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pour away このページをアンテナに追加 RSSフィード

掴めそうで掴めない情景、淡く、うっすらと。

記憶の中にぼんやり灯る物語。

2007-01-18

[] アイラの音 14:59  アイラの音 - pour away を含むブックマーク はてなブックマーク -  アイラの音 - pour away

空から落ちる星屑

それは鉄屑となりこの地に積もっていく

酸の雨に朽ちていく錆びた街

赤く焼けた煉瓦と赤く剥がれた鉄の骨

赤くくすんだ赤くぼやけた赤い街

滴る濁った水がコンクリートに滲んで染みこむ

雨の染みこんだコンクリートと同じ様な月が照らす



荒廃していく生活

不規則も慣れてしまえば規則となる

荒廃していると思われている生活

悪くない

むしろ今の生活は気に入っている

目を顰める事無く空を見上げられるから

廊下に響く鍵を回す音

暗澹たる気持ちで扉を開ける

帰りを拒むように鈍く軋む扉

香の煙が少し漂っている

薄く窓を開けて外の空気を迎える

湿った雨の冷たさが鼻をくすぐる

新しい香に火を付ける

小さなガラスの小瓶にオイルを垂らす

シトロネラの苦味のある優雅な匂いが拡がる

甘ったるいラベンダー等の花の香りは苦手だ

この部屋と生活には些か上品過ぎる



硬いベッドに腰を下ろす

脇から自分が生きる理由のひとつの瓶を取る

濁ったグラスに注がれた琥珀色のとろりとした液体

戦火を潜り抜けてきた歴史と魂

口をつけると強烈なピートに心を持っていかれる

目を閉じて飲み込むと優しく複雑に舌に絡んでくる

熱い愛撫の果てにいつまでも残る樽の焼けた匂い

焦げ付いた土の壁と無造作に転がる木の樽が頭を過ぎる

人を傷つけるのは人

その傷を癒すも消すも開くのも人

街を焼かれた火と魂を樽の中の水に込めた彼ら

この体と血と肉に交ざる



いつまでも響けアイラの音