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pour away このページをアンテナに追加 RSSフィード

掴めそうで掴めない情景、淡く、うっすらと。

記憶の中にぼんやり灯る物語。

2006-01-30

[] 雪の卵 02:36  雪の卵 - pour away を含むブックマーク はてなブックマーク -  雪の卵 - pour away

例えるなら

ぬるく纏まりつく様な鼻につく匂いと

虹を模して失敗したような異質な色

そんな工業用排水が泡を立てているように

自分の汚れが溜まって

他に何所も行き場が無くて

そこに淀んでいるそれ

気が付かないうちに溢れそうになってた

溢れたら視界に染み出すんじゃないかって

何にも見えなくなるんじゃ無いかって

何が見たい訳でもないんだけど



目の前に敷いた白い紙の上に

ビニールの小さな袋を破いた

ゆっくりと落ちる小さな結晶

天井の明るすぎる照明を反射してキラキラしてた



大きく呼吸をしてそれを待つ

力の限り吸い込んだ空気が巡るのがわかる

焼ける様に熱いのに感じる温度は冷たくて

髪の毛の先から

足の指から

何もかもが溶けていくのに

より確かに感じられる何か

心臓の奥のさらに深い所

少しずつ加速していく

脈を打っている



僕を溶かして回った空気を吐き出す

この部屋の空気を取り込んで膨れ上がる

夜の色という色を混ぜて濁ったように光りを帯びる

ただなんとなく眺めてた



体から水分が全て蒸発して

喉の奥から空気が漏れる

瓶に詰め込まれた黄金色アルコールを流し込む

生まれて初めて味わうような味

遠い昨日に何処かで誰かの神様が飲んでた



鼓動が聞こえた

いつの間にか集まった空気の塊

ひび割れて粉々になった

散りばめられた空気の破片

その中から白い鳥が現れた

僕を見据えて



君は誰でもない


そのままでもいい


変わってもいい


いつか消えていく


それだけだ



そう言うと立ち尽くす僕をよそに

白く力強い翼を広げて飛び去った

僕の視界を埋め尽くすほどの羽根を散らしながら

なんとなく手を伸ばして掴む

ゆっくりと手を開く

羽根は白い花弁だった

見上げると無数の羽根は全て花弁になり

そして雪になった



極上の毛皮のような雪の絨毯に寝転ぶ

降り積もる羽根のような花弁に魅入る

どろどろに汚れ溶けた僕を雪化粧が覆う

覆いつくしてくれ

誰にも見られないように

いつまでも降り続ける



千切って捨てたいつかの手紙みたいだった