翻訳するプロジェクトがあったり、 Youtube に転がってるアニメ主題歌英語字幕が付いてたりしますね。『創世のアクエリオン』の電波歌詞を外人一生懸命翻訳してるサイトがあって笑いましたけど」
「そういう意味だと、下手したら芥川賞作家よりエロ漫画家の方が世界的には名が売れてたりするのかも」
パレスチナ人がハルヒプラカード持ってる時代ですからね」
小説は面白いつまらないの評価が難しいからなあ。翻訳者の技量にも依存するし」
一生懸命読んでみてつまんなかったらダメージが大きいから、それよりは絵で見てわかる漫画アニメから訳されてくのは自然ですね」
「今ふと『海外の人は朝目新聞見てるのか問題』を思いついたんですが」
「面白いですけど、それもまた別の物語で。まあ海外でなくても著作権フリーテキストは生き残りやすいですよね」
「観てないですけど『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』って名作映画がありまして。思考ミームを残すならネットでの創作は最適解じゃないかな」
「『ドグラ・マグラ』の校正が半分終わった(d:id:imagaco:20070115#p1)らしいですよ。『黒死館殺人事件』はもう青空文庫にあるから、三大奇書はもう半分ネットにある」
時間が経てば経つほど作品はネットに集まってくるし、分析も引用も改変もやりやすくなりますね。同じネタをやってる人がいないかも検索できるし」
デメリットって言ったら、広がっちゃうと自分の意志で公開が止められないとか?」
「公開は商業出版でも止めにくいと思うんですよね。物理媒体依存してるのが最大のポイントだと思うんですけど、広げにくいし、広がっちゃうと今度は回収できない。だからそこは創作者の意志に反してネットに挙げられたケース以外はネットの方がむしろ扱いやすいんじゃないかと」
「あとやっぱり収入に結びつかない」
「結局そこなのかなあ。価値観としてはもうちょっと極端なのもあって、完全に無名で創作しても優越感を得られなくはないんですよね」
2ch新ジャンルとかの話?」
「それもあるし、あと前に友人との間で話題になったのが、ロビンマスク。あれを最初に投稿した人ってたぶん何の見返りも得てないんですよ」
「未だに動いてるキャラクターなのにね。去年はまたフィギュアにもなったし」
「あのミクロマンがまた出来がよくてですね。今もモニタの横で無明逆流れの体勢で、虎眼流簾牙を構えたラーメンマンと一触即発の睨み合いを」
「はいはい。要は自分の中だけに隠し持つプライドがあればやっていける人もいると」
「いるんじゃないですかね。見返りは確かに薄いけど。あと、完全無名だと創作物の評価が作者に依存しないから、完全な実力主義になるんですよ。そこでみんなに認められたっていう優越感は凄いんじゃないかと」
ファック文芸部杯を考えた人らしい意見ありがとうございます」
自己満足ですよねえ」
「そりゃもう、この上なく」

まとめ。そうねえ。

「まとまんないですね」
ツッコミ待ちポイントがいっぱいあるから、また別の物語を立てるしかないんじゃないですか」
「そんなことしてる間に一つでも短篇を書けって話もありますけど」
「こんにちは。ネット匿名創作テーマにした小説を書きませんか」
「そうですね」
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2007-01-14

カジュアル捏造

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捏造スキルについて。
余は如何にして小説使いとなりし乎(id:xx-internet:20060401:p1)で挙げた三人の作家深堀骨古川日出男荒山徹。この人たちに共通する属性を一言で説明する単語を思いつきました。それが"カジュアル捏造"。」

「作品間で世界設定がズレることは時代伝奇小説などでは普通のことですが、一作品の中で世界観が固定しておらず、明らかに書きながら考えているスタイルというのは昔からあったんでしょうか。いい意味で漫画太郎的というか。(長篇の雑誌連載なんかで当初の設定とズレてしまうケースはあるでしょうが)」

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2006-12-18

ファック文芸の理論と実践

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「大層な思想に基づいたわけではなく、そのときの命名者のテンションによって発作的に付けられた名がいつの間にか通名となり、やがてその言葉イメージを支配し、一人歩きし、遂には名が体を支配するといったことが現実には起こり得る。言うまでもなく『ファック文芸部』のことであるが。」

「『ファック文芸』とは何か。それを真剣に問うのは、控えめに言っても暇人の所業だ。もちろんファック文芸部はファック文芸を体現するために発生したのではなく、単に集まり、それぞれの意志に基づいて活動を行った結果、その喰い散らかしが後にファック文芸と呼称されるようになったのである。最初の問いに答えるならば、我々がファック文芸だとしか言い様がない。我々って誰と誰だ?」

「そこで考えた。ファック文芸なるものにそれなりの形を見いだすには、具体例で定義するのが手っ取り早いのではないか。それなりの数の光る点を虚空にばらまけば、見る者が頭の中で斜線を引き、やがては適当キャラを当てはめて物語捏造するだろう。
リスト化には制約というものが必要で、さてファック文芸に必ず共通することは何かと考えるに、おそらく自分の定義では一つしかない。」

  1. ネット上で全文が読めること。

「これだ。その他の特徴は余剰というか、観測者の主観依存する。その観点でとりあえず 5 つ選ぶなら、現時点では以下になる。」

夢野久作『瓶詰地獄』
言わずと知れた探偵小説史上に残る傑作短篇。限定文体で描かれた限定状況の地獄
深堀骨『白熊座の女は真夏の夜にここぞとばかり舌を鳴らす』
何度も取り上げているのでここでは繰り返さない。「無理」「無駄」「無意味」といった批判が全く機能しない恐るべき駄作(誉め言葉)。
宇宙ヤバイ
圧倒的に素晴らしい。
バベルの図書館シミュレータ
シェークスピアを見たこともない男がネコキーボードの上で歩き回らせいつか偶然にもシェークスピア戯曲を書き上げるのを待っている」サイト残念ながら消滅してしまったようなので WebArchive 。 (c.f. WikiPedia - バベルの図書館)
ジョージ・オーウェル『一九八四年』
残念ながら翻訳未完のため、厳密には条件に該当しないが、敢えて挙げておきたい。ディストピア小説マスターピース。特に付録ニュースピークの諸原理』には唸らされたことを思い出す。ハヤカワ文庫版で僅か 16 ページのこの小論文は、今まで読んだ中でも五本の指に入るほど邪悪な文章である。流血も罵倒も伴わずにこれほどの残虐性を表現できることが信じられない。何より、こんなにも邪悪なことを考え付く人間がいたという事実感動した。
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2006-08-25

初歩から始める伝奇メソッド

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「少し釈明と説明を。下らんネタに反応して頂いて恐縮です。いちおう小説に関わる話なので g:neo でやります。」

経緯

「アンカテの以下の記事が発端。」

別の言い方をすれば、グーグルとは、「文系が悪いメソッド」を実体化した会社である。

文系が悪い。文系が全て悪い。文系を排除したら、もっとマシなチップサーバOSが手に入る。我々は文系のいないDEC文系のいないコンパック、文系のいないIBMを作り、文系のいない社内の市場で水平分業を行なうのだ」

グーグルは、チップマシンだけでなく、「文系が悪いメソッド」が通用する全ての領域を「垂直統合」しようとしているのだと思う。

アンカテ(Uncategorizable Blog) - Googleの特異な「垂直統合」思想に「文系が悪いメソッド」を見る

「このくだりで xx-internet隆慶一郎柳生刺客状』の以下一節を思い出し、失礼ながら爆笑させていただきました。」

すべて女が悪い。

一言でそう云い切ったら、当代の才女たちは眉を逆立てて怒るだろうか。

だがこの史上有名な崇禅寺馬場の敵討ちの史料を改めているうちに、私の心の中に湧き上がった言葉は、これに尽きると云っていい。

(『死出の雪』冒頭)

柳生刺客状 (講談社文庫)

柳生刺客状 (講談社文庫)

「これにインスパイアされて付けたブックマークコメントが以下。」

2006年08月24日 xx-internet xx-internet 隆慶一郎 すべて文系が悪い。一言でそう云い切ったら、当代の才子たちは眉を逆立てて怒るだろうか。

はてなブックマーク - アレがほしいよう / 2006年08月24日

隆慶一郎の語りが異常に盛り上がる件について

ネタの自己解説ほど寒いものはないのですが、このネタポイントとなる隆慶一郎先生の語り(騙り)の手法について。」

「隆先生の業績についてはいまさら解説するまでもありません。歴史上の素材をいくつかの仮定を交えて強引に調理していく手腕、読者を飽きさせない熟達の構成、高潔なキャラクターと作品全てに通底する美学などなど、その素晴らしさは今もって多くのファンを魅了していることは既に常識ですが、その上で敢えて言わせていただくと、隆慶一郎作品は人前で素晴らしいと公言するような代物ではないと思います。『影武者徳川家康』や『死ぬことと見つけたり』が新潮文庫面して店頭にのし積まれていたり、サラリーマン電車の中で読んでいたり、サラリーマン履歴書に「愛読書隆慶一郎」と書くような社会は、控えめに言って面白すぎます。」

ブックマークコメントでも少し書きましたが、隆慶一郎先生の特徴は「史観と美意識」を達成するための「断言と捏造」だと認識しています。常識で考えれば『すべて女が悪い』はずがないですよね。それで物事が片付くなら苦労はないし、一行目でガーンと書いて断言するような普遍的真理でもない。でも隆先生は断言しました。なぜか。その方がカッコいいからです。」

隆慶一郎作品の歴史描写は学術的に正確とは言いがたいというか、不都合な史実を意図的に無視したり、仮定の上に仮定を重ねたりを平気でやります。しかし、その不正確さは別段作品の価値を損ないません。正確さは隆慶一郎作品の最大の長所はないからです。網野善彦論文を読んでエンタテインする人よりも、隆先生脳内家康脳内柳生を読んでエンタテインする人の方が多い、つまり隆慶一郎が騙る歴史の方が面白いのです。」

「だから、『すべて女が悪い』は爆笑するポイントなんです。「隆先生またぶっ飛ばしてますよ。女性存在そのものにツンですよ。そのくせ宗矩の鬱屈は全身全霊で描写ってどんなツンデレですか。うははははは」と。決して柳眉を逆立てて怒る場所じゃない。徳川家康影武者だったんだ、日本官僚化せんと企む徳川秀忠の魔の手から守り抜くんだとか、いい大人が書く話じゃありません。しかし、隆慶一郎は「正しい」「正しくない」じゃなく「面白い」のです。」

「同様の胡散臭さは宮崎駿作品にも感じるんですが*1、それはそれとして。」

伝奇メソッド

「ここでありがちなツッコミは「面白ければそれでいいのか」ということなんですが、当然そんなわけはなく、面白さと善悪は別のレイヤで扱う話です。面白いということは強いということと似ています。強いから正しいわけでもないし、正しいから強いとも限らないですよね。」

「現状の Google の強みは、面白いもの、強いものをかき集める力に長けていることだと思います。ググって出てくる Web ページのリストは何らかの意味で「面白い」順に整列されています。そこに善悪の判断はない。面白いことと正しいことは別だし、 Google 自体はその判断を嫌がっている(ように見える)。」

「最初のネタの話に戻ると、 essa さんが Google を語る様は、隆慶一郎が無縁の人々を語る様とよく似ていると感じました。もちろん事実捏造しているという意味じゃありませんが。表にするとこう。」

隆慶一郎アンカテ Google
言及対象道々の輩Google
善悪の基準自由技術的優位

ブックマークコメントでも次のように言われてますね。」

脳内Google社における想像上の社内事情を我が事のように熱く語る文章の一例

「そのくらい「文系が全て悪い」というくだりは面白かったです。敵を作る危険を考えたら文系だの理系だのいうめんどくさいキーワードは省いた方が楽です。でも、そこを敢えて「文系が悪い」と断言して自分なりの理想の Google 像を語るところが、敢えて「すべて女が悪い」と断言して逆説的に脳内武士を美化する隆慶一郎先生の作劇法と二重写しに見えます。
このように、「その方がカッコいい」と言いながら持論をノンストップで展開する手法を、個人的には『伝奇メソッド』と呼んでいます。」

「こう書くとまるでアンカテをプロパガンダサイト呼ばわりしているように見えるかもしれませんが、伝奇メソッドは程度と運用さえ守れば社会にとって最高の潤滑油です。否定する意図はありません。
程度というのは、パブリックな場所で使わないこと。歴史教科書隆慶一郎の作品を引用するのは気違い沙汰ですよね。
運用というのは、必ずカウンターパートを複数用意すること。複数の作者が己の脳内モデルを「いや俺の方がカッコいい」「いや俺の方が」と言い争いながら覇を競っていくのが理想的な姿なんじゃないかと期待しています。」

「余談ですが、伝奇時代小説の分野ではこの真実切磋琢磨というか削りあいが日常的に行われています。各人が似たような時代・似たような人物を描きながら、先達の作品の設定を一部または全部否定して作品を創る、言わば真実の喰らい合いが横行した結果、江戸時代初期や幕末はほとんど魔界と化しています。隆慶一郎先生にしてからが、五味康祐南條範夫といった偉大なる先達の設定を踏まえた上で「でも俺の史実の方が面白い」と言わんばかりに脳内柳生出しまくりですからね……。興味がある方は荒山徹なる人物について調べてみてください。朝鮮舞台にした伝奇時代小説を描いて 2ch ハングル板で大絶賛されたというファンタスティック作家です。」

*1:『千と千尋の神隠し』の変態性の高さといったら。子供に嬉々として与えていい作品とは思えません。

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